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 「協働型のインフラマネジメント」 〜NPO「ITステーション市民と建設」講演会〜

 (Up&Coming 2006年1月号)
 NPO「ITステーション市民と建設」主催による第2回フォーラム「市民参加による国土づくり・まちづくり」が11月26日(土)に開催されました。特別講演会やワークショップが実施され、同NPO賛助会員のフォーラムエイトから社員が多数参加いたしました。今回は、特別講演「協働型のインフラマネジメント」(講演者:東京大学教授、家田仁氏(社会基盤学専攻))についてレポートいたします。
 
 イントロダクションでは、「なぜ協働型なのか」の話がありました。インフラとして生活に必須な「水」、「電気」については、だれでも問題があれば口を出しますが、「まち」、「道路」などのインフラは、何とかなって使えている場合は、問題はあっても必ずしも文句が出てこないことが多いと考えられます。しかしながら、国民の持ち物である河川、海岸、道路などを基盤としたまちづくりについては、口を出してあたりまえと考え、元々はユーザと管理者が同じであったことも考え合わせれば、協働型で工夫をしていかなければならないことになります。
 日本における現状は、道路の写真を事例に「通学の子供たちと大型車や多くの車でひしめくような状態になっている道路」や「「チェーン店舗などの看板が乱立するどこでもよく見られる道路」が示されました。これに対し、海外では、韓国での高速道路バス専用レーンやヨーロッパでの自転車専用停止線のある道路が事例で示され、日本でも工夫が必要であると感じられました。また、自動車専用道路の交通分担率の資料が示され、ドイツ30%、アメリカ24%などに対し、日本は11%と立ち後れている様子がわかりました。

 次にいくつかの事例がケーススタディとして紹介されました。「国道17号線での取り組み」、「東急世田谷線での試み」等が紹介されましたが、ここでは「米国シーニックバイウェイ活動とわが国での試み」を特にレポートしたいと思います。
 米国でのシーニックバイウェイ「美しい脇道」活動は、「スローライフ主義」の高まりもあり、1991年ISTEA(アイスティー)法により、スタートしました。現在では、125ルートに及び地方自治体等の諸団体やグループが提案し、州政府がとりまとめて応募し、連邦道路局で審査の上、指定しているそうです。要求項目は、(1)風景、(2)歴史性、(3)レジャー・観光、(4)文化性、(5)自然、(6)考古学的価値、の6項目から1つ以上(AARは2つ以上)となっており、「計画・設計・運営」に対して連邦から補助が出るようです。
 日本での試みとし、「北海道シーニックバイウエイ」、「この道日本」が挙げられましたが、家田先生が提言を求められている『よりみち街道「中越」』の紹介がありました。被災地山古志村において被災山村の風景と自然を保全しながら、復元していくための提言です。保全すべき近景として「棚田」、「池の錦鯉」、「白壁の住宅」、遠景として越後三山などが写真でも紹介されました。
 講演会直後の報道で、国土交通省が「シーニックバイウェイ事業」の全国展開に乗り出すことが発表されています。すぐれた景観と観光資源を同時に備えた道路を整備し、「道」の魅力を高めて地域活性化につなげる目的で戦略会議を立ち上げることとしており、家田先生もメンバーの候補者と報道されています。

 最後に講演のまとめとして、「協働型のインフラメネジメント」を推進するためのポイントを解説されました。あるべきまちづくり、道づくりを知ることができ、そのための理論と実践がよくわかったように感じました。一市民としても深く感銘を受ける講演会でした。  
▲特別講演会講師、家田仁氏(写真中央)
  特別講演会後に鼎談も実施された。
▲フォーラム会場(東京渋谷FORUM8) ▲講演会後に実施されたワークショップ
  「パートナーシップによる国土づくり・
    まちづくりにおける専門家の役割」
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