|
建築新工法 CLT
- 近年、欧州を中心に急速な広がりを見せているCLTは、木造建築の可能性を広げる新工法として注目を集め、日本国内でも普及に向けた法整備などの施策が始まっています。今回は、耐震性能向上やエコをはじめとするCLTのさまざまなメリットと、活用事例、今後の展望について解説します。
|
CLTとは
CLTとは、Cross Laminated Timberの略で、木材の板を直交させて接着したパネルで、直交集成板とも言われています。
材料の特性としては、木材の性質から断熱性に富み、遮音性、耐火性、もある素材です。鉄筋コンクリート造などに比べ自重が軽いため、建築物の耐震性能も向上します。また、CLTは工場で制作され、現場で組み立てられる工法のため、工期短縮というメリットもあります。木材は持続可能な資源利用であり、曲がりのある材も利用できます。
CLTはこれらのメリットから、木造建築の可能性を広げます。これまで低層建物中心であった木質材料の、中高層建物への利用拡大が期待されています。さらに言えば、国内の木材需要を、輸入依存から国産材活用へシフト/リスク分散させることができます。
|
■CLTパネルの断面 |
CLT普及の海外・国内動向
CLTはヨーロッパを中心に、近年急速に普及しています。ロンドンの9階建て集合住宅や、ウィーン郊外のショッピングセンターなど、中高層建築の建設の実績もあります。
日本国内でも、平成22年ころから国内でも利用の検討が始まり、平成24年に「日本CLT協会」が設立されました。
平成24年には、3階建て実大試験体の振動実験が国土交通省国土技術政策総合研究所らによって行われ、長辺方向JMA神戸NS波により加振、目立った損傷は見られなかったという報告があります。また、平成25年12月には、JAS(日本農林規格)が制定されています。
国内の活用事例としては平成25年に建設された「高知おおとよ製材社員寮」が有名です。構造躯体にCLTを使用した建物としては日本初のもので、現地での施工期間(建方)はわずか2日だったとのことです。
CLTの今後の展望・課題(最新情報、今後の開発情報)
CLTは現状は構造用部材としては認定されていませんが、平成26年11月、CLTの国内での普及と法整備のため、林野庁、国交省によるロードマップが作成されました。施策としては以下にまとめられています。
- 建築基準(基準強度・設計法)の整備
- 実証的な建築事例の積み重ね
- CLTの生産体制の構築、といった施策を総合的に推進
平成26年度としては林野庁の支援により8棟の建物が建設され、国内での施工ノウハウが蓄積されつつあります。
慶應型共進化住宅「コエボハウス」
「コエボハウス」は慶應義塾大学SFCに建てられた、CLTパネルを利用した環境住宅のプロトタイプです。もともとは、平成25年にエネマネハウス2014で5つの大学により展示されたモデルハウスであり、慶應義塾大学池田研究室を中心に複数の研究室および民間企業が協力して建てられました。エネマネハウス2014終了後、SFCに移築され様々な実証実験のために使われています。
実証実験や開発を行うために、産学連携「慶應型共進化住宅開発実証実験コンソーシアム」が結成され、フォーラムエイトも参画しています。現在は、建物エネルギー解析ソフトDesignBuilderを利用し環境性能のシミュレーションを行っています。
|
■慶應型共進化住宅「コエボハウス」 |
参考文献
一般社団法人日本CLT協会:http://clta.jp/
林野庁:CLTの普及に向けたロードマップについて http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/mokusan/141111.html
銘建工業株式会社:http://www.meikenkogyo.com/ |
|
|
>> 製品総合カタログ
>> プレミアム会員サービス
>> ファイナンシャルサポート
|