Q7− 1. |
すべりの計算範囲について。 |
A7− 1. |
滑り面の始点から終点までが計算範囲となります。
但し単円すべりの場合のみ、以下の処理となっています。
円の中心点から引いた水平線と滑り面との交点から上の滑り面(円の中心から引いた半径が地表面と交わる場合、円の中心Y座標より交点のY座標の方が大きい部分の滑り面)は鉛直面として計算します。なお、鉛直面については抵抗(C、φ)を無視します。 |
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Q7− 2. |
地層ブロックの分割方法、ブロック番号のふり方。 |
A7− 2. |
以下のように分割処理をしています。
- 地表面形状に沿って屈折点毎に堤体を縦割りにします。
- 各縦割区間の水平距離をΔxとし、帯片基準分割幅Δbで除した値の切り上げ数が、その区間の分割数nとなります。
(n=Δx/Δb)
- 計算上の分割幅は、「Δx/n」となります。
- ブロック番号のふり方はすべり形状、すべり方向(時計回り、反時計回り)に関わらず、画面向かって左から「123n」としています。
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Q7− 3. |
「γの取扱い」について。 |
A7− 3. |
- 滑動モーメント計算用
水位より上:常にγt(不飽和土の単位体積重量)を用います。
水位より下:常にγsat(飽和土の単位体積重量)を用います。
- 抵抗モーメント計算用
水位状態に関わらず、以下の5パターンの組み合わせを任意に選択できます。
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単位体積重量γ |
間隙水圧u |
1. |
γt(入力値) |
0.0とする。 |
2. |
γsat(入力値) |
0.0とする。 |
3. |
γ'(入力値) |
0.0とする。 |
4. |
γsat−γw |
0.0とする。 |
5. |
γsat(入力値) |
計 算 |
(設定例は「γの取り扱い」参照)
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Q7− 4. |
常時、地震時の計算を同時に行えるか。 |
A7− 4. |
同時には行えません。
常時検討の場合は「計算方法の設定」において設計震度「KH、KV」に「0.0」を入力してください。
地震時検討の場合は「計算方法の設定」において設計震度「KH、KV」を入力します。更に本プログラムではこの設計震度「KH、KV」に各層ごとに入力した補正係数βを乗じています。各層ごとに震度を変更したい場合などにβを変えて入力してください。特に変更しない場合は「β=1.0」で入力してください。 |
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Q7− 5. |
φu =0法の扱い。 |
A7− 5. |
プログラムの処理としては、「水位線」以下のφを0セットします。
「水位急降下時」で「旧水位線」と「水位線」がある場合「水位線」以下のφを0セットします。従って「盛土直後」のように水位線の入力が不要な場合で、φ=0として計算したい場合は、予め土質データでφ=0と入力して下さい。
参考)
『土質工学ハンドブック』には次のように記述されています。
「全応力解析法は荷重状況の変化やせん断に伴って発生する間隙水圧の予測が困難な場合に用いられる解析法であり、別にsu法またはφu=0法と呼ばれる。不飽和土ではすべり面上のsが、その点のσを用いて
s=cu+σtanφu (7.2)
で表されるとする。ここにcu、φuは全応力に関する見かけの粘着力とせん断抵抗角であり、現場と同じ密度や含水比の供試体に対して、現場と同じ密度や含水比の供試体に対して非圧密非排水試験(UU試験)を行って求められる。不飽和土のUU試験では拘束圧の大きさに応じて間隙空気の圧縮が起こり、飽和土が変化するので包絡線は直線にならない。(中略)飽和土では非排水強さが外力によらず一定で破壊包絡線が水平(φu=0)になるから、式(7.2)は
s=cu
となる。これがφu=0法である。」
ここに、 s :すべり面で発揮されるせん断強さ
Cu :非排水強さ
(S57『土質工学ハンドブック』土質工学会 P226参照)
また「土工指針」には次のように記述されています。
「常時の施工直後の盛土の安定計算を全応力法で行う場合、盛土材料が細粒土で透水性が低いときは非圧密非排水試験(UU)より求めた強度定数cu、φuを用いる。
なお、cu、φuのかわりに一軸圧縮強さquを用いてcu=1/2qu、φu=0とすることもある。」
(S62『道路土工ーのり面工 斜面安定工指針』P151参照。) |
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Q7− 6. |
同一スライスに複数の層が混在した場合、土質データの取得はどのように扱われるか。 |
A7− 6. |
それぞれの滑り長の長い方の土質データ(γ、C、φなど)を取得して計算します。地層が縦割りで同一スライスに複数混在した場合も同様の扱いで計算します。 |
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Q7− 7. |
滑り面が「任意折れ線」で、その任意線が「地層境」と一致した場合、土質データの取得はどのように扱われるか。 |
A7− 7. |
任意線と地層境が一致した場合は直上の土質データを取得して計算します。 |
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Q7− 8. |
山−谷−山を同一滑り面が切った場合の扱い。 |
A7− 8. |
何れか滑り長の長い方の山側(A)のみを取得して計算し、他方は無視します。
従って滑り長の短い方の山側(B)に「マストカットライン」や「マストカットポイント」を指定していても無視されます。
逆に上図の場合で(B)のみを切りたい場合は(A)を「ネバーカットライン」を定義して下さい。
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Q7−9. |
「マストカットライン」や「マストカットポイント」を指定していても計算結果の滑り面が、それらを通っていない。 |
A7−9. |
例えば「山−谷−山」モデルのような場合何れか滑り長の長い方の山側のみを取得して計算し、他方は無視します。
従って滑り長の短い方の山側に「マストカットライン」や「マストカットポイント」を指定していても無視されます。 |
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Q7−10. |
側水圧による滑り力が発生しているが、この側水圧の取扱いについて詳しく教えてほしい。 |
A7−10. |
下図のように貯水部があるモデルでは側水圧(静水圧)による起動(滑動)モーメントを考慮します。
その他に水位を入力した場合、常に滑り面のスライス毎に下図のように両側から側水圧が作用します。
※「盛土直後」の場合は水位の入力は不要ですが、入力すれば側水圧は考慮されます。
- 側水圧の向き(符号の取り方)
- 側水圧の差ΔH(=H2−H1)が正の場合
→右から左に向かって作用。
- 側水圧の差ΔH(=H2−H1)が負の場合
→左から右に向かって作用。
- 滑動側計算時
水位を入力すると、常に側水圧による滑り力を考慮します。
- 滑り力(滑り面に作用)
S=(H2−H1)COSα
- 滑りモーメント
M=H2h2−H1h1
上記を各スライスごとに算出し、全スライス分を合計します。
滑り面の両端部で水圧が相殺されていない場合、側水圧による水平力が発生します。
水位線が水平のとき、滑り円の終端が水位線まであると考えるならば狽r=0となります。
ただし、計算は太線のすべり面で行い、貯水部は三角形分布の側水圧(静水圧)として考慮するため、モーメントは釣り合い(狽l=0)ますが、すべり力は一般に狽r≠0となります。
したがって、側水圧によるすべり力の合計値が0となるのは、すべり面内の水位が円中心のY軸に関して左右対称の場合のみです。
- 抵抗側計算時
3-1)間隙水圧考慮の場合
- 抵抗力(滑り面に作用)
3-2)浮力(有効重量)考慮
浮力を考慮した土の単位体積重量γ'を用いて土塊重量を算出しているため、側水圧による抵抗力は算出していません。
※土塊重量W’を求める際、「γ'=γsat−γw」により、 「−(ΔHsinα+U)」分の水圧は、既に加味されている。
※水位がレベルであれば(貯水部の有無に関わらず)、間隙水圧で考慮した場合と浮力(有効重量)で考慮した場合とでは安全率は同じになります。(次にその検証例を示します。)
@水位が水平(土中)の場合
1)抵抗力について
2)すべり力について
A水没斜面の場合
1)抵抗力について
2)すべり力について
したがって浮力(有効重量)で考えた場合と等しくなる。
※厳密にはプログラムの内部処理として浮力で考えた場合と間隙水圧で考えた場合とでは滑り角の取り方が異なりますが(下記)、計算結果に影響が出るほどの違いはありません。
- 浮力の場合
- 間隙水圧の場合
各スライス重心x座標の滑り面での法線方向とする。
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Q7−11. |
地震時の慣性力による起動モーメントが起動モーメントを減らす様な結果になっている。荷重によるモーメントと同等号になるのではないか。 |
A7−11. |
初めに本ソフトでは「水平慣性力の方向は、すべり方向に応じてプログラム内部で設定します。」という扱いについて説明します。
土質ブロックデータの中に、地震時設計震度の補正係数βの入力があり、入力した設計震度(Kh、Kv)に対して、(β・Kh、β・Kv)として各地層毎に設計震度を変化させることを実現しています。
「すべりの方向に応じて」とは、
@β>0の時には、すべりの方向と同じ向きに考慮する
Aβ<0の時には、すべりの方向と反対向きに考慮する
という扱いを意味しています。
それでは「すべりの方向」とは何を基準に決定しているのかといいますと、『すべり円の開始位置と終了位置のY座標の標高をみて、高い方から低い方をすべりの方向とする』という判断をしています。
このような処理の中で、扱いがはっきりしない場合が、すべり円の開始位置と終了位置のY座標が等しい場合、すなわち、フラットな地表面上のすべり円の処理が挙げられます。(下図)
つまり、荷重により反時計廻りにすべりが発生しているにも拘わらず、慣性力にはこれに反発するように、時計廻りに作用しており、すべりの方向に応じていない結果になっているわけです。フラットな地表面ですべり円が発生した場合、すなわち『すべり円の開始と終了の標高差が0の場合は、プログラム側で時計廻りにすべり円が発生したものとして一方的に処理をする』というのが仕様になっています。すべりの方向の定義づけに問題があるのではないかという異論もあろうかと思いますが、予めフラットな地形上ですべりを検討される場合には、
@慣性力を時計廻り(右→左)に考慮する場合にはβ>0とする。
A慣性力を反時計廻り(左→右)に考慮する場合にはβ<0とする。
という入力で整合を図って下さい。又、前述のすべり方向の定義から地表面に若干の勾配を持たすことでも回避は可能です。
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Q7−12. |
僅かな土塊形状を削る点で最小安全率が決まってしまう。この部分を計算対象範囲からはずす方法はないか。 |
A7−12. |
「計算方法の設定」の「帯片基準分割幅Δb」において、
ΔX=X′−Xとすると、Δb>ΔXとすればΔXは計算の対象からはずされます。
X':滑り面と地表面との交点X座標(終点)
X : 〃 (始点) |
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Q7−13. |
安全率を力の比で求めることは可能か。 |
A7−13. |
本プログラムでは滑り面が「任意形状」の際は、安全率を力の比で求めていますが、単円及び複合すべりの場合はモーメントの比で計算しています。
但し、計算結果の「水平力による滑り力」に「滑り力計」を、また「抵抗力(その3)」に抵抗力集計値Rをそれぞれ表示、出力していますので、それらの値から力の比で安全率を求めていただければ本プログラムでも適用可能と考えます。 |
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Q7−14. |
単円すべりの限界面の計算結果において「滑動モーメント/半径=滑り力」になっていない。 |
A7−14. |
安全率を力の比で求めた場合とモーメントの比で求めた場合の違いは以下のようになります。
- 力の比
- Fs=RD/SD
RD:滑り面上の抵抗力の総和
SD:滑り面上の滑動力の総和
RD=煤oCiLi+(Wi'+kvWi)cosαi−khWisinαi−Ui−ΔUi}tanφi
SD=煤o(1+kv)Wisinαi+khWicosαi}+SP
- モーメントの比
- Fs=MR/MD
MR=RD×r
RD:滑り面上の抵抗力の総和
r:滑り円の半径
MD=煤o(1+kv)WiΔxi+khWiΔyi}+MP+Mw
ここに
Wi:スライスの全重量(γt、γsatを用いる)(tf/m)
αi:スライスの滑り角(度)
Δxi:スライス重心と滑り円中心の水平距離(m)
Δyi:スライス重心と滑り円中心の鉛直距離(m)
kv、kh:設計震度
SP:荷重よる起動力(tf)
MP:荷重による起動モーメント(tfm)
Mw:側水圧(静水圧)による起動モーメント(tfm)
したがって「滑り力」は滑り面上での評価であるのに対し、「滑動モーメント」はスライスの重心位置と滑り円中心からの距離での評価であるため「滑動モーメント/半径=滑り力」とはなりません。
もし常時(地震時慣性力なし)で水位がレベルの場合(ただし水位とすべり面の始終点の高さが同じ)、側水圧が相殺されるので結果的にほぼ
「滑動モーメント/半径=滑り力」
が成立します。
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Q7−15. |
格子点安全率:「−」、「0.00」、「999.99」の違い。 |
A7−15. |
「−」:安全率が負の場合
(通常、考えられませんでデータをお送りください。)
「0.00」
@抵抗モーメントが0.0となる場合(全層のc、φ=0.0)
A計算可能なすべり円が存在しない場合
(「堤体」内の「格子」についても計算の対象外となっています。)
「999.90」:安全率が限りなく大きい場合。もしくは簡易ビショップ法で収束できなかった場合をそれぞれ意味します。
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Q7−16. |
格子を定義しているにも拘らず格子点安全率が出ない。 |
A7−16. |
「計算内容の設定」で「必要抑止力限界面」を「する」にした場合、抑止力が最大となる限界面を検索し、安全率最小の検索は行いません。(定義された格子点上には各安全率の代わりに「格子点抑止力」を表示し、「結果描画」の「格子交点の確認」で格子点ごとの確認も行いません。)
抑止力が最大となる限界面の検索と安全率最小の検索は同時にはできませんので、上記の場合は「必要抑止力限界面」を「しない」として再計算してください。 |
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Q7−17. |
限界面の計算結果の最小安全率Fsが、各格子点のFsを参照しても見当たらない。 |
A7−17. |
下記2項目を共に「する」もしくは片方のみ「する」とした場合、必ずしも限界面計算結果のFsが格子点上にあるとは限りません。
- 等安全率の計算「する」
各格子点及び各格子中心点が対象。
- 限界円の自動追跡「する」
自動追跡の考え方に従い(「限界面の自動追跡計算」参照)各格子点及びそれ以外も対象。
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Q7−18. |
自動追跡結果のFs の方が格子点Fs より大きくなる。
自動追跡範囲と格子範囲を同一として最小安全率を求めると以下の結果となった。
- 自動追跡結果 Fs =1.83
- 格子点安全率 Fs =1.75
- 等安全率の結果 Fs =1.72
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A7−18. |
格子点安全率は各格子点上の安全率の中から最小安全率を抽出するだけですが、自動追跡や等安全率の計算はそれぞれ次のように行い、最小安全率を検索しています。
- 限界面の自動追跡計算
追跡範囲内において特定のライン上の安全率最小点を見いだし、次にそのライン上の安全率最小点と直交するライン上での安全率最小点を求めるといった処理を繰り返すことにより全体での安全率最小点を追跡的に求めます。
(「限界面の自動追跡計算」参照。)
- 等安全率線(コンタライン)の算出
- 格子の交点上の安全率を計算します。(a〜d)
- 格子の中心の安全率を計算します。(e)
- 1〜8の線分に対してコンタラインの対象となる安全率※ が線分両端の安全率の間であれば、その位置を比例で求めます。(図中○)
- 1つの格子中にできた4つの三角形を順に見ていき、○を線でつないで線分のデータを作成します。
- 全ての格子に対して同様の処理を行います。
※「二次処理」→「等安全率」で表示されている安全率(最大5コ)
結果に表示される最小安全率Fs は上図の例で云えばa、b、c、d、eの5箇所(4隅と中心)の中から抽出された値であり、○印のFs
は抽出対象となっていません。(5箇所以外は計算していません)
以上のように、自動追跡計算も等安全率の計算も検索方法が必ずしも万能なわけではなく、どうしても検索もれが生じ、本件のケースのような結果になる場合があります。
したがって比較的望ましい計算方法としては、
- 格子範囲を広い範囲で大きいきざみ幅から狭い範囲で小さいきざみ幅へと徐々にデータを変えていきます。又、必要に応じて等安全率の計算を行い安全率の分布状況を視覚的におさえておきます。
- 1の作業で安全率が厳しくなるところをある程度絞り込んだら、そこを追跡範囲とし自動追跡の計算を行って最小安全率を更に絞り込みます。
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Q7−19. |
マストカットラインを定義したにも拘わらず別な箇所で最小安全率が決まる。 |
A7−19. |
本プログラムではマストカットラインやマストカットポイントを指定した場合は、少なくとも何れか一方を通るすべり面のみを安全率計算の検索対象にします。したがって一般に限界面の計算結果にはそれらを通るすべり面で結果を表示します。
本件の場合例えば下図のような場合が考えられます。
本プログラムではすべり長の大きい方を優先し(A>B)B部のすべり面は計算の対象外となります。そのため仮にB部を「マストカットライン」で定義していても、結果的に「マストカットライン」を無視したものと見えます。
対策1)可能であれば地表面の凸凹をなくし直線にモデル化する。
対策2)B部を切りたい場合、A部を「」で定義する。
→B部のみを切ります。
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Q7−20. |
修正フェレニウス法で計算する方法。 |
A7−20. |
一般に簡易分割法もしくはフェレニウス法とは次式を指します。
Fs=煤icl+(Wcosα−U)tanφ)/狽vsinα
しかし滑り面の水平と成す角が急なスライスでは、「Wcosα−U<0」となる場合が生じるので「Wcosα−U」をW'cosα(W:スライス有効重量)に置き換えた式を修正フェレニウス法と呼びます。
Fs=煤ic'l+(W'cosαtanφ')/狽vsinα
(『斜面の安定解析入門』土質工学会 P48〜P49)
(c'、φ':有効応力表示の強度定数)
本プログラムでも間隙水圧Uを考慮し「Wcosα−U<0」となる場合は、0.0にしています。
本件の場合、「破壊基準」を「有効応力法」とし「γの取扱い」において「間隙水圧U」を「0.0」とし浮力として考慮(γの扱いをγsat−γw、もしくはγ')とすれば修正フェレニウス法にて計算できると考えます。 |
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Q7−21. |
地表面までの水位があり、ダムの放水等で水位が急降下する時の考え方。 |
A7−21. |
下記、何れかの方法で計算すればよいと思います。
「定常浸透状態 」より間隙水圧の計算において等ポテンシャル線を任意に入力しない場合、内部で鉛直に入力されたものとして計算します。
つまり両ケース共、浸潤面と滑り面との水頭差で間隙水圧を計算するので「γの取扱い」など他の条件を一致させておけば、何れの方法でも計算結果は同じになります。
(「定常浸透状態」で等ポテンシャル線を任意に入力すると結果は変わります。)
(「定常浸透状態の考え方」、「水位急降下時の考え方」参照) |
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Q7−22. |
「簡易Bishop」と「Bishop」の相違について。 |
A7−22. |
スライス間力(鉛直力V、水平力H)を考慮した安定解析方法「Bishop」のうち「V=0.0」とするものを、「簡易Bishop」と呼びます。
本プログラムでは「簡易Bishop」をサポートしています。
概要は以下の通りです。
- 内部で設定されている安全率FS0の初期値(=1.0)から抵抗力を求める。
- 抵抗力に半径を乗じて抵抗モーメントを求める。
- 別途求めた滑動モーメントと上記の抵抗モーメントから安全率FS1を求める。
- FS1−FS0>X.XXX
X.XXX:「計算内容の設定」における「最小安全率の精度」
- FS1を新たな初期値として再度、抵抗力を求める。
以下、下式が成立するまで2)以降を繰り返す。
「FSn+1−FSn≦X.XXX」
(詳しい算式等は「Bishopの簡易法」を参照して下さい。)
注)
上記計算において結果的に収束できなかった場合は「格子点安全率」の表に「999.90」と表示されます。
その時の対策としては「最小安全率の精度」を大きくして再計算してみる他ありません。
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Q7−23. |
抵抗力−滑り力図とは何か。またその見方について。 |
A7−23. |
「抵抗力−滑り力図」とは、滑り力(T)から抵抗力(R)を差し引いた値(大きさ)を、対象としている滑り線から滑り円中心方向の線上に分割片毎にプロットしたものです。
滑り力が抵抗力より大なる(T>R)場合は、滑り線の内側すなわち円中心側にプロットし、抵抗力が大なる(R>T)場合は滑り線の外側にプロットします。
つまり「抵抗力−滑り力図」の見方としては、抵抗力−滑り力線が滑り線より内側にあれば引張領域、外側にあれば圧縮領域であることがわかります。
さらにこの図から抑止杭を設置する位置として、抵抗力の方が大きく(抵抗力−滑り力線が滑り線の外側にある区間)、かつ滑り線上の土被りが充分にあり受働破壊が起こりにくい位置を検索できるものと考えています。
なお、この抵抗力−滑り力線を書くか書かないかは設定できるようにしています。不要と判断された場合は次の手順で設定しなおしてください。
「描画内容確認画面」中、上の左から内容設定、スケール設定、スケール確認等の処理選択肢があります。その中の内容設定を左クリックすると、下方に「抵抗力−滑り力」する・しないの設定があります。これを「しない」にします。同時に不要と考えられる項目があればこれを「しない」にして「設定終了」してください。 |
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Q7−24. |
「すべり抵抗力線」の意味と使用目的。 |
A7−24. |
抵抗力(R)の値を、対象としている滑り面を基準として分割片毎にプロットしたものです。
R<0の場合(内部で0セット)、及びR=0の場合すべり線上に抵抗力をプロットします。
R>0の場合、すべり線の外側に抵抗力をプロットします。 |
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Q7−25. |
円・直線のFsの求め方。 |
A7−25. |
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Q7−26. |
計算格子が堤体の中に入っている場合、なぜ計算しない仕様となっているのか。
また、水位線より下側の格子点での安全率も計算されないのはなぜか。 |
A7−26. |
本プログラムは、すべり円中心が堤体内あるいは貯水部内にあるケースに対応していません。地中深い位置に円中心があり円中心より上にすべり面が存在するケース,静水圧が円中心より上方に作用するケースを想定していないため、すべり円中心固定のとき計算前にチェックをかけ、格子のとき該当位置の格点については計算していません。 |
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Q7−27. |
二次処理の中でDOS版同様に格子範囲の変更、追跡範囲などの移動はできないのか。 |
A7−27. |
DOS版に「二次処理で格子範囲の変更」機能があるのは入力処理まで戻って格子範囲の再設定を行い、再計算を実行すると計算に大変時間がかかるためです。Windows版の場合、計算時間がかなり短縮され、また入力も容易になっているため仕様設計段階から外してあります。
「追跡範囲」を含め、属性の座標を変更する場合は「座標リスト入力」で座標を変更して下さい。 |
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Q7−28. |
帯片基準分割幅についてデフォルトでは0.8mとなっているがどの位を目安に決めれば良いのか。 |
A7−28. |
帯片基準分割幅を小さくすれば計算精度があがりますが、その分演算時間,結果出力量が大きくなります。
本プログラムでは、起動モーメントに関しては分割片が大きくなっても精度を保てるように工夫していますが、すべり角が関与するすべり力,抵抗力および抵抗モーメントは、帯片基準分割幅に依存せざるをえません。計算モデルに応じて設定してください。 |
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Q7−29. |
修正フェレニウス法について全応力での解析は可能か。 |
A7−29. |
[計算方法の設定](設定1)の「破壊基準」の有効応力法/全応力法の指定は土質ブロックで定義したc,k,φを参照しているだけです。
(設定1)の「水の状態」、(設定4)の「γの取扱い」で抵抗力の算出方法を定義してください。「水の状態」と「破壊基準」との組合せによる「γの取扱い」の設定例をHelpの操作方法→計算→γの取扱いに記述していますので参照してください。 |
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Q7−30. |
サンドコンパクションパイルによる基礎地盤の解析の際、改良対象となる土質の単位体積重量は、純粋な土砂の単位体
積重量を入力するのか、それとも改良率により計算した砂との平均的な単位体積重量を入力するのか。 |
A7−30. |
入力されたγt,γsatは滑り力・モーメント算出に用います。そのため、改良率により計算した砂との平均的な単位体積重量を入力する方が適切と思われます。
なお、計算式はhelp→論理および計算方法→サンドコンパクションパイル工法による改良地盤に記載しています。(計算方法は「道路土工
軟弱地盤対策工指針((社)日本道路協会)を参照しています。) |
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Q7−31. |
円弧滑りの計算時に検討格子の分割毎の安全率を求める方法は? |
A7−31. |
「計算方法の設定」→「設定3」で「計算経過ファイルの出力」を選択して下さい
此により、検討する滑り面形状が「円弧」の場合にのみ、検討格子の各値を算出することができます。
選択していない場合は、得られる結果は最小安全率の場合のみになります。 |
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Q7−32. |
サンドコンパクションの式中の(helpに記載の)滑り角度αは何か? |
A7−32. |
滑り面の角度になります。 |
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Q7−33. |
粘性土の強度増加率mは、どう考えるのか?出典は何か? |
A7−33. |
「道路土工 軟弱地盤対策工指針」の「5章9節 サンドコンパクションパイル工法」に準じております。 |
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Q7−34. |
Sweden法で計算したいが、分割法の式はFellenius法とSweden法と同じ計算式か? |
A7−34. |
Fellenius法は当プログラムでは「フェレニウス法(簡便分割法)」のことです。
この「フェレニウス法(簡便分割法)」はSweden法と同じ式と考えていただいて問題は有りません。式の詳細はヘルプ「簡便分割法」に記述してあります。
フェレニウス法はもともと、スウェーデン法の計算式中のスライス間の側水圧差をゼロとした計算式であり、当プログラムでは、間隙水圧を考慮する場合、各スライス毎に側水圧による影響を考慮します。ヘルプの「計算方法補足」がご参考になるものと思います。
その為Sweden法と等価の結果を得ることが可能です。 |
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Q7−35. |
安全率Fsの式について、土工指針等で記載されている式(A)と本プログラムの式(B)の形が違うので、(A)=(B)になるための計算過程を知りたい。 |
A7−35. |
(B)については、震度、荷重、側水圧等の各パラメータが(A)にどのように反映されてるかを明確に示してるものであり、土工指針による一般的な式と等価です。ただ、詳細に記載している分、判りにくい部分もあるかと存じます。
以下に、道路土工のり面工・斜面安定工指針(平成11年3月)の安定計算式P.166(常時)と「斜面の安定計算 for Windows」の算式について説明します。いずれも簡便分割法です。
Fs=Σ{c・L+(W−u・b)osα・tanφ}/Σ(W・sinα)・・・・(A)
Fs=MR/MD
=RΣ{c・L+(W・cosα−U)・tanφ}/Σ(W・Δx)・・・・(B)
(A):道路土工,(B):斜面の安定計算
(B)ではkv=kh=Mp=Mw=0.0としています。また、間隙水圧を考慮するには、「γの取扱い」で水位以下を「u=計算」とする必要があります。
(B)式において、分子について、斜面の安定計算ではUを
(1)浮力として考える(γの取扱いでu=0)
(2)間隙水圧として考える(γの取扱いでu=計算)
の2とおりの方法があり、
(1)のとき、鉛直方向上向きに作用する(u・b・cosα)
(2)のとき、すべり面に垂直に作用する(u・L)
として計算します。
道路土工の記載式は斜面の安定計算の(1)に相当します。
分母について
Δx=R・sinα (R:すべり円半径)
以上により、(B)式は、(A)式の分子および分母にすべり円半径Rを乗じたものになります。(A)式が力の比を表しているのに対し、(B)式はモーメントの比で安全率を表しています。 |