避難とサインのワークショップ「避難誘導システムの考え方、避難誘導のあり方」 主催:NPO法人サインセンター
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●日時 :2012年11月20日 ●会場 : フォーラムエイト東京本社セミナールーム |
(Up&Coming 2013年1月号) |
2012年11月20日、フォーラムエイト本社セミナールームにて、NPO法人サインセンター主催による「避難とサインのワークショップ『避難誘導システムの考え方、避難誘導のあり方』」が開催されました。
本ワークショップは、非常口サインの開発で知られる太田幸夫氏(サインセンター理事長)と、フォーラムエイト販売の避難解析ソフトEXODUS/火災解析ソフトSMARTFIREを開発したエド・ガリア教授(英国グリニッジ大学教授)を招いて行われました。また、太田氏の講演と、ガリア教授、サインセンター牧谷孝則氏によるパネル・ディスカッションも行われました。
太田幸夫氏は現在、複合災害を視野 に入れた屋内・屋外一貫の避難誘導システムとして「避難誘導サイン・トータルシステムRGSS」を開発する、業種業態の異なる企業が協働する民間主導のワークショップを中心となって推進されています。今回のワークショップも、非常に重要な示唆が得られる内容となりました。太田氏の講演では、サインを考える上で最も重要な点が述べられました。サイン単体のデザインを考えることよりも、サインとサインをとりまく環境を考えることが大事であり、その環境すべてが意味を持ちます。サインによるコミュニケーションとは「取り巻く環境すべてがコミュニケーションをスムーズにするためにあるサインである」といった内容が論じられました。同氏は誰もが知る非常口のサインだけではなく、広域避難のためのサインやJISHA(中央労働災害防止協会)による安全標識全般を手がけるなど、私たちの生活・労働環境全般に関わる仕事をされており、それらも紹介されました。
続いて、エド・ガリア教授からサインに関する発表がありました。非常ベルを鳴らし廊下にあるサインに気づいた人は全体の39%だったが、その人たちは100%避難経路を間違えずに行動できたという実験が紹介され、サインの重要性が数字を伴って紹介されました。さらに、「意味を伝える属性」であるアフォーダンス理論について論じられ、アフォーダンスを高めるために点滅する「アクティブダイナミックシステムサイン」が紹介されました。
パネルディスカッションでは太田氏、ガリア教授、牧谷氏が環境とアフォーダンスについて議論を展開。牧谷氏が「アフォーダンスがどう環境に影響するだろうか。避難行動を助ける環境が整えられるかどうか。」を問いかけると、ガリア教授から「環境はアフォーダンスに影響され、建物が複雑になるほど、(環境と一体となったサインを)考える必要がある。たとえば出口を示すよう置かれた彫刻といように建築デザインがサインと同じような力を発することができる。動きや臭い、気分といった情報もバーチャルリアリティに反映していくとさらに安全性を評価できる」といった意見が述べられました。太田氏からは「VRを用いて各地域のシミュレーションをする手立てを検討している。また、個別性に対応できる共通性を持ったデファクトスタンダードが必要と考える必要がある」という意見がありました。
会場からも、サインがどういう意味を持っているかを認知するにはある程度教育も必要で、バーチャルリアリティが有効であるだろうという意見が上がりました。
避難誘導サインを考えていくにあたり、アフォーダンスを考慮に入れた環境全体をデザインする必要があり、そのシミュレーションや教育にバーチャルリアリティが有効であることを共通認識として持つことができた、非常に意義のあるワークショップとなりました。
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■太田氏が手掛けた
広域避難のためのサイン |
■VRによる避難誘導蓄光ラインのプロトタイプ |
■パネルディスカッションの様子 |
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