Q10−1. |
必要抑止力の扱い。 |
A10−1. |
本プログラムでは「計算法」が「簡便分割法」もしくは「簡略法」の場合、「計算方法の設定」において
「必要抑止力の計算」をする、しない
「必要抑止力 限界面」をする、しないの選択に関わらず各すべり面において
「必要抑止力」=「計画安全率」×「滑り力」−「抵抗力」
として求めています。(負の場合は表示しません。)
(「簡易ビショップ法」は上記の計算をしません。)
「計算経過」の出力においてすべり力:SD、抵抗力:RDとした場合、
「(RD/SD)<計画安全率」の箇所はすべて抑止力を印字します。
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Q10−2. |
「必要抑止力の計算」と「必要抑止力限界面の計算」の違い。
また「必要抑止力の計算」、「必要抑止力限界面の計算」何れも「しない」としているにも拘らず、「計算経過」を出力すると「抑止力」が出ているのはなぜか。 |
A10−2. |
本プログラムでは「計算法」が「簡便分割法」もしくは「簡略法」の場合、「計算方法の設定」において
「必要抑止力の計算」をする、しない
「必要抑止力 限界面」をする、しないの選択に関わらず各すべり面において
「必要抑止力」=「計画安全率」×「滑り力」−「抵抗力」として求めています。
(負の場合は表示しません。)「計算経過」を出力には上記の値が出力されます。
(「簡易ビショップ法」は上記の計算をしません。「必要抑止力の計算」、「必要抑止力 限界面」何れの計算も無効です。)
- 必要抑止力の計算
「2)必要抑止力限界面の計算をしない」場合は安全率が最小となる限界面を検索し、その状態での安全率、抑止力を表示します。
(したがって必ずしも最大抑止力とは限りません。)
限界面の計算結果には抑止力が正の数の時のみ表示します。「比較表出力」には抑止力値は常に表示します。(出力項目は選択可です。)
- 必要抑止力限界面の計算
「必要抑止力限界面の計算」を「する」とした場合は、必要抑止力が最大となる限界面を検索し、その状態での安全率、抑止力最大を表示します。
(したがって必ずしも最小安全率とは限りません。)
格子を作成した場合は各格子点安全率を算出せず、各格子点抑止力を求めます。(小数以下は四捨五入で表示しています。)限界面の計算結果には抑止力が正の数の場合のみ表示します。
「比較表出力」には「1)必要抑止力の計算」を「する」とし、かつその値が正の場合のみ出力され、本設定の「する、しない」は当出力には影響しません。
注)「2)」において以下の制約があります。
・「等安全率線の計算」は行いません。
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Q10−3. |
「最小安全率>計画安全率」の場合、「抑止力」が出力されたり、「最小安全率<計画安全率」の場合、「抑止力」が出力されない場合があるのはなぜか。 |
A10−3. |
以下のように安全率はモーメントの比で計算し、抑止力は力の比で計算しています。
- 力の比
- Fs=RD/SD
RD:滑り面上の抵抗力の総和
SD:滑り面上の滑動力の総和
RD=煤ECiLi+(Wi'+kvWi)cosαi−khWisinαi−Ui−ΔUi・tanφi
SD=煤E(1+kv)Wisinαi+khWicosαi・+SP
- モーメントの比
- Fs=MR/MD
MR=RD×r
RD:滑り面上の抵抗力の総和
r:滑り円の半径
MD=煤E(1+kv)WiΔxi+khWiΔyi・+MP+Mw
ここに
Wi:スライスの全重量(γt、γsatを用いる)(tf/m)
αi:スライスの滑り角(度)
Δxi:スライス重心と滑り円中心の水平距離(m)
Δyi:スライス重心と滑り円中心の鉛直距離(m)
kv、kh:設計震度
SP:荷重よる起動力(tf)
MP:荷重による起動モーメント(tfm)
Mw:側水圧(静水圧)による起動モーメント(tfm)
したがって安全率の結果に関わらず、抑止力は下式で求めており
「必要抑止力」が正ならば値を表示し、負ならば表示しません。
※「必要抑止力」=「計画安全率」×「滑り力」−「抵抗力」
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Q10−4. |
「計算経過」の出力において抑止力「−−−」の意味。 |
A10−4. |
「必要抑止力」=「計画安全率」×「滑り力」−「抵抗力」(<0)の場合、「−−−」表示となります。 |
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Q10−5. |
「必要抑止力限界面の計算」と「格子点安全率の計算」を同時にできないか。 |
A10−5. |
同時にはできません。
必要抑止力限界面の計算を「する」とした場合は格子点の安全率ではなく各格子点の抑止力を計算します。
格子点安全率を求めたい場合は必要抑止力限界面の計算を「しない」として再計算してください。 |
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Q10−6. |
「円弧−直線−円弧」の抑止力の求め方。 |
A10−6. |
抑止力は下式にて求めます。
P=T・f−R
ここに
P: 抑止力(kN)
T: 滑動力(kN)
R: 抵抗力(kN)
f: 計画安全率(本入力では2.00)
Tは、詳細出力の「鉛直力による滑り力」「水平力による滑り力」に値が打出されています。「水平力による滑り力」の「滑り力計」の値がズバリT値です。
Rは、「抵抗力(その3)」に値が打出されています。
本例では、
P= 59.68×2.00− 99.41
= 19.95(kN)
となります。
限界面の計算結果
解析方法 |
フェレニウス法(簡便分割法) |
破壊基準 |
全応力法 |
滑り形状 |
円弧−直線−円弧 |
計画安全率 |
2.00 |
円弧中心X座標 |
21.32 9.76 |
円弧中心Y座標 |
12.22 5.32 |
円弧半径 |
6.00 5.00 |
ρ1・ρ2 |
4.46 3.46 |
最小安全率 |
1.81 |
抵抗力 |
20.04 63.12 16.25 |
抵抗モーメント |
120.27 81.23 |
滑り力 |
43.07 |
滑りモーメント |
106.19 -14.21 |
抑止力 |
19.95 |
鉛直力による滑り力
水平力による滑り力
抵抗力(その3)
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Q10−7. |
最小安全率時の抑止力ではなく、計画安全率に近い抑止力を計算したい。 |
A10−7. |
- 「計算方法の設定」において「計画安全率」を入力する。
- 「格子範囲」を決め、必要抑止力限界面の計算を「する」必要抑止力最大となる限界面を計算しその時の安全率を表示します。「格子点抑止力」の結果一覧において下式で求めた必要抑止力を表示、出力することができます。(小数以下は四捨五入)
「必要抑止力」=「計画安全率」×「滑り力」−「抵抗力」
さらに「計算経過」を出力には各格子点の半径刻みごとの必要抑止力を出力することができます。(正の場合のみ表示)
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Q10−8. |
抑止力最大の時の円弧を自動で算出させる方法は。 |
A10−8. |
プログラムメニューの「計算方法の設定」→「設定3」にある「必要抑止力限界面」をチェックして、計算実行してください。これがチェックされているとき、必要抑止力が最大となるすべり面を抽出します。チェックされていないときは、安全率最小となるすべり面を抽出します。 |
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Q10−9. |
斜面の安定を目的としたグラウンドアンカーの検討を行いたいが、計算で用いる「抑止力」は計算結果のどの数値を用いたらいいか。 |
A10−9. |
全体の必要抑止力は数値確認→限界面 に出力しています。
必要抑止力=計画安全率×全滑り力−全抵抗力
としており、必要抑止力≦0.0のときは出力していません。各スライスごとの[抵抗力−滑り力]はメイン画面で表示→計算結果→抵抗力−滑り力
をチェックすると画面に表示します。また、二次処理→抑止力でも確認できます。 |
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Q10−10. |
各格子点での抑止力の出力はできないのでしょうか。 |
A10−10. |
「計算方法の設定」で「必要抑止力の限界面」をチェックします。
その際、
計算方法=フェレニウス法(簡便分割法)
安全率の計算=チェックをはずす
としてください。
計算結果の出力で「格子点」として出力されるのが各格子点での抑止力となります。 |