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杭基礎の設計計算 Q&A


14.出力

Q14−1. 印刷出力すると文字化けが生じるが、荷重ケース名などには文字数制限があるのか。
A14−1. 現仕様では荷重ケース名、計算方向名称:半角20文字、荷重名略称:半角12文字の制限があります。この制限に該当する際には文字が正しく出力できません。半角や全角を合わせて使用される際にはおそれいりますが、括弧を半角にするなどして制限文字数内におさまるように入力してくださいますようお願いいたします。

15 .杭頭結合照査(押し抜き、引き抜き等)

Q15−1. 斜杭で杭頭作用力Mmaxが発生した場合、その値がセットされていない。
A15−1. 本プログラムでは斜杭を除いた直杭の中から値をセットしています。
斜杭のMmaxについても示方書の処理でよいか否かを判断し直接値をセットしてください。
 
Q15−2. τvt(鋼管杭引抜きせん断応力度)、τc(PHC杭外周におけるせん断応力度)が共に「0.000」となる。
A15−2. 方法Bでは引抜きの照査はしておりません。(H4「杭基礎設計便覧」P301〜P303)。方法Aでは引抜きが発生した場合のみ計算します。
 
Q15−3. PHC杭で方法Bによる引抜き力に対する照査の場合(H4「杭礎設計便覧」P303)、杭体内補強鉄筋を用いない場合の照査は可能か。
A15−3. 本プログラムでは杭体内補強鉄筋を用いることを原則と考えていますので、照査できません。
 
Q15−4. 許容引抜きせん断応力度「τat」の出典。
A15−4. 特にありません。押し抜きせん断応力度「τa」と同値としています。
 
Q15−5. 許容付着応力度τacが設計基準強度によらず一定(τac=0.14N/mm2)なのはなぜか。
A15−5. H4「杭基礎設計便覧」P300参照
 
Q15−6. 杭頭部の計算における、フーチングコートの垂直支圧応力度、押し抜きせん断応力度、水平支圧応力度についての検討がないのは、あえて計算を省ているのか。
A15−6. 上記、3つの応力度すべて方法A,方法Bともに検討しています。
メインメニュー[計算]→[計算内容の設定]で「杭頭と底版結合部の計算」を「する」として[計算実行]後、メインメニュー[結果確認]→[杭頭結合計算]から「杭頭と底版結合部」を選択すると結果を表示します。
 
Q15−7. 杭頭結合計算の杭頭補強鉄筋計算において、下記のエラー表示がでて、計算が出来ません。 メッセージ−> ”計算エラー[2380] 必要鉄筋量の計算に失敗しました。” 
A15−7. 杭頭結合計算の底版許容値で0となっている許容応力度があるためです。許容応力度を入力して下さい。
 
Q15−8. 杭頭の結合の基本条件のところで、垂直有効厚の考え方は。
A15−8.

杭頭の結合の基本条件のところで、垂直有効厚の考え方は例えばフ−チングが1.2mで、杭の埋め込み長が10cmの場合なら、単純に1.1mとします。
 「杭基礎設計便覧(平成4年10月)社団法人日本道路協会」8.杭とフーチングの結合方法に図示されています。

 
Q15−9. 杭の計算でY方向に杭が6本あるのだが、一括で計算出来ないのか。
A15−9. [読込]ボタン押下により、安定計算結果を連動することができますが、「2次元解析&地層傾斜なし&杭径・杭長変化なし」の条件下(着目杭の指定が不要のとき)であれば、直杭のモーメントおよび水平反力は一定になりますのでそのモーメント,水平反力と軸力最大・最小を抽出し全直杭の反力を網羅することになります。斜杭は連動の対象外としています。また、着目杭の指定が必要な条件下であれば、指定された杭1本の反力を連動しています。(1本ごとの計算になります。)
 
Q15−10. フーチングコンクリートの押抜きせん断応力度は、σcvaが割増されているのに対して、地震等の割増しはなぜしないのか?
A15−10. 道路橋示方書WのP165において、
「押抜きせん断応力度τa3は、5.6に示す荷重の組合せを考慮した許容応力度の割増しをしてはならない。」
と記載されています。
なお、許容応力度の割増しをされる場合は、「杭頭結合計算」→「底版許容値」のτaを変更頂ければ可能です。
設計時の任意な条件に応じてご利用下さい。

16.杭頭補強鉄筋照査

Q16−1. 既製杭の杭頭補強鉄筋の計算は円形、円環のいずれの断面で行っているのか。
A16−1. 内径=0.0の場合:円形断面、内径≠0.0の場合:円環断面で計算します。
 
Q16−2. 中詰め部に配筋できない。
A16−2.

前記で述べたように、内径≠0.0の場合は円環断面で計算しますので中詰め部に配筋できません。
中詰め部に配筋するためには内径=0.0として円形断面で計算してください。

 
Q16−3. 補強鉄筋の計算で鉄筋の応力度σsが負になっているのはなぜか。
A16−3. 鉄筋の応力度σが負の場合は、鉄筋の圧縮応力度σ'を示しています。本プログラムでは鉄筋の引張応力度σsと、鉄筋の圧縮応力度σ'を求め、絶対値の大きい方を表示しています。
 
Q16−4. σsa=1400(kgf/cm)の場合も補強鉄筋の定着長がσsa=180(N/mm)と出力される。H8道示「下部構造編」(表-5.3.1 鉄筋の許容応力度)P170によればσsa=140(N/mm)ではないか。
A16−4.

「底版材料基準値」において以下の値が初期値としてセットされています。

 「SD295」→「σsa=180(N/mm)」
 「SD345」→「σsa=200(N/mm)」

選択した材質により上記の値がセットされます。したがって「σsa=140(N/mm)」を使用する場合は上記の「底版材料基準値」テーブルで直接「σsa=140(N/mm)」を入力変更した上で「杭頭結合計算」の入力に移ってください。

 
Q16−5. SD295相当の許容応力度「180(N/mm2)」を使用する方法。
A16−5.

「底版材料基準値」の「割増基本値:σsa」にはデフォルト値としてSD345相当「200(N/mm)」が設定されています。ここを「180(N/mm)」に変更してください。
なおプログラムでは割増し係数1.5以上の荷重ケースについては、一律に「割増基本値:σsa」の値を使うようになっています。
したがってD295の場合は予め上記テーブルの「割増基本値:σsa」の欄を「180」に書き換えて下さい
この入力で対応できるものと考えています。

 
Q16−6. 鋼管杭で鉄筋かごの場合の検討は可能か。
A16−6.

杭内径=0.0として円形断面とすれば主筋の応力照査はできます。
鉄筋かごの帯鉄筋、組立筋までを含んだ照査まではできません。

 
Q16−7. 杭頭結合計算の杭頭の補強鉄筋のところで、杭径がプラス20cmとなっている根拠は何か。
A16−7. 「杭基礎設計便覧(平成4年10月)社団法人日本道路協会」8.杭とフーチングの結合方法に準じています。
 
Q16−8. 杭基礎(場所打ち杭)の入力について杭のかぶりは仮想断面からのかぶりかまたは、杭外側からのかぶりか。
A16−8. 杭頭補強鉄筋のかぶりd’は、仮想断面からのかぶりです。
 
Q16−9. [溶接部のせん断応力度による溶接長]の計算式は何を参照しているか。
A16−9. 杭頭とフ−チングの結合部の計算の中の[溶接部のせん断応力度による溶接長]の計算式については、 「土木構造物設計計算例(4)杭・ケーソンおよび鋼管矢板基礎の設計計算例(平成3年1月発行)山海堂」(P.198〜P.199)を参照しています。

17.杭頭カットオフ照査

Q17−1. 「σca1=27(杭体部)(N/mm2)」、「τcp=0.85(杭体部)(N/mm2)」の根拠。
A17−1.

「σck=80(N/mm)」相当の値です。
(なお「σck=80(N/mm)」は内部固定で変更できません。)許容値については「基準値」→「許容応力度の割増」の各割増係数ごとの値をセットしています。(上記許容値は割増係数「1.0」相当の許容値を用いています。変更する場合はここで変更してください。)

 
Q17−2. 中詰め部の補強鉄筋を無視することはできるか。
A17−2. 

無視することはできません。
杭本体、中詰部それぞれ許容抵抗曲げモーメントMraを求めるに際し、杭体部では鉄筋がなくてもPC鋼材データを用いてMraを算出できますが、中詰め部では鉄筋を0セットすると鋼材データが無いのでMraを算出できません。

 
Q17−3. ヤング係数比「n=15」は内部固定か。
A17−3. 内部固定です。
 
Q17−4. 杭頭結合計算における許容支圧応力度σcvaについて自動計算をしていないのか?
A17−4. 現行ではAc=Abとしてσcva=0.3・σckを初期値としています。
上記以外の値を設計時使用される場合は、[基準値]→「底版材料基準値」画面の、σcva値を変更して、杭頭結合計算データの入力をしてください。
0.3σckで初期値設定しているのは下記の理由によります。
「道路橋示方書・同解説W下部構造編(平成8年12月)社団法人日本道路協会」P.166,「道路橋示方書・同解説SI単位系移行に関する参考資料(平成10年7月)社団法人日本道路協会」P.W−10記載のコンクリートの許容支圧応力度を参照しております。
「杭基礎設計便覧(平成4年10月)社団法人日本道路協会」の計算例では、σcva=0.5・σckと計算されていますが、杭頭結合計算におけるAc,Abの取扱いが明確ではありませんので、Ac=Abとして0.3・σckを 初期値として設定しています。
上記以外の値をご使用になる場合は、[基準値]の「底版材料基準値」画面で、σcva値を変更して、杭頭結合計算データの入力に移行してくださいますようお願いいたします。
また参考ですが、「杭・ケーソン・鋼管矢板および地中部連続壁基礎の設計計算例(山海堂)」(2000年2月発行)も、0.3・σckで行なっています。

18.他「UCー1シリーズ」との関連

Q18−1. 「杭基礎 for windows」で得られたバネマトリックスを「FRAMEマネージャ(面内)」に入力する方法。
A18−1.

 杭基礎やその他の形式の基礎を一つのバネ支点として取扱うことによって、FRAMEシリーズでより大きな構造モデルを解析することができます。また、フーチング下端に基礎バネを入力することによって、震度算出が利用できる範囲を広げることができます。

 平面骨組において基礎の頭部をバネ支点として評価するには、3行3列の行列の各要素を入力する必要がありますが、『この要素の入力の仕方がよく分からない。』という問い合わせを頂くことが少なくありません。
 バネの要素を入力する際には、そのバネ値がどのような座標系で得られたものか、どのような座標系のバネ支点として入力するのかということと、変位の並び方に十分注意することが必要です。
 以下に本プログラムで得られたバネをFRAME(面内)に入力する場合について説明します。

 つまり、Kxy=Axy、KxM=−Axa、KyM=−Ayaとなります。
 なお、参考までに「震度算出(U)」と「杭基礎 for windows」のバネ支点に関する座標系は同じです。

 
Q18−2. 「杭基礎 for windows」で得られたバネマトリックスを「FRAMEマネージャ(面外)」に入力する方法。
A18−2.

本プログラムの基礎バネ定数の出力は下式Aのマトリックスです。

 式Aのマトリックスは上図の面内座標系(面外とは言え同じこと)です。
 上図を面外方向(紙面 右から左)からみますと、当社の面外解析と、

=Fz、M =Mx、(V =My)

という関係になります。

 (注)()は無視、V軸方向バネ並びに平面的なねじりは面外解析では取り扱っていません。

 当社の面外は、

 となります。先にも少し触れましたが、V(Y)軸方向、すなわち平面的な移動やねじれ(回転)は全く考慮していませんので、Ky、Kxy、Kyzは0で入力します。

 以上から
 Kx=Aaa、Kxz=Aax、Kz=Axx
 として3項目を入力すればよいわけです。
 下に例を示します。

■杭基礎 for windows の出力

  (2).橋軸直角方向
   a)杭頭結合
  (1) 常時

■面外解析の入力

格点番号 支点コード Kx Ky Kz
(kN・m/rad) (kN・m/rad) (kN/m)
## (5) 39552.3E+2 0.0E+0 -17176.4E+1
0.0E+0 0.0E+0
14262.1E+1

 なお、符号の向きは、杭基礎 for windows の結果をそのまま面外解析に入力して下さい。
 入力例では、KyすなわちY軸廻りの回転バネをフリーにしていますが、これは、杭基礎 for windows でこのバネが求められていないためです。厳密に言えば、Y軸廻りの回転バネを何らかの方法によって計算し入力すべきだと考えられます。

19.比較表

Q19−1. 比較表用のファイル「〜.ACMK」が作成されない。
A19−1.

以下の原因が考えられます。

(1) 杭配置が簡易入力である場合。
 (2) 杭径の変化ありの場合。
 (3) 安定計算のみを実行し、断面計算されていない場合。
  の3パターンです。

 
Q19−2. 比較表出力後、杭配置を変更し再計算を行い同一ファイル名で計算結果まで保存した。そして再度、当該ファイルを選択して比較表を出力しても前の杭配置図並びに計算結果が出力される。
A19−2.

以下の原因が考えられます。

 @杭配置が簡易入力である場合。
 A杭径の変化ありの場合。
 B安定計算のみを実行し、断面計算されていない場合。

 上記の何れか1つにでも該当する場合は比較表フ

20.設計調書

Q20−1. 調表出力に於いて、杭体応力度が出力されていないが?
A20−1.

「基礎工詳細設計調書」の杭体応力には、抽出荷重ケースにおける最大・最小鉛直反力(軸力)の杭の結果を出力する書式となっておりますが、断面計算結果の中にはこのときの結果が含まれていない場合(断面計算の入力でNmax,Nminとなる杭を指定していない、または、全荷重ケースを指定していない)があります。そこで、現行版ではデータに関わらず、常に「基礎工詳細設計調書」の杭体応力の欄にはデータをセットしない(出力しない)ようにしております。
必要とお感じの際には、お手数ですが、編集時に入力加筆いただきますよう御願いいたします。
(「基礎工設計調書」の「杭体応力度」は、Nmax,Nminの杭とは関係なく、断面計算で計算された全ての杭及び荷重ケースに対して抽出しています。)

 
Q20−2. 杭頭平均N値、変形係数Eoはなぜ出力されてないのか?
A20−2.

基礎工詳細設計調書(その1)においての杭頭平均N値、変形係数Eoについては、地盤が一様と想定した場合を対象としているものと考えております。本プログラムでは、地盤を平均することなく、常に、弾性床上はりの微分方程式を用いて、π/βに関係なくすべて有限長の杭として解析しており、常に、杭先端条件および多層地盤を考慮した計算を行っております。
その為、該当項目無しとして出力していません。

Q20−3. 鋼管杭の材質の出力がされていないのはなぜか?
A20−3. 本プログラムでは、鋼管杭の材質は断面計算入力で指定していただいておりますが、材質を変えて複数の断面計算を保存できることから、材質を固定できず、基礎工詳細設計調書(その1)においてはその出力はしておりません。
 
Q20−4. 基礎工詳細設計調書(その2)において、杭体応力のNmax、Nminはなぜ出力されていないのか?
A20−4. 杭体応力および許容応力度について、抽出荷重ケースにおける最大・最小鉛直反力(軸力)の杭の結果を出力する書式となっていますが、断面計算結果の中にはこのときの結果が含まれていない場合(断面計算入力でNmax,Nminとなる杭を指定していない、または、全荷重ケースを指定していない)があります。そこで、現行版ではデータに関わらず、常に出力しないようにしています。ご了承ください。
Q20−5. 基礎工詳細設計調書(その2)において、仮想RC断面のせん断応力度について出力されないが?
A20−5. 仮想RC断面のせん断応力度は、杭頭結合方法が方法Bのときの杭頭補強鉄筋計算結果に相当しますが、ここでは、せん断照査を行っておりません。
その為、出力していません。

21.その他

Q21−1. 異種の杭(鋼管杭、場所打ち杭など)が混在するモデルは計算できるか。
A21−1. 基本的には対応していません。杭種を「任意杭」とし、以下の要領で入力すれば安定計算までは実行できます。(「任意杭」は断面計算できません。)
  「基本条件」で「断面変化あり」とし、「杭データ」上杭、下杭それぞれの断面二次モーメント「I」を入力することで計算してください。
  (ヤング係数Eは1種類しか定義できませんので他方の杭に関しては「EI」が目的とする杭の剛性になるように逆算して「I」を入力してください。)
 
Q21−2. 上杭がSC杭、下杭がPHC杭の検討は可能か。
A21−2.

「Q19−1.」で述べたように基本的には想定していません。

但し、以下の要領で近似的に求めることはできます。

(1)「基本条件」で「断面変化 あり」(「上、下杭」)を選択する。
(2)「SC杭」を選択し「杭データ」で杭径D(肉厚t)を選択する。
「上杭」の鋼管厚を入力し、「下杭」の鋼管厚は「0.0mm」とする。
(3)「杭軸方向バネ定数:kv」を直接入力する。
(4)安定計算実行
(断面照査時は下杭の鋼管厚を「0.0mm」とできませんので応力度計算はできません。)

注)ヤング係数は1種類しか入力できませんので杭全長に渡って同じ値を用います。したがって近似解しか得られません。

 
Q21−3. 逆T式橋台の自動設計計算との連動データで比較表は作成できるか?
A21−3. 連動機能データ上での作業としては単純には出来ません。
比較表作成機能は、杭側の計算が終了している際にその結果ファイル*.acmkを使用して作成します。その為連動データでは逆T式橋台の自動設計計算のデータ*.agkiとして保存されていますので直接はご利用いただけません。
しかし、杭基礎側では連動データを杭側データとしても保存することが可能ですので一度計算を終了後杭側データとして保存して下さい。
なお、比較表データファイルは、杭径が全杭同一で安定・断面計算が実行済みのとき、データの保存時(計算結果の保存を行う場合)に作成します。その為連動データでは安定計算のみしか実行できませんので必要なデータを入力し断面計算を終えておく必要があります。

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