FORUM8(フォーラムエイト)では、土木設計支援ソフトだけでなく、シミュレーションソフト、建築設計ソフト、構造解析ソフト、避難解析、建物エネルギーシミュレーション、BIMなどの様々な土木、建築、道路といった生活環境を整える業務をされているユーザ様により良いソフトを提供をしていきます。ここでは、UC-win/WCOMDのQ&Aを掲載します。
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Q&AUC-win/WCOMD Q&A


目  次
 1.入力、適用範囲関連

Q1−1.鉄筋の被り・形状(直径)・鉄筋量(間隔や本数)などの情報はどう入力するのか?

Q1−2.メッシュサイズはヘルプでは1mとしているが、最大で200cmで良いか?

Q1−3.鉄筋データは鉄筋比として入力するが、その際かぶりや鉄筋の断面積のデータはどのように考えるか?

Q1−4.win/MESHでは、モデル中央部の要素を一度要素を削除したあと、その空隙をなくす事は出来ないのか?

Q1−5.地盤種別による入力制限はあるのか?

Q1−6.分布荷重は定義可能か?

Q1−7.WCOMDは、土要素に大崎モデルを採用しているとの事ですが、土が弾塑性状態となる地盤の場合のモデル化はどうすればよいか。

Q1−8.WCOMDとCOM3(Fiber)の違いは?

Q1−9.三角形要素のガウス点の座標位置はどのようになるのか?



 2.用語他

Q2−1.Plate Typeに4種類が用意されていますが、「RC」と「Plain Concrete」の違いは何か?

Q2−2.「RC Joint」と「Universal Joint」の違いは何か?

Q2−3.Sampleデータの地震波の名称確認

Q2−4.「Crack Result」において、画面上で図化されているひび割れと、「Displacement and Crack Result」で図化されるひび割れには、どのような違いがあるか?



 3.解析関連

Q3−1.静的解析、動的解析時の荷重条件はどのような組み合わせで設計可能か?

Q3−2.地震波は最大振幅の前後を取れば良いか?

Q3−3.コンクリートの応力ーひずみ関係を示す関数は、どのようにしているのか?

Q3−4.地盤種別に応じたせん断剛性G0とせん断強度Suの関係 Su=G0/600  For clay Su=G0/1100 For sand はどのように決められた値なのか?

Q3−5.解析析結果の「Activeクラック」とはどのような状態か?

Q3−6.鉄筋の破断(引張強度)については、どのように考えているか?

Q3−7.要素の応力度は何を表しているか?

Q3−8.Peak Strain DamageのConsiderable Damaage Criteria:εcを判定するひずみの算出根拠は?

Q3−9.ガウス点のひずみについて。

Q3−10.重度損傷はヘルプでコンクリートの破壊の補修/修復に対して利用されると書いていたが、重要損傷度の基準はα×εpeakとされるので、コンクリートの圧壊だけに対するものか(引張とせん断破壊を無視)。

Q3−11.無筋要素と鉄筋比0.0のRC要素は、理論的には同じになるのか?また、同様のモデルで両者を解析した場合、計算結果にどのような違いが見られるのか?

Q3−12.出力される断面力は内部処理でガウス点の応力を用いて算定しているのか?出力される断面力とガウス点応力との相関を教えてほしい。



 4.出力及び表示

Q4−1.作成したメッシュ図を印刷する方法は?

Q4−2.Sampleデータの地震波の名称についている略字udの意味は何か?

Q4−3.画面表示の一部だけが文字化けをしているが?


 5.その他






 1.入力、適用範囲関連

Q1−1.

鉄筋の被り・形状(直径)・鉄筋量(間隔や本数)などの情報はどう入力するのか?
A1−1. 本プログラムでは、鉄筋ピッチや本数としての配置などの入力は無く、鉄筋比としてPlate TypeのRC部のReinforcing Ratioにて入力いただき設計に反映します。
各要素部の鉄筋比を求めて戴きご入力下さい。
 
Q1−2. メッシュサイズはヘルプでは1mとしているが、最大で200cmで良いか?
A1−2. 分散ひび割れモデルの次の特性により、粗めのメッシュでも精度にはあまり影響はないと考えます。
・ひび割れの発生及び進展は有限要素内で平均的であるとする。
・1要素に何本かのひび割れと鉄筋とを含んだ領域を連続体とする。
 
Q1−3. 鉄筋データは鉄筋比として入力するが、その際かぶりや鉄筋の断面積のデータはどのように考えるか?
A1−3. WCOMDの鉄筋データは、各RC要素に対して鉄筋比のみで定義します。
その為、無筋となるかぶり部分を表現するには、無筋要素あるいは鉄筋比が0のRC要素として定義する事で可能となります。
 
Q1−4. win/MESHでは、モデル中央部の要素を一度要素を削除したあと、その空隙をなくす事は出来ないのか?
A1−4. 一度要素を削除してモデルの中に空隙を作ってしまうと、その空隙をなくすことは出来ません。その為、再度モデル化していただく必要があります。
helpに記載している「merge mark」は、モデル内のメッシュ分割に対する節点のマージ機能と考えていただきますようお願いいたします。
 
Q1−5. 地盤種別による入力制限はあるのか?
A1−5. Basicモードの際には、各項目毎に入力制限値を持たせており、入力の際にご確認いただくことが可能です。また、Advancedモードでの入力可能最大値は、地盤種別にかかわらず以下のようになっております。

・単位体積重量:30kN/mm3
・せん断強度:1N/mm2
・ヤング係数:1500 N/mm2
・初期せん断剛性:500N/mm2
・せん断弾性波速度:1000m/sec
 
Q1−6. 分布荷重は定義可能か?
A1−6. 分布荷重を与える機能を搭載しておりません。

分布荷重を与える方法としては、
  (1) 節点集中荷重に置き換えて複数の節点に載荷する。
  (2) 分布荷重と等価な重量を持つ要素に置き換えて、自重解析により導入する。
の2種類が考えられます。

(1)の方法は、分布荷重がステップごとに増える静的解析を行う場合に便利です。
(2)の方法は、ステップによらず一定の分布荷重を載荷する場合に有効です。この場合、分布荷重と同じ重量になるように、置き換える要素の単位体積重量、厚さなどを調整する必要があります。

用途に応じて、使分けてください。
 
Q1−7. WCOMDは、土要素に大崎モデルを採用しているとの事ですが、土が弾塑性状態となる地盤の場合のモデル化はどうすればよいか。
A1−7. WCOMDで使用している土の非線形性を表現する構成則(せん断応力−せん断ひずみ関係)“大崎モデル”は、土のせん断ひずみが1%を越えると骨格曲線の剛性が低下し、これによって弾塑性状態を表現しています。一般に土は微小ひずみ領域から非線形挙動を示し、大崎モデルもこれを忠実に再現しています。WCOMDの基本モードでは、地盤種別、ポアソン比、N値、単位体積重量を入力するだけで、土の構成則に必要な材料特性を自動算出いたします。
 
Q1−8. WCOMDとCOM3(Fiber)の違いは?
A1−8. WCOMDとCOM3(Fiber)は、それぞれ2次元(面内)解析、3次元解析を行います。さらに、要素の違いがあります。非線形RC要素には、WCOMDは板要素、COM3(Fiber)では棒状の要素(平面保持を仮定したファイバー要素)を使用しています。機能については、WCOMDはせん断破壊を再現することが可能であり、ひび割れ表示も可能です。しかし、COM3(Fiber)では、分割された断面内の微小要素において、1軸(部材軸)方向の応力-ひずみ関係から部材/構造物の応答を算出します。そのため、曲げひび割れの影響のみを考慮することになり、忠実にせん断破壊を再現することは出来ません。また、ひび割れ表示機能も持っていま せん。しかし、WCOMDと同様に、ひび割れ発生によるRC要素の剛性低下は考慮されております。
従って、解析モデルについては、壁部材の解析にはWCOMDが最適ですが、非線形RC部材として梁・柱部材のみを対象とする場合はCOM3(Fiber)でも十分な精度が期待できます。2次元解析でよければ、梁・柱部材をWCOMDでもモデル化することは可能です。
 
Q1−9. 三角形要素のガウス点の座標位置はどのようになるのか?
A1−9. WCOMDの平面要素は9つのガウス点を持っています。ガウス点の位置(11,12,13,21,22,23,31,32,33)は下図のようになっています。具体的な配置は、矩形の図心から各辺の1/2の77%の位置にあります。これは、一般的な有限要素の教科書に記載されているものと同様です。任意の四角形のガウス点の座標は、以下に示す式で算出することが出来ます。

参考:例えば
鷲津久一浪、宮本博、山田嘉昭、山本善之、川井忠彦:有限要素ハンドブック T基礎編、p245-250、倍風館、1981.9

※三角要素の場合・・・四角形4節点(@〜C)の内、2節点(BとC)を同一座標にすることで三角形要素としています。従って、ガウス点の座標は、次項に示す式(1,1〜3,3)で算出することが出来ます。

任意の4辺形[]に対する9つのガウス点の座標は以下のように表せます。ある隣りあう2つ節点が同じ座標であれば、三角形の場合の9つのガウス点の座標も得られます。


従って次式のようになります。

ガウス積分
局所座標形ε、ηによって要素の剛性マトリクス[k]を求めるための数値積分は、以下に示すGauss-Legenderの求積法(ガウス積分)を用います。Hi、Hjは重み係数と呼ばれ、9点積分(積分次数は3)に対して、以下の表のように与えられます。

詳細は以下の図書を参照してください。
鷲津久一浪、宮本博、山田嘉昭、山本善之、川井忠彦:有限要素ハンドブック T基礎編、p245-250、倍風館、1981.9


 2.用語他

Q2−1.

Plate Typeに4種類が用意されていますが、「RC」と「Plain Concrete」の違いは何か?
A2−1. 有筋、無筋コンクリートの差とお考え下さい。
RCはReinforced concreteですので有筋です。
それに対して、Plain Concreteは無筋です。
構造物モデル化の際に使い分けてご利用下さい。
 
Q2−2. 「RC Joint」と「Universal Joint」の違いは何か?
A2−2. 「RC Joint」は、RC要素の接合面において、例えば橋脚とフーチングのように要素の厚さが異なる場合に適用します。
このJoint要素により、RC構造物の複雑な挙動が表現され、実際のRC構造物の挙動に近い解析を正確に行うことができます。
また、 「Universal Joint」は、地盤要素とRC要素の接合面などに適用します。
Basicモードでは、自動的にRC要素と地盤要素間に定義されますので、変更をお考えの際にはアドバンスモードへ変更して作業を行ってください。

詳しくは、ヘルプ記載のテクニカルノートの「Beginners Guide to UCwinMESHのDefine Joint Plates」も参照下さい。
 
Q2−3. Sampleデータの地震波の名称確認
A2−3. 地震波のデータとその内容についての対照表を添付します。
その内「Itajima(板島橋:U種地盤用)」「Kaihoku(開北橋:T種地盤用)」「Tsugaru(津軽大橋:V種地盤用)」は道示(H2.2)耐震編に記載されている地震波であり、他の21波は「H7兵庫県南部地震の気象庁87型電磁式強震計の記録」の地震波データです。
ファイル名 地震名 場所 年月日 時間 方向 観測所
番号
観測所名 北緯 東経 高度
Fuk_ew 兵庫県南部地震 福井 95.01.17 05:46:54 東西 616 FUKUI 36.032 136.136 10
Fuk_ns 兵庫県南部地震 福井 95.01.17 05:46:54 南北 616 FUKUI 36.032 136.136 10
Fuk_ud 兵庫県南部地震 福井 95.01.17 05:46:54 鉛直 616 FUKUI 36.032 136.136 10
Hik_ew 兵庫県南部地震 彦根 95.01.17 05:46:46 東西 761 HIKONE 35.164 136.148 87
Hik_ns 兵庫県南部地震 彦根 95.01.17 05:46:46 南北 761 HIKONE 35.164 136.148 87
Hik_ud 兵庫県南部地震 彦根 95.01.17 05:46:46 鉛直 761 HIKONE 35.164 136.148 87
Kob_ew 兵庫県南部地震 神戸 95.01.17 05:46:27 東西 770 KOBE 34.413 135.108 59
Kob_ns 兵庫県南部地震 神戸 95.01.17 05:46:27 南北 770 KOBE 34.413 135.108 59
Kob_ud 兵庫県南部地震 神戸 95.01.17 05:46:27 鉛直 770 KOBE 34.413 135.108 59
Mzh_ew 兵庫県南部地震 舞鶴 95.01.17 05:46:40 東西 750 MAIZURU 35.269 135.192 21
Mzh_ns 兵庫県南部地震 舞鶴 95.01.17 05:46:40 南北 750 MAIZURU 35.269 135.192 21
Mzh_ud 兵庫県南部地震 舞鶴 95.01.17 05:46:40 鉛直 750 MAIZURU 35.269 135.192 21
Oka_ew 兵庫県南部地震 岡山 95.01.17 05:46:40 東西 768 OKAYAMA 34.395 133.551 17
Oka_ns 兵庫県南部地震 岡山 95.01.17 05:46:40 南北 768 OKAYAMA 34.395 133.551 17
Oka_ud 兵庫県南部地震 岡山 95.01.17 05:46:40 鉛直 768 OKAYAMA 34.395 133.551 17
Osa_ew 兵庫県南部地震 大阪 95.01.17 05:46:31 東西 772 OSAKA 34.407 135.313 49
Osa_ns 兵庫県南部地震 大阪 95.01.17 05:46:31 南北 772 OSAKA 34.407 135.313 49
Osa_ud 兵庫県南部地震 大阪 95.01.17 05:46:31 鉛直 772 OSAKA 34.407 135.313 49
Tot_ew 兵庫県南部地震 鳥取 95.01.17 05:46:43 東西 746 TOTTORI 35.291 134.144 14
Tot_ns 兵庫県南部地震 鳥取 95.01.17 05:46:43 南北 746 TOTTORI 35.291 134.144 14
Tot_ud 兵庫県南部地震 鳥取 95.01.17 05:46:43 鉛直 746 TOTTORI 35.291 134.144 14

ファイル名 適用地盤 名称
Itajima U種地盤用 修正板島橋記録
Kaihoku T種地盤用 修正開北橋記録
Tsugaru V種地盤用 修正津軽大橋記録
 
Q2−4. 「Crack Result」において、画面上で図化されているひび割れと、「Displacement and Crack Result」で図化されるひび割れには、どのような違いがあるか?
A2−4. 本製品で扱うひび割れには2種類あり、(1)ひび割れ(開き)と(2)ひび割れ(ずれ)です。
画面上でのスピードボタンは、

Crack opening Result;ひび割れ(開き):ひび割れ面に対して、鉛直方向に広がっていくひび割れの事です。
Crack Srip Result;ひび割れ(ずれ):ひび割れ面に対してせん断方向に広がっていく(ずれていく) ひび割れの事です。
Displacement and Crack Result図で表示されているひび割れは、ひび割れ(開き)です。


これらのひび割れは、各ガウス点に分散しており、ひび割れの発生位置と幅を正確に表しているのではありません。
又、ひび割れ線の長さは要素長に比例していますから、ひび割れの長さを表しているわけではありません。



 3.解析関連

Q3−1.

静的解析、動的解析時の荷重条件はどのような組み合わせで設計可能か?
A3−1. 静的解析の場合;dead+static、staticの計算が可能です。
動的解析の場合;dead+static+dynamic、dead+dynamic、static+dynamic、dynamicの計算が可能です。
但し、deadを考慮しない場合、モデル自重による鉛直死荷重が無視されることになりますので注意願います。

尚、ver1.01.00から日本語プラットフォームに対応しておりますので、荷重タイプの定義では
□自重(dead) □静的荷重(static) □動的荷重(dynamic)
の組み合わせ選択を頂くことで可能となります。
 
Q3−2. 地震波は最大振幅の前後を取れば良いか?
A3−2. 実際に解析に利用する波形としては、地震時の波形全てを利用してもあまり意味はありません。
そのことから、最大となる振幅波形を見極めその前後を利用することで問題はありません。
また、タイムステップを粗く取って地震波データを流して応答値の変動を掴んだ後、地震波データの範囲を選定されるのがよいと考えます。
 
Q3−3. コンクリートの応力ーひずみ関係を示す関数は、どのようにしているのか?
A3−3. ひび割れ発生前のコンクリートの構成則は前川・岡村の弾塑性破壊モデルを採用しており、
これにおいては等価応力と等価ひずみの関係が定式化されています。

(構成則)
 σe = E0・K0・εe
  = E0・K0・(ε-εp)

 σe:等価応力=( ( a・σm )^2 + ( b・τd )2 )^1/2  
 a = 0.6/fc’ , b = 1,3/fc’ , fc’:最大応力 ,  σm:平均応力 , τd:偏差応力
 εe:等価ひずみ
 ε:等価全ひずみ=( ( c・εm )^2 + ( d・γd )2 )^1/2
 c = 0.62/εc0’, d = 0.98/εc0’,
 εc0’:最大圧縮応力に対応するひずみ , εm:平均ひずみ , γd:偏差ひずみ
 εp:等価塑性ひずみ(応力が0と成ったときの等価塑性ひずみ)

 E0 = 2, K0:破壊パラメータ

※等価ひずみがそれまでに経験した最大値を越えない限り等価塑性ひずみと破壊パラメータは変化しない。

 εp:等価塑性ひずみ  K0:破壊パラメータは実験結果に基づき定式化
 εp = c・(1-exp(-0.35・ε))
 K0 = exp(-0.73・ε・(1-exp(-1.25・ε)))
 
Q3−4. 地盤種別に応じたせん断剛性G0とせん断強度Suの関係
Su=G0/600  For clay Su=G0/1100 For sand
はどのように決められた値なのか?
A3−4. 論文「Ohsaki, Y. : Some notes on Masing's law and nonlinear response and soil deposits,Journal of the Faculity of Eng.(B), The University of Tokyo, Vol.XXXV,No.4, 1980」のページ523ページに以下の記述があります。

"In Figs. 8 and 9, a large number of laboratory test results on strain-dependent, shear modulus ratios for clays and sands, respectively are summarized, and Figs 10 and 11 show the test results on damping factors which are also strain-dependent.
On the other hand, the curves in these figures are obtained from eqs. (19) and (23) by assuming G0/Su=600and 1100 for clays and sands, respectively.
The agreement of laboratory test results and calculated curves is excellent over the entire level of strains fron=m approximately 0.001up to 1 per cent."

即ち、多くの実験データと解析結果よりSu=G0/600(clay)、及び G0/1100(sand)の値が求められたものと弊社では理解しております。
 
Q3−5. 解析析結果の「Activeクラック」とはどのような状態か?
A3−5. UC-win/WCOMDでは、直交する2つのひび割れ座標系を用いて、合計4方向のひび割れを表現します。
その4方向のひび割れのうち、最初に生じたひび割れに対してまずひび割れ座標系が固定され、これを第1ひび割れ(座標系)と呼びます。そして、第1ひび割れ(座標系)と異なる方向にひびわれが生じると、それにあわせて第2ひび割れ(座標系)が固定されます。
 そして、第1ひび割れ(座標系)と第2ひび割れ(座標系)が同時に発生している場合、ひび割れがより開いているひび割れ(座標系)のことを「Activeクラック」と呼んでいます。従って、荷重の状態に応じ、第1ひび割れ(座標系)が「Activeクラック」になったり、第2ひび割れ(座標系)が「Activeクラック」になったりすることになります。
 なお、せん断変形は「Activeクラック」に対してのみ考慮されます。もう一方のひび割れ(座標系)である「Dormantクラック」に対しては、せん断変形は考慮されません。このモデル化の妥当性は数値実験結果を通して検証されています。

「第1ひび割れというのは、RCが載荷を受ける際にはじめてコンクリートの主引張歪が、引張限界歪(通常0.01〜0.03%、コンクリートの応力が破壊包絡線に到達した時の主引張歪よりも一般的に大きい)に達した時に発生するひび割れです。その角度は主引張応力の作用方向に直角です。これに対して第2ひび割れというのは、発生基準は同じではありますがその方向が第1ひび割れとの交角が15度以上となるひび割れの事をいいます。」
 
Q3−6. 鉄筋の破断(引張強度)については、どのように考えているか?
A3−6. 鉄筋破断については考慮しておりません。
本プログラムの構成則では、破断ひずみ相当以上のひずみが生じた場合も、鉄筋の応力は上昇しつづけます。
ただし、アドバンスモードでも最大10%のひずみまでしか対応できません。
これは、それ以上のひずみ領域では、WCOMDの構成則の精度が悪くなる事が考えられる為、制限としております。従って、破断ひずみが10%以上と考える場合は、鉄筋の破断まで計算を行うことは出来ません。
 
Q3−7. 要素の応力度は何を表しているか?
A3−7. 要素の応力度の表示は、RC要素としての応力度(鉄筋とコンクリートを含む)を表しています。
ガウス点の応力をσとすると力のつりあい式は、
σ=σc+p・σs (σc:コンクリート応力、p:鉄筋比、σs:鉄筋応力)
となります。
"応力度結果"、および"ガウス点での結果"で表示される応力は、上式のσを表示しています。
 
Q3−8. Peak Strain DamageのConsiderable Damaage Criteria:εcを判定するひずみの算出根拠は?
A3−8. Considerable Damaage Criteriaを決めるαの係数の値はベーシックモードではデフォルトとしてα=1.5としており、アドバンスモードでは任意入力を可能としています。
デフォルト値の根拠は、例えば土木学会のコンクリート標準示方書にあるコンクリートの圧縮限界ひずみなどをお考え下さい。
この基準ではピーク時のひずみを2000μ、圧縮限界ひずみを3500μとしています。従って、圧縮限界ひずみはεpeakの1.5倍となるわけです。
ここで圧縮強度を21N/mm^2とすると、HELP”圧縮ピークひずみ”に記載のしている計算式で算出すると、εpeak≒2000μ。従って、圧縮限界ひずみは1.5倍の3500μと考えることができます。ただし、より損傷の大きい状態をお考えならば、α=2とすることもできます。
重度の損傷状態をどのような状態と想定するかをお考えの上、アドバンスモードでは入力ください。
 
Q3−9. ガウス点のひずみについて。
A3−9. ガウス点のもつひずみには2種類あります.
  (1) 「ガウス点の結果」から得られるひずみ
  (2) 「ひび割れ結果」から得られるひずみ

(1)は,全体座標系のX,Y,XY方向のひずみと応力成分を表示したものです.
(2)は,ひび割れ面に対し,平行,直交,およびずれのひずみ成分を表示したものです.
従って両者は基準となる座標系が異なります.損傷,破壊基準の判定はAのひずみで行います.

(1) ガウス点の結果から得られるひずみについて
  『はじめに』→『UC-win/WCOMDガイド』→『ガウス点での結果』に説明しています.
  ガウス点の結果では,全ステップでの平均応力と平均ひずみの関係σxx-εxx,σsyy-εyy,τxy-γxyを確認することができます.

(2) ひび割れ結果から得られるひずみについて
  『はじめに』→『UC-win/WCOMDガイド』→『ひびわれ(開き)結果,ひび割れ(ずれ)結果』に説明しています.
  ガウス点のひび割れ結果(引張ひずみ、圧縮ひずみ、せん断ひずみ)は,要素毎に,また着目したあるステップでの値しか出力することが出来ません.
  「ひび割れ結果」->「着目ステップ指定」を行い,そして「要素クリック」->「数値を添付」と行えば,結果をHTMLファイル等に出力できます.

また,ガウス点のひずみの結果は出力形態にあわせ以下のように分類できます.ご参考にしてください.
■選択した要素のあるステップでの情報を表示,出力するもの
 損傷結果(残留)
 損傷結果(最大)
 ひび割れ(開き)結果
 ひび割れ(ずれ)結果
 応力度結果
 降伏結果
■全ステップの情報を表示,出力するもの
 ガウス点での結果
 
Q3−10. 重度損傷はヘルプでコンクリートの破壊の補修/修復に対して利用されると書いていたが、重要損傷度の基準はα×εpeakとされるので、コンクリートの圧壊だけに対するものか(引張とせん断破壊を無視)。
A3−10. 重度の損傷はコンクリートの圧縮ひずみのみで判定しており、圧縮損傷の程度を評価していることになります。引張による損傷については、軽微な損傷のみを判定しています。
通常の設計対象となる部材は、せん断破壊するかしないか、そして、しない場合には圧縮力による損傷がどの程度か評価することが重要と考えておりますので、せん断損傷の程度は評価の対象としていません。また、損傷と破壊基準の考え方について以下に解説させていただきましたので参考にしてください。

■軽微な損傷・・・ひび割れ直交方向のコンクリート引張ひずみがεt以上
 基本モードでは推奨値(0.1%)が設定されています。
 土木学会のひび割れ幅算定式と許容ひび割れ幅等から求めることもできます。従って、使用限界状態の照査に使用することが出来ます。

■重度の損傷・・・コンクリート圧縮ひずみがα×ε’peak以上
 コンクリートの圧縮損傷の程度を表しています。 一般に、コンクリート圧縮ピークひずみ:ε’peak=0.2%程度、コンクリート終局圧縮ひずみ:ε’cu=0.2%〜0.5%程度であることから、α=ε’cu/ε’peak=1.0〜3.0程度と考えてます。基本モードでは推奨値(α=1.5)が設定されています。
 ※軽微・重度、両方の損傷を経験した要素は、最大損傷の表示において重度の損傷が表示されます。

■破壊基準
 損傷基準とは全く別に定めるもので、圧縮破壊、引張破壊、せん断破壊、それぞれの破壊基準をひずみで定義します。損傷の有無に関係なく適用されます。ベーシックモードでは推奨値が設定されています。それぞれの破壊基準は、以下の破壊状態を想定するものです。
 最大引張ひずみεt・・・引張破壊の基準:コンクリートにひび割れが大きく開く状態
 最大圧縮ひずみε’c・・・圧縮破壊の基準:コンクリートが圧縮耐荷力を失う状態
 最大せん断ひずみεsh・・・せん断破壊の基準:ひび割れ面のずれが大きくなる状態

これらを適切に定めることで、破壊モードの判定も可能です。また、これらの基準は計算終了の判定基準ともなります。従って、ごく一部の要素が破壊基準に達しても計算を終了してしまいますので、構造全体の限界状態を正しく判定できない場合があります。このような構造物全体系の限界状態の判定を行なう場合は、破壊基準値を推奨値より大きめに設定しておくと良い場合があります。
 
Q3−11. 無筋要素と鉄筋比0.0のRC要素は、理論的には同じになるのか?
また、同様のモデルで両者を解析した場合、計算結果にどのような違いが見られるのか?
A3−11. WCOMDでは、「鉄筋の付着作用の及ぶ領域」をRC要素、そうでない領域を無筋要素とすることで、構造物全体の解析精度を高めることができます。
RC要素と無筋要素の違いは、特にひび割れ発生後の引張応力の低下が、RC要素よりも無筋要素のほうが大きくなることです。この違いを表すパラメータとして、“引張硬化/軟化係数”を用いています。基本モードにおいて、RC要素では引張硬化/軟化係数:C=0.4、無筋要素では要素寸法と破壊エネルギーに応じて自動計算し、通常0.4よりも大きくなります。従って、RC要素では鉄筋比を0としてもC=0.4が適用されますので、無筋要素と比べるとひび割れ発生後の引張応力低下が無筋要素よりも小さくなります。
 
Q3−12. 出力される断面力は内部処理でガウス点の応力を用いて算定しているのか?出力される断面力とガウス点応力との相関を教えてほしい。
A3−12. ○断面力の算出方法について
 UC-win/WCOMDでは、断面力を算出する際に節点力を集計しています。UC-win/Meshにおいて、集計の対象となる節点が茶色で表示されています。



従って、ガウス点の応力を使用して断面力を算出しているものではありませんのでご注意ください。
 各断面力の符号の向きは、以下のようになっています。



   軸力・・・法線ベクトルの向きが正
   せん断力・・・切断面において左向きが正
   曲げモーメント・・・切断面において左回りが正



 4.出力及び表示
 
Q4−1. 作成したメッシュ図を印刷する方法は?
A4−1. UC-win/Meshには出力機能が有りませんので、UC-win/WCOMDで出力して頂くことになります。
UC-win/Meshで作成したデータをUC-win/WCOMDへ連動いただき、「ファイル(F)→出力(R)」を実行します。「レポート作成」画面内の「解析モデル」の
下にある「モデル図」を「>」ボタンにより「選択された出力項目」へ移動して出力してください。
 
Q4−2. Sampleデータの地震波の名称についている略字udの意味は何か?
A4−2. Up&Downの略で鉛直方向を示します。
 
Q4−3. 画面表示の一部だけが文字化けをしているが?
A4−3. メインメニューのオプションの設定を開いて、言語の出力フォントをご確認ください。
「Times New Roman」などになっているのではないでしょうか?
一部の文字フォントでは上手く表示が出来ない場合もありますので、「変更」ボタンをクリックしていただき、フォント名を「MS明朝」に設定していただくと正常に表示する事が可能となります。



 5.その他



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