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ちょっと教えたいお話  みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)
  • 日本版GPSとも呼ばれる「みちびき(準天頂衛星システム)」は、高精度で安定した衛星測位サービスを実現することから、測位情報を用いた制御システムなどの開発に応用可能であり、大きな注目を集めています。
  • 今回は、「みちびき」の仕組みや特長について解説します。

みちびき(準天頂衛星システム)とは
みちびきとは、日本版GPSとも呼称される新たな衛星システムで、GPSと互換性を有し、これを補うことで、高精度で安定した衛星測位サービスを実現します。

本年より、みちびきの運用が始まります。これはみちびきが4機体制となることで、GPSと合わせて8機以上の衛星が常に日本上空をカバーし、電波の遮られる都市部や山間部を除き、安定した測位を行えるようになるためです。将来的に入り組んだ場所での測位実現に向け、2023年度を目途に、みちびき7機体制での運用を目指しています。

■みちびきの運用イメージと衛星数による補強
みちびきによる衛星測位の誤差の改善
衛星測位の主な誤差は(1)衛星数が少ないことによる誤差、(2)電離層による誤差が原因となり、以下によりこれを解消することが出来ます。
  1. 衛星数が少ないことによる誤差
    衛星数を増やすことで解消できますが、米国が運用しているGPS衛星を増やすことは出来ません。そこで、GPS互換であるみちびきを増やすことによって測位誤差を改善します。
  2. 電離層による誤差
    L1とL2(又はL5/L6)という複数信号を組み合わせることで誤差を解消できます。みちびきは4機とも多周波衛星となり、さらに2018年に増加する複数波GPS衛星もみちびきと一体で利用することもできます。

みちびきの提供する主なサービス
みちびきによるサービスは利用したいサービスそれぞれの信号の周波に対応した受信機が必要です(表1)。

■表1 みちびきによるサービスを受けるための受信機
測位サービス名 誤差 受信機 想定用途 信号
衛星測位 約10m 小型既存受信機 モバイル端末 L1C/A, L1C, L2C, L5
サブメータ級測位補強 約1〜2m 中型改良受信機 車載/モバイル端末 L1S
センチメータ級測位補強 約6〜12cm 大型専用受信機 測量機器等 L6

  1. サブメータ級補強
    上述の誤差軽減に活用できる補強情報により測位を行い、精度向上を図ります。サブメータ級補強を送信するL1S信号は、従来の測位信号であるL1C/A信号と同形式の電波のため、既存の受信機の改良により比較的安価に受信機の開発が可能です。主に受信タイムラグの影響を受けにくい歩行者・自転車や船舶などの利用者を想定していますが、他のセンサーと組み合わせることで、ドライブレコーダーのように高精度の位置情報を記録するケースでの利用も可能です。ただし、補強情報を常時受信することが必要なため、バッテリーが課題となり、小型機器の場合、補完する機器の併用が必要です。
  1. センチメータ級測位補強
    現在位置を正確に求めるため、電子基準点を基にした補強データを用い、精密な測位を実現します。センチメータ級測位補強を送信するL6信号は、GPSの配信する周波数とは大きく異なるため、新たに開発した専用の受信機が必要です。主に、建設業や農業でのICT技術活用を想定し、搬送波測位という測量手法を用いるため、大型の受信機が必要となるため、小型機器ではなく、計測機材や車載での利用を想定しています。
■みちびきの軌道

他、みちびきの活用として、活航空機へ情報を提供するSBAS、モバイル端末へ補強情報を利用、災害情報、テロ等の危機管理情報、避難勧告、避難所情報などの発令や通知、ジャミング、スプーフィングを回避のための信号の配信等があります。

UC-win/Roadにおける測位情報の活用
UC-win/Roadは位置情報を保持しており、都市環境等他のシミュレーション環境を同期させたシミュレーションが可能です。これにより測位情報を用いた制御システムなどの開発に応用可能で、効率の良い開発環境を構築することができます。


 

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