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ちょっと教えたいお話  シンギュラリティ 2045年問題
  • AIのようなコンピュータによる知能が人間を超えること、またその瞬間を「シンギュラリティ」といいます。この時期が2045年であると予測されていることから、AIが全人類の知能の総和を超えることによって引き起こされると考えられるさまざまな懸念を「2045年問題」と呼んでいます。

シンギュラリティ(singularity)とは
近年、「AI(人工知能)」に関するニュースをよく目にするようになってきました。世界のトップ棋士と囲碁用AIとの対局が大きな話題になったことは記憶に新しいですし、ロボットだけでなくスマートフォンやスピーカーなどの身近なデバイスも、機械学習や音声応答などに対応し始めています。また、小説や映画、アニメなどの創作世界でも、進化したAIが人間と対峙する近未来を描いた作品がいくつも発表され、人々の関心を集めています。

今回紹介する「シンギュラリティ(singularity)」とは日本語で「技術的特異点」と訳される言葉で、簡単に言えばAIのようなコンピュータによる知能が人間を超えること、またその瞬間を表しています。この時期が2045年であると予測されていることから、AIが全人類の知能の総和を超えることによって引き起こされると考えられるさまざまな懸念を「2045年問題」と呼んでいます。

人工知能と人間の間にはアルゴリズムに大きな違いがあるといわれていますが、さまざまな研究によって機械は生物のアルゴリズムを摸倣できることが判明しており、現在ではニューラルネットワークの数だけが相違点であるとされているのです。


レイ・カーツワイルによる「予言」
シンギュラリティはもともと数学・物理などで使われる用語で、直訳すれば単なる「特異点」でした。しかし、レイ・カーツワイルという米国の発明家・未来学者が2005年に出版した書籍「The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology(ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき)」の中で示されたこの言葉は、従来の意味とは異なっており、前述のような「技術的特異点」という概念がここで初めて生み出されたのです。彼が、「集積回路(LSI)の密度が18カ月毎に倍増するという「ムーアの法則」は他のあらゆる現象の進化法則にも適用できる」という考えに基づいて導き出したのが、2045年という数字でした。


2045年に何が起こるのか?
カーツワイルの著書では、人工知能自身が人工知能を生み出すことが可能となって、人間の脳をスキャンしてコンピュータと接続したり、現実世界と仮想世界との境目が消失するなどといった内容が書かれています。人間の知能と機械の知能が融合することで、人間の能力と社会が根底から変容し、予測できない世界に進化するというのです。

また、よくいわれているのは、この2045年に先行してもう少し近いところで、2030年頃には人間と同様に多様な状況で知性を働かすことのできる「汎用AI」が開発されるということです(「プレシンギュラリティ」)。これによりあらゆることがAIによって可能になり、人間にしかできなかった多くのことが機械に取って替わられることになります。

AIの進化・普及については、少子高齢化と労働力不足の解消、労働からの解放といった楽観的な捉え方と、人間の仕事が奪われて失業率が悪化する、人間が機械に支配されるなどの悲観的な捉え方の両方がありますが、いずれにしろ、世界中で産業構造が大きく変化するのではないかと考えられています(第4次産業革命)。

■シンギュラリティのイメージ
進化するAIと共に生きる世界
このようにAIの進化は、不確実性をもたらすと言われる一方で、大きなビジネスチャンスであるという見方もできます。特に、シンギュラリティを加速させる要因として注目され、AIには欠かせないディープラーニング(深層学習)の技術は、これから最も大きく成長していく分野であることは間違いありません。最近ではパターン認識技術をめぐる競争が世界中で繰り広げられており、主なところでは、画像・動画認識、バイオメトリクス、音声認識、テキスト解析と自然言語処理、工場だけでなくオフィスでのロボティック・オートメーションなどが挙げられます。また、IoTやナノテクノロジーなども重要な周辺分野になります。

フォーラムエイトが取り組んでいる土木建設分野や自動車分野の自動運転技術などでも、パターン認識やディープラーニングの技術が注目されています。 2017年11月に開催されたデザインフェスティバルの前川宏一教授(東京大学大学院工学系研究科)による特別講演では、既設構造物の点検において検査の情報と数値解析を一体化させるデータ同化の試みの中で、数値解析の結果によって人工知能(AI)を学習させるアプローチが紹介されており、維持管理におけるディープラーニング技術の活用可能性が示されています。

 

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