●日時:2016年11月15日(Eve)、16〜18日(3Days) ●会場:品川インターシティ ホール |
(Up&Coming 2017年1月号) |
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国内外から多様なデザインやVR活用の新提案
デザインフェスティバルのDay2(2016年11月17日)午前は、品川インターシティ ホールで「第17回 UC-win/Road協議会」の特別講演と「第4回 CPWC」および「第6回 VDWC」の公開最終審査を実施。午後からは、「第9回 国際VRシンポジウム」および「第2回 最先端表技協・最新コンテンツセッション・CRAVA社」の後、「第4回 CPWC」「第6回 VDWC」および「第2回 ジュニア・ソフトウェア・セミナー」の表彰式が行われました。
Day2は「常識を破る〜デザイン基盤としての人間の認識能力と限界〜」と題する東北大学未来科学技術共同研究センターの川添良幸教授による特別講演でスタート。
人間の網膜の認識領域や人間の時間分解能の制約と、今日の高解像度技術をはじめとする科学技術の進歩を対比。次いで、「月は地球の衛星ではない(両者は連星である)」「電気が流れるモノと流れないモノ」などの話を例に教科書などで常識とされていることに潜む様々な間違いの危険性を指摘。また、通信や言語を例にグローバル化されてきた今日の、自動運転技術の規格化を巡る国を挙げた取り組みの意味を説きます。その上で、虹の光波長の分類やゴミの分別における常識の矛盾、三角形のタイヤでクルマが滑らかに走らないという先入観と実際、日本が資源小国という常識と反証、鉄は錆びるという常識と真実、量子力学の困難さの背景などへと話を展開。これらを受けて、基礎理論や定式化、プログラミングの重要性に言及。最後に、原子力発電所の問題は国内問題にとどまらないという視点を紹介。「違う角度から見ると違うモノが見える」故に、常識と思われていることにも異なる角度から見てみようという持論が導かれました。 |
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■東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授
川添 良幸 氏 |
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第9回国際VRシンポジウムは、アリゾナ州立大学 プリズム研究所/FORUM8 AZ代表の小林佳弘氏によるオーガナイズのもとで開催されました。
オープニングは小林氏よりWorld16のこれまでの実績、国際VRシンポジウムの軌跡、大阪でのサマーワークショップの成果を紹介し、World16の研究者による発表が続きました今回の発表では。写真を活用した高精度なモデリングとそのVRでの幅広い活用、VRをアーカイブや教育などに使うコンテンツ、システムとのより高度な連携といった内容が目立っていました。
マシュー・スワート氏(ジョージア工科大学)は、WebSocketを使用してスマートフォンなどのブラウザからVRアプリケーションと非同期通信を行い、キューブへのプロジェクションマッピングを行う方法について発表。エンターテイメント分野などへの応用が期待される内容となりました。
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■アリゾナ州立大学 小林 佳弘 氏 |
■ジョージア工科大学 マシュー・スワート 氏 |
ルース・ロン氏(シェンカル工科デザイン大学)は、オフィスの椅子に座って仕事中の人をサーモセンサー搭載カメラで撮影して得られた複数の画像から、熱分布写真のテクスチャを生成し、3Dモデルを作成する研究を紹介。体温の高い部分・低い部分等から、快適な姿勢を分析するもので、テクスチャを貼り付けた3DモデルをRoadにインポートして姿勢のシミュレーションなどを検討しています。
ドン・ソーチョイ氏(バージニア工科大学)は、遺跡の内部を撮影した写真データから点群モデルを生成し、メッシュ、テクスチの作成で建物のモデルを構築する、高精度なフォトグラメトリーの手法についての研究を紹介しました。
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■シェンカル工科デザイン大学 ルース・ロン 氏 |
■バージニア工科大学 ドン・ソーチョイ 氏 |
楢原太郎氏(ニュージャージー工科大学)は、UC-win/RoadとARDUINOの連携について。実空間上のセンサーやモーターを使ったフィジカルなデバイスと、USBケーブルを介したシリアル通信を利用して、VR空間をリアルタイム連携するプロジェクトを解説しました。
マルコス・ノバク氏(カルフォルニア大学)は、シェーダをプラグインとして使用し、UC-win/RoadのVRをリアルタイムでアーティスティックなグラフィックに変換する手法を紹介。
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■ニュージャージー工科大学 楢原 太郎 氏 |
■カルフォルニア大学 マルコス・ノバク 氏 |
ロン・ホーカー氏(アルバータ大学)は、歌川広重の1833年に発表された浮世絵師作品「東海道五十三次」をVRで表現するプロジェクトについて紹介。歴史的・文化的なビジュアルとサウンドを素材として使用しUC-win/Roadのシナリオ機能を利用して、五十三次の世界をVRの中に再構築していました。
アマル・ベンナージ氏(ロバートゴードン大学)は、教育における3Dツールの活用可能性を検証することを目的としたプログラムを紹介。スコットランドの250年前の廃墟をスキャンして点群をRoadにインポートし、VRのアーカイブとして再現しています。
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■アルバータ大学 ロン・ホーカー 氏 |
■ロバートゴードン大学 アマル・ベンナージ 氏 |
ワエール・アブデルハミード氏(バーレーン大学)は、マイクロシミュレーションを利用して、VRの建物内をウォークスルーしながら、部屋などのスペースごとにエネルギー計測などの情報を表示するシステムを解説。CIMにおけるVRの活用可能性を印象付けました。
パオロ・フィアマ氏(ピサ大学)は、ピサ大学で提供している、AllplanとUC-win/Roadを使って、BIMの概念や、データ交換、モデル活用など、BIMの実際の運用について学ぶプログラムを、デモンストレーションと動画・サウンドを交えて紹介しました。
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■バーレン大学 ワエール・アブデルハミード 氏 |
■ピサ大学 パオロ・フィアマ 氏 |
スカイ・ロー氏(ヴィクトリア大学)は、ゲーム感覚でデザインの共同検討が行えるオンラインツール「MULTI‐USER ONLINE DESIGN ENVIRONMENT (MODE)」を紹介。このツールで生成した建物モデルをUC-win/Roadで利用する手法を解説しました。
コスタス・タージディス氏(ハーバード大学)は、位置情報を利用したアプリをビジネス展開するための方法やツールについて、スマホを使ってスムーズに待ち合わせるためのアプリを例として紹介しました。
トーマス・タッカー氏(バージニア工科大学)は、アメリカ・バージニア州の歴史的建物群「Smithfield Plantation」を、フォトグラメトリーの手法でモデリングし、VRアーカイブを作成するプロジェクトを中心に、活用事例を紹介しました。
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■ヴィクトリア大学 スカイ・ロー 氏 |
■ハーバード大学 コスタス・タージディス 氏 |
■バージニア工科大学 トーマス・タッカー 氏 |
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最先端表現技術利用推進協会 会長の町田聡氏は、「最先端表現技術活用への取り組み」について講演。表技協の直近の活動として、2016年3月の熊本地震後に発生した土石流で、フォーラムエイトの協力により解析・VRシミュレーションを行って現地に提供した事例について紹介しました。
また、CRAVA代表取締役の香月蔵人氏は、「ゲーム業界でのVRの可能性」と題して、VRとゲームの融合による販促・プロモーションコンテンツの開発サービスを紹介。UC-win/Roadの機能を使ったアーティスティックな表現を披露しました。
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■一般財団法人最先端表現技術利用推進協会 会長
町田 聡 氏 |
■株式会社CRAVA 代表取締役
香月 蔵人 氏 |
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Arcbazarと自主簡易アセスを融合する新提案
休憩を挟んだDay2最後の特別講演は、「Arcbazar × ProjectVR」。その前半は、米国を拠点に建築設計デザインコンペのクラウドソーシングサイトを運営するArcbazar社の創立者でCEOのIMDAT As氏がまず、同社の提供するサービスの一端とそこでのUC-win/Roadとの連携に言及。その上で、米国の巨大な建築市場とその多くのプロジェクトにおける設計者に関する問題点に触れ、「Arcbazar」を介することでクライアントに設計面のソリューションを提供する仕組み、Arcbazar上のプロジェクトの種類と比率を概説。東京高輪に建設予定の建物プロジェクトを例に、条件が提示され、それを基に様々な設計案が応募され、それらに対し各設計者の技術的な背景などの情報を基に評価が行われる流れを説明。
次いで、同社の世界的な市場の概要、伝統的なクライアントと設計者の間のプロトコル、それとArcbazarにおけるプロトコルとの対比、Arcbazarのプロセスへの当社の関わりについて整理。最後に、当社も参加し、2016年6月に実施されたオバマ・プレジデンシャル・センターのコンペの概要やポイント、受賞作品などを、ビデオを用いて紹介。同コンペを通じて実感された、コンペのプロトコルとしてのUC-win/Roadの利用により参加ユーザーや設計者自身らが3D・VR空間の中で事前に設計案をリアルに理解できるメリットなどを述べました。
続く後半は、NPO地域づくり工房代表の傘木宏夫氏が自身らの推進する自主簡易アセスの概要や意義を実践例とともに解説。次いで当社が関係する自主簡易アセス支援サイトの概要とポイントを、3D・VRを利用したファシリテーション例、およびVRクラウド利用による可能性を交えて紹介。さらに、Arcbazarとの連携を通じ、そのデザインコンペの仕組みに環境配慮(自主簡易アセス)を取り込もうという狙いに言及。新国立協議場計画の不透明な検討プロセス例に触れつつ、そうしたプロジェクト向けにクライアントの意思決定を支援する「ProjectVR」の概要を説明しました。
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■Arcbazar CEO Imdat As 氏 |
■NPO 地域づくり工房 代表 傘木 宏夫 氏 |
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台湾・基隆港の歩行空間計画がワールドカップ賞に
UC-win/RoadやVR-Cloud®の伝送システムの開発キット(SDK)によるクラウドアプリのプログラミング技術を競う学生クラウドプログラミングワールドカップは今回、10月6日の作品提出締め切りまでに18チームがエントリーし、10月9日〜13日までクラウド上での審査が行われました。その結果、8作品がノミネートされ、11月17日の最終公開審査に臨みました。
大阪大学大学院工学研究科准教授の福田知弘氏を委員長とする審査委員会では、提出されたソースコードを入念に見ながら、厳正に作品の評価を行いました。
その結果、最優秀の「ワールドカップ賞」を受賞したのは、中国・上海大学のチーム「fireman」による「Fire Plugin- Simulation of Influences of Director Action in Fire Accident」です。 |
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■第4回CPWC ノミネート受賞者の皆様 |
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トンネル内などの火災時に、避難指示者に従う人々の避難行動をシミュレーションするもので、様々な条件をパラメーターで状況を変えながら、犠牲者を最小限に抑えるように避難指示者のトレーニングを行うことができます。このほか、各審査員から審査員特別賞が授与されました。
その他のノミネート作品および作品の詳細は以下のバナーからご覧ください。 |
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(執筆:家入龍太) |
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土地の複雑な問題に対する提案がワールドカップ賞に
今回のテーマは、オーストラリア・メルボルンにある「フィッシャーマンズ・ベンド」と呼ばれる港湾工業地帯の再開発計画。
高速道路に分断された地域をつなぎ、歩行者や自転車が通りやすく、景観、サステナビリティーが複合したまちづくりをVRで競うものです。
日本や海外からのエントリー総数は53チームにのぼり、うち34チーム(日本6、海外28)が予選を通過。11月17日の公開最終審査で1つのワールドカップ賞、2つの優秀賞、そして4つの審査員特別賞が授与されました。
最終公開審査で最優秀の「ワールドカップ賞」を受賞したのは、台湾の国立高雄大学のチーム「Dreams」による「Green Wave」という作品でした。 |
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■第6回VDWC ノミネート受賞者の皆様 |
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オーストラリア先住民にとって大事な資源だったヤラ川にインスピレーションを受けた「グリーンウェーブ」という概念で、土地の利便性や防災、環境からなる複雑な問題をBIM/CIMやVRでシミュレーションしました。
また、優秀賞は芝浦工業大学のチーム「Suqreme」による「ORIGIN HILLS」と、オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のチーム「Old McDonalds Vertical Farm」の「Modern City Farming」という作品に与えられました。このほか、4つの審査員特別賞が決定しました。 その他のノミネート作品および作品の詳細は以下のバナーからご覧ください。 |
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(執筆:家入龍太) Page Top  |
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小中学生がUC-win/Roadで作ったVR作品に歓声が
フォーラムエイトは、一般財団法人 最先端表現技術利用推進協会の協力を得て、2016年も冬、春、夏の休みに、小中学生を対象とした「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」を開催しました。バーチャルリアリティーソフト「UC-win/Road」を使って町やジオラマなどのVR作品を作るのが課題だ。今回は2016年のセミナー参加者が作った作品の中から、ゴールドプライズ、シルバープライズ、それぞれ5人が表彰されました。
昨年に引き続き、11月17日に行われた第2回の表彰式では、プレゼンターの阿部祐二氏が受賞者ひとり一人にインタビューを行いました。ゴールドプライズ受賞作に選ばれた巨大な海中水族館や呪いの遊園地、そしてリアリティーあふれる秋まつりなどの個性豊かな作品には、会場に詰めかけたVRのプロたちも思わずほほえんでいました。 |
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■受賞された皆さん |
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■表彰式の様子(品川インターシティホールにて) |
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(執筆:家入龍太) Page Top  |