フォーラムエイトのデザインフェスティバルは今回で9回目を迎え、11月17日には品川プリンスホテルのクラブeXでその前夜祭が開催されました。テーマは「VRとイルミネーション、プロジェクションマッピングの共演」、その実施は表技協会員が総力を挙げて担当しました。今回はその制作レポートをお送りします。 |
デザインフェスティバルで最先端のマッピングショーを実施
まずはドローン映像とプロジェクションマッピングを融合
前夜祭は1日限りのイベントですが、今回は最先端の表現技術を融合させるためのプランとして5月ごろから検討を始め、7月のギリシャで開催された国際VRシンポジウムのワークショップではその概要をほぼ固めることができました。ギリシャではドローンとプロジェクションマッピングを融合させるための実験を行いました。図1が完成したインスタレーションの様子で、車の模型の背景と床がドローンで撮影した映像です。この演出が実現可能か、車がドローンのように空を飛んでいるように見せるためにはどのように撮影すべきかを検討しました。ただ、実際には道路の上を車に合わせてドローンを飛ばすのは、木や道路のカーブ、車と接触するかもしれない、など無理であることが分かり、図2にあるように車からドローンをかざしてドローンのジンバル機能(揺れ防止機能)によるサンプル映像を撮影しました。 |
▲図1 マッピングとイルミネーション、ドローン映像との融合 |
この経験をもとに日本に戻って離陸から飛行、着陸までのストーリーにそってドローンを飛行させ、その映像を車のマッピング映像にも反映させることで、あたかも車が走りながら空中を飛んで着陸するまでをリアルに表現することが可能となりました。(図3)これでマッピングとドローンの融合は目途が立ちました。
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▲図2 ギリシャでのドローン実験撮影 |
▲図3 マッピングテーブルでドローン映像と
マッピングの融合を評価 |
さて車のモックアップを作ろう
クラブeXは搬入口が狭く、実物大の車を持ち込むことができなかったため、今回は1/2サイズの模型を製作することにしました。製作には表技協会員のハマナカデザインスタジオさんにお願いして、硬質段ボールや木をレーザーカッターでカットして組たてる方式を採用することになり、その評価を1/12のプロトタイプで行いました。その次の課題はこの板でできたモックアップにどのように投影するかです。投影を考えるとモックアップの表面はスクリーン化されなければなりません、当初は断面模型ではなくスクリーン貼の必要がないポリゴン模型を作成し、それに投影することも行いましが、オブジェとしては面白いのですが、やはり車のリアリティを残すことが必要であるとの判断から、最終的には断面モデルの表面にスクリーンを貼ることにしました。
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▲図4 段ボールによる断面プロトタイプ模型 |
▲図5 紙によるポリゴン模型 |
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▲図6 スクリーンを貼った断面モデル |
▲図7 大型化して会場に設置(3分割組立) |
■マッピングテーブルによるモデル素材の違いによる投影評価
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▲図8 断面モデルへの投影時 |
▲図9 3Dプリンタモデルへの投影時 |
続いてVRとプロジェクションマッピングを融合
今回の映像送出システムの中心はフォーラムエイトのUC-win/Roadを使用し、あらかじめ作成した車の3DCG映像を空間上の板に貼り、車の1/2模型に3台のプロジェクター(前2台、リア1台)により投影する方法と、リアルタイムでの3DVRを混在させて投影しています。リアルタイムの3DVRは未来感のある都市を表技協会員の(株)CRAVAさんにUC-win/Roadで作成いただき、スクリプト機能で再生しています。
プロジェクションマッピングの設計と映像制作は同じく表技協会員の吉川マッハスペシャルさんと阿部さんに担当していただきました。
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▲図10 UC-win/Roadで制作した未来都市の
風景と車への風景の映り込み |
▲図11 プロジェクションマッピング |
イルミネーションとの連携含めて全体的に演出
これでドローン撮影、レーザーカッターでの模型制作、3DVR、プロジェクションマッピングと、それぞれのパーツがそろったわけです。残るはイルミネーションやDJを含め、どのようにこの会場に適した演出にまとめるかということになります。会場のクラブeXは円形をしておりそれを利用すれば全方位からのマッピングも可能となるのですが、今回は背景が必要だったので車に対しては背面からは見ることができませんが、そのほかは前後、左側面、上からの全ての場所から見ることができるように設計しました。
下図がイルミネーションを含めた全体のシステム構成図です。イルミネーションと映像の連携はDMXを介して行われ、これらのプログラミングもハマナカデザインスタジオさんにお願いしました。 |
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▲図12 円形の会場「クラブeX」 |
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▲図13 システム構成図 |
イルミネーションは模型両サイドのバー状のものと、模型上部にある星型のもので構成されており、映像の連携信号の流れは[イルミ用PC]→[映像再生PC]の方向で、大きく分けて下記の2つの方法で行いました。これらのオペレーションは場の雰囲気を見てDJ(Oniさん)とVJ(吉川さん)、LJ(濱中さん)が行いました。
- 音声入力のボリューム量によりイルミネーションが自動点滅する(自動)
- イルミ用PCからのキュー信号を受けて指定の映像を自動再生する(キュー信号は人がたたく)
→キュー信号を受け、背景スクリーンに上に向かって放出される星の映像が流れ、それに連動して上部の星型イルミ
が点滅する
→キュー信号を受け、イルミのバーが左右から流れるように点滅し、その流れに合わせて映像で作られたイルミ同様
のバーが点滅し、車が走っているように見える
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▲図14 左から吉川、濱中、DJ Oni |
▲図15 星型とサイドバー状のイルミネーション |
おわりに
今回のイベントは多くの表現技術を連携させて初めて実現することができ、そのポテンシャルは大変大きく、今後の表現に幅を与えてくれました。その実現に当たってはそれぞれの専門家が密接にコミュニケーションを取り、実験や評価を行いながら進める必要があるなど、実務面でも大きな成果を得ることができました。それにしても表技協のメンバーは多彩な表現技術をお持ちで頼もしい限りでした。
このようなイベントを実施されたい方がいらしたら、お気軽にご相談ください。
■第9回フォーラムエイトデザインフェスティバル前夜祭 YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=1gBU1oEgphc
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