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 国際VRシンポジウム 第5回サマーワークショップ イン ハワイ
●日時:2014年7月8〜11日
●会場:ヒルトン・ハワイアンビレッジ・ワイキキビーチ・リゾートホテル
(Up&Coming 2014年11月号)




7月8日から11日まで、ハワイ・ホノルルのヒルトン・ハワイアンビレッジ・ワイキキビーチ・リゾートホテルで、国際VRシンポジウム 第5回サマーワークショップ/最先端表現技術研究講演会が開催されました。
フォーラムエイト特別顧問の川村敏郎氏のあいさつに続き、特別来賓の中華民國工商協進会名誉理事長の黄茂雄氏があいさつし、フォーラムエイト代表取締役社長の伊藤裕二氏が開会を宣言しました。
参加者は「World 16」と呼ばれる世界各国から集まったUC-win/Roadを活用する研究者のほか、フォーラムエイトが開催するコンペの審査員などです。
Day1 7月8日(火) 特別招待講演、スターティングメッセージ(小林佳宏アリゾナ州立大学准教授)、プレショップ、最先端表現技術セッション、サマーワークショップセッション、VDWC セッション・CPWC セッション予選会 など
Day2 7月9日(水) テクニカルツアー1(ハワイ大学)、テクニカルツアー2(テツオ・ハラノH3 トンネル)、World 16 ワークショップなど
Day3 7月10日(木) World 16 ワークショップなど
Day4 7月11日(金) World 16 ワークショップによるプロジェクション・マッピング作品発表

■左から川村敏郎氏、黄茂雄氏、伊藤裕二氏 



過去に行われたフォーラムエイト主催「3D・VRシミュレーションコンテスト」の受賞者が特別招待ユーザとして「UC-win/Roadによるプロジェクト事例とその後の展開」をテーマに、受賞後のプロジェクト進展について講演しました。また、日本やオーストラリア、韓国でフォーラムエイトの代理店を務める特別招待エクセレントディーラーが「IT営業活動と業界の動向について」というテーマで各国の動向を報告しました。

特別招待ユーザ
田中成典氏 関西大学 総合情報学部 教授
「VRによる阪神高速道路の地下化と都市の魅力向上に向けた計画提案」

■田中成典氏
2次元CADデータの交換標準「SXF」や製図基準の研究開発に加えて、2次元を3次元化する手法や、日本初の3次元CADエンジンを開発しました。地形を測量し、3Dで設計し、そのデータを施工管理に生かし、出来形をGIS(地理情報システム)にアップするという建設ライフサイクル情報の循環が可能になったのです。
最近は航空レーザー測量やUAV(無人機)による写真測量を使って河川形状を点群データ化し、これを元に河川のサーフェスモデルや断面図の作成も行えるようになりました。こうした技術を使うことで、災害の前後での河川断面形状を比較できます。復旧作業を迅速に行うのに役立つでしょう。

後藤秀典氏、梅田祥吾氏 オリエンタルコンサルタンツ
「首都高速道路 大橋JCT走行支援策VRデータ」

■後藤秀典氏
首都高速道路の大橋ジャンクションは限られた用地のため、地下の中央環状新宿線と高架の首都高速3号渋谷線の高低差70mを2回転のループでつないでいます。本年度、中央環状線はさらに延伸し中央環状品川線が開通する予定で、ジャンクション内の分岐個所はさらに増えることになります。ドライバーをスムーズに誘導するため、赤と青のカラー舗装を施し、UC-win/Roadでモデル化し、ドライビングシミュレータを使って設計を検証しました。また、UC-win/Roadで避難路や表示板、案内板などもモデル化し、避難表示標識の最適化検討や避難経路説明でも活用しています。ホームページでも公開の予定です。

イ・ドンミン氏 ソウル市立大学
「新型道路構造におけるVRシミュレーションの活用」

■イ・ドンミン氏
2013年の「3D・VRシミュレーションコンテスト」で、合計3車線の道路を建設し、場所によって中央の車線を上り/下りの追い越し車線として使う「2+1車線道路」という新しい方式の道路について発表しました。低コストで効率の高い道路が整備できますが、中央車線が上下で入れ替わる境界部分の長さなどをよく検討する必要があります。そこでUCwin/Roadで「2+1車線道路」をモデル化し、高齢者を含めた様々な被験者にドライビングシミュレータで走行特性を定量的に検証しました。今後は夜間の視認性や歩行者の影響なども研究し、その一部の結果は3D・VRシミュレーションコンテストにも応募したいと思います。

特別エクセレントディーラー
木下大也氏 株式会社岩崎 企画調査部取締役部長
■木下大也氏
当社は北海道内に12の営業拠点を持っており、最近、東京支店も開設しました。今、力を入れているのはCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の展開です。
北海道内では過去5〜6年間でVRの実施が急激に増えてきました。現場をVRで精密に3Dモデル化して法面工の施工、CO2排出削減などを目的としたダンプの効率的な運行、重機の騒音など、様々な目的でシミュレーションを行っています。3Dレーザースキャナーによる雪斜面の横断図作成も行いました。
維持管理分野ではセンサーや計測器のデータをCIMデータに連携させた例もあります。

アニタ・バーンズ氏 FORUM8 AU PTY Ltd
■アニタ・バーンズ氏
オーストラリアは道路や鉄道など、インフラへの投資が増えており、ビジネスチャンスがあります。
UC-win/Roadのユーザとしては、建設会社やコンサルタント、州政府のほか地方自治体や大学などがあります。ドライビングシミュレータは飲酒運転の研究や、キューブ社(QUBE)のように自動車運搬船からのクルマの荷卸しを行うドライバーの訓練などに使われています。
このほか、若者が免許を取る前の運転教育などにも使われています。

キム・ドホン氏 FORUM8 KOREA
■キム・ドホン氏
FORUM8 KOREAではUC-win/Roadやドライビングシミュレータ、EXODUS、DesignBuilderを販売しています。
UC-win/Roadは韓国高速道路会社が新設する高速道路の線形検討や標識・トンネルの位置の検討に使われているほか、韓国鉄道研究所では保線作業の安全性を高める装置の開発に使われています。
今後、韓国市場でのターゲットは交通や運転者の挙動の研究、自動運転車やヘッドアップディスプレーの開発、ドライビングシミュレータなどが有望と考えられます。



最先端表現技術セッション
カール・キム氏 国立災害対策訓練センター/アメリカ
「社会経済的な側面を考慮したハザードマップを作成」

■カール・キム氏
ハワイ大学にある国立災害対策訓練センター(National Disaster Preparedness Training Center)は、ハワイ特有の地理的、文化的背景を踏まえた災害対策についての研究開発を行っています。海面上昇やストーム、津波、そして500年に1度の河川氾濫という4つの災害による浸水をGIS上でハザードマップ化しました。同時に高齢者や幼児、障害者、非英語使用者、自動車を持たない人など、社会経済的な側面を考慮して避難シミュレーションを行っています。こうした災害時には、統合公共警戒警報システム(IPAWS)によって、テレビや携帯電話、インターネット、サイレンなど様々な方法で市民に避難指示を行います。
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■社会経済的な側面を考慮したハザードマップ

ゴロー・スリジョアディスクモ氏 ハワイ州運輸局/アメリカ
「色付き点群データを道路管理に活用」

■ゴロー・スリジョアディスクモ氏
ハワイ州運輸局は、6つの島にまたがる約5000マイルの道路を管理しています。維持管理業務を効率化するため、2003年にデジタルカメラを使った「フォトログ」という道路管理手法を導入しました。画像の解像度は当初、2台のカメラで1280×1024ピクセルでしたが2011年には3296×2472ピクセルまで上がりました。2009年には車載型の3Dレーザースキャナーを導入し、オアフ島内の道路1000マイルを計測して、2000億点以上の点群データを取得しました。ファイル容量は630GBにも上ります。そしてフォーラムエイトの協力を得て、デジタル写真と点群データを合成して点群に色を付けて、道路管理に活用しています。
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■高速道路の管理に使っている色付き点群

ペンクレアシュ・ヨアン氏 フォーラムエイト/日本
「CIMソフトとして進化を続けるUC-win/Road」

■ペンクレアシュ・ヨアン氏
今回、リリースされた「UC-win/Road Ver.10」には、まず運転シミュレーションの機能では速度やステアリングの自動制御、ブレーキアシストなどの自動運転に関する機能が拡張されました。DWGファイルによる入出力機能によりCADとの連携はさらに高まりました。群集移動シミュレーションは出発地と目的地を定義する「ODマトリックス」に対応するなど強化されています。そして鉄道シミュレーション機能ではカントを自動計算する機能や、分岐器を作成する機能が加わりました。このほかRhinoceros®との連携や64ビット対応、VR-Cloud®上での3Dデータ編集機能などで、UCwin/RoadはCIMソフトとしてさらに進化を続けています。
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■CIMソフトとして進化を続けるUC-win/Road

サマーワークショップセッション
コスタス・テルジティス氏 ハーバード大学/アメリカ
駐車スペースを個人間取引する「オーガニック・パーキング」

■コスタス・テルジティス氏
都心部にクルマで出掛けるとき、困るのが駐車できるスペースが見つかるかどうかわからないことです。例えば、結婚記念日のディナーにすてきなレストランを予約し、正装やプレゼントを用意することまではできても、駐車場が確保できるかどうかという問題だけは、未知のものです。そこで開発したのが「オーガニック・パーキング(Organic Parking)」というシステムです。これは駐車スペースを個人間で取引するものです。駐車場に既にクルマを止めている人と、これから止めたい人とをインターネットのチャットなどを利用してつなぎ、時間と価格を交渉します。
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■オーガニック・パーキングのイメージ
スマートフォンの画面上には「売り」に出ている駐車スペースの価格と場所が表示されているので、これから駐車したい人は場所や価格などを見て、最も有利なものを選ぶことができます。このシステムによって、駐車場を確実に予約できることになり、駐車場の問題が解決されます。私はオーガニック・システム社という会社を設立し、CEOを務めています。 

福田知弘氏 大阪大学/日本
「VR-Cloud®でハワイと大阪を結ぶリアルタイムコラボ」

■福田知弘氏
VR-Cloud®を使うことで、地理的に離れた場所にいる設計者同士が遠隔地コラボレーションしながら、設計を進めていくことができます。例えば、今、私はハワイにいますが、大阪大学の研究室にいる学生とテレビ会議をしながら、VR-Studio®で設計を進めていくことができることをご覧にいれましょう。例えば市街地にある古い一軒家を解体して、その後にマンションを建てるプロジェクトでは、VRによって周囲の街並みや地形を把握しながら、建物自体の意匠はもちろん、外観や窓から見える景色なども検討できるのです。VR-Cloud®で遠隔地の設計者同士がうまく意思疎通を行うためには、ビデオ会議や電話会議に加えて、VR画面上に手描きでスケッチできる機能が非常に有効でした。
例えば空間の構成や計画中の建物のボリューム感などを、設計初期の概念設計段階で検討するのには効果的でした。そして具体的なイメージを設計者同士が共有し、メンバー同士がリアルタイムに意見交換しながらデザインの検討を進めていくことができます。 
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■VR-Cloud®を使用した大阪大学とのリアルタイムコラボ

楢原太郎氏 ニュージャージー大学/アメリカ
「センサーやロボティクスを組み合わせた研究、教育」

■楢原太郎氏
設計者として建築設計事務所で3D設計を行った後、2000年代から建築空間上の人間行動をシミュレーションし3Dで可視化するプロジェクトなどに携わってきました。また、研究成果の一部はUC-win/Roadの群集シミュレーション機能として実装されています。最近は、群集シミュレーションなどに通路の制約条件などを動的に連携させる相互作用についても研究を進めています。さらにアリゾナ州立大学の小林佳宏准教授と連携して、シミュレーションした群集の動きを建物の模型上にプロジェクション・マッピングで表現する研究も行いました。
現在はこれらの研究をさらに発展させて、様々なセンサーやロボティクス、デジタルファブリケーションなどを組み合わせた研究を行っています。シミュレーション結果によって実際にロボットなどを動かすシステムなどを開発し、ニュージャージー工科大学での教育に活用しています。「Up and Coming」の「TAROの海外建築教育レポート」もご覧ください。
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■ロボティクスやセンサーを活用した研究の例

ワエール・アブデルハミード氏 バーレーン大学/バーレーン
「VRをMS ProjectやGISと連携した施工管理システム」

■ワエール・アブデルハミード氏
VRをプロジェクト・マネジメントに活用し、建物の構造や建設プロセスを可視化する研究を行いました。UC-win/Roadに実装されている様々なインポート機能を使うと、建物などの3Dモデルが読み込めます。建物の建設が基礎の構築から1階の床、壁、天井と進んでいく様子を表すのに、VRをMS ProjectやGISと連動させました。VR-Studio®の「microsim player」を通じて建物に変化を与えるためはXMLファイルを使います。社長やプロジェクトマネジャーといった全体を統括する人と、建設会社の技術者では、権限と知識によって建設プロジェクトを進めるのに必要とする情報の詳細度が違うので、それぞれに合った情報提供が行えることが重要です。
また都市設計では、都市の機能や魅力、環境を調和させて建物と空間を配置していくことが求められます。学生のグループにVRを使って都市設計の実習を行ったところ、高い効果があることがわかりました。
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■VRを施工管理に活用した例

トマス・タッカー氏 バージニア工科大学/アメリカ
「コウモリの動きをモーションキャプチャーで解析、モデル化」

■トマス・タッカー氏
私は「モーションキャプチャー」の研究を行っています。人やモノなどに数多くの「マーカー」という印を付けてビデオカメラで撮影すると、マーカーの位置を手かがりに被写体の位置や動き、変形などを定量的に解析することができるのです。この技術を使って、中国の洞窟(どうくつ)に住むコウモリの動きを解析する研究を、バージニア工科大学と中国のシャンドン大学が共同で行いました。生きているコウモリに、羽根の骨格部分と膜部分に分けてそれぞれ多数のマーカーを張り、十数台のビデオカメラを設置した人工の洞窟内部を飛行させて、羽根の動きを計測したのです。頭の動きも解析するため、コウモリの顔部分にフェース・ペインティングのようにマーカーを手描きして動きを解析しました。
さらにコウモリを3Dモデルとして正確に表現するため、小型のCTスキャナーで骨格構造を解析するといったことも行いました。そして洞窟の内部形状を3Dレーザースキャナーで計測し、最終的にUC-win/Road上にVRモデルとして再現することに成功しました。
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■コウモリのモーションキャプチャー

ロン・ホーカー氏 アルバータ大学/カナダ
「新技術が生み出す哲学的な経験をVRで表現」

■ロン・ホーカー氏
工学の世界では、より効率的、効果的にプロジェクトの設計や情報交換が行える新しい技術を求めがちです。一方、人としては新技術によって得られた経験に対する哲学的な意味を欲します。われわれは技術革新を起こして活用したいと思う一方、新技術がどのような新しい物語を作り出し、哲学的な経験を生み出すことができるかを追求したいと思っているのです。今日、上映したビデオでは、2つの重要な挑戦が含まれています。
1つはVRの教育に対する重要性は何か、特に人間性と社会科学についてです。VRは現象の哲学的な洞察を与え、現実での経験を再現するとともに予測できなかった洞察を与えてくれます。
もう1つは、時間や空間からなる物語を、文化的、動的な可視化を行いながら、VR環境下で扱えるかという問題です。特に時間と空間、生物、宇宙を明確に組み合わせて。われわれの脳裏にある時間や空間、宇宙についての映画のような経験を、UC-win/Roadを使ってVRに変換し、東京でお見せしたいと思います。
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■ロン・ホーカー氏が上映したビデオ

マシュー・スワーツ氏 ジョージア工科大学/アメリカ
■マシュー・スワーツ氏
多くの人が参加して都市設計を行うことは重要です。建物の資金や部屋の配置、各室の空間的なデザインなどを検討するのにVRは有効です。
最近、実用化が進んできたUAV(無人機)は、VRの活用をさらに便利にしてくれます。例えば開発現場の航空写真や空撮ビデオを撮ったり、空中から歩行者の動きを記録したりできます。さらに、GPS(全地球測位システム)のデータでUAVに飛行経路を入力しておくと、指定されたルートを飛びながら連続写真を撮ってくることもできます。この写真データから、高精度の点群データを作ることもでき、さらにメッシュデータやテクスチャーの張り付けまで行えるのです。
このほか、航空測量技術で地図を作ることも可能です。以前の航空写真で作った地図と比較することで、その間の変化もすぐにわかります。この地図データをUC-win/Roadに読み込んで道路モデルを作成し、3ds Maxで作成した3Dの建物を読み込み、さらに色付きの点群データを読み込むと樹木や緑地などもリアルに再現できます。 
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■UAVを講演会場で飛行させるデモンストレーション



11月20日に東京・品川で授賞式が行われる「第4回 学生BIM&VRデザインコンテスト オン クラウド」(以下、VDWC)と、「第2回 学生クラウドプログラミングワールドカップ」(以下、CPWC)について、両コンテストの審査委員会メンバーが応募状況などの中間報告を行いました。
VDWCの実行委員長を務める慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授の池田靖史氏は、「38チームのエントリーがあった。
チームをふるい落とすのではなく、積極的にコメントをフィードバックすることでできるだけ良い結果が出るようにしたい」と方針を語りました。
また、CPWCの審査委員長を務める大阪大学 大学院工学研究科准教授の福田知弘氏は「7月8日現在で9チームから作品の提出があった」と、応募状況を説明しました。こちらも早期のふるい落としは避け、10月に行う審査によってノミネート作品を決める方針とのことでした。

■講評するVDWC(左)とCPWC(右)の各審査員 



2日目の7月9日は、「テクニカルツアー」が開催され、午前中はハワイ大学で研究発表と施設見学、午後はテツオ・ハラノH-3トンネルの見学会が
行われました。
ハワイ大学では4人の研究者が3次元CADとCNC(コンピューター数値制御)ルーターを使った潜水用防水ケースの製作や、3Dプリンターを使って文書の文字をビルに見立てて世界の有名都市を表現する次世代のカリグラフィーアートなどの研究成果を発表しました。続いて、3DプリンターやCNCルーター、レーザーカッターから、丸ノコ盤まで様々な工作機械を備えた大学内の工房施設と、これらを使って作られた立体地図やベニヤ板成形用治具などを見学しました。

■ハワイ大学での研究発表(左)と工房見学(右)

■ずらりとモニターが並ぶ監視室(左)。メンテナンス用トンネル内の見学(右)



今回のワークショップの大きな目玉は、World 16のメンバーによる「48時間でのプロジェクション・マッピング制作」プロジェクトでした。
メンバーは7月9日の午後から作業に取りかかり、まずはハワイの島をかたどった立体スクリーンの製作を始めました。3dsMaxでスクリーンの3Dモデルを作り、それを「ペパクラデザイナー」というソフトで展開図を描き、ボール紙を切り抜いてのりやガムテープで張り合わせる、という手順です。現地調達のボール紙は厚さが異なるものが混在していたため剛性が異なり、張り合わせるだけでも苦労しました。
そして、映像は最終日の7月11日から制作を開始し、立体スクリーンや背後の壁面にピッタリと投影できるように映像を編集するというスピーディーな作業でした。途中、プロジェクターの位置がずれてしまったため、映像編集をやり直すというハプニングもありました。これらの作業は、他の参加メンバーには知られずにひそかに行われていましたが、ワークショップの最終イベントとして7月11日の夕方に発表会が行われました。
アドバイザーを務めた最先端表現技術利用推進協会会長の町田聡氏による講演に続き、行われた上映会では、出来栄えのすばらしさに歓声が上がりました。立体スクリーンの各面には、溶岩流や地質、ハワイの自然、道路などがピタリと映し出され、会場は歓声と興奮に包まれました。

■町田聡氏による講演(左)に続いて行われたプロジェクション・マッピングの上映会(右)

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