2.水理計算入力 |
Q2−1. |
降雨強度を直接入力する方法は? |
A2−1. |
以下に手順を記述いたします。
1.「基本条件」タブの「降雨強度の計算」を「降雨強度直接入力」に指定する。
2.「降雨強度直接入力」タブを開く
3.入力項目の選択(降雨強度/降雨量/流量)を指定する。
4.「計算時間単位Δt」、「降雨継続時間t」の入力を行う。
※お考えの値を適宜入力してください。
5.降雨強度直接入力表にて、流量を入力する。
6.同画面内の計算ボタンを押下する。
※メッセージが表示されるので、「はい」を選択していただくと「降雨強度」、「降雨量」を自動計算し、表にセットします。
「降雨強度」、「降雨量」、「流量」のうち、「降雨強度」の入力は必ず必要となります。
しかし、上記6.でもご説明しましたが、「計算」ボタンを押下していただくことで、入力項目から非入力項目への自動計算を行いますので、実際に入力していただく項目は「降雨強度」、「降雨量」、「流量」のうち1つで結構です。
※入力後、計算ボタンを必ず押下してください。
入力完了後、同画面内の「ファイルへ書き込み」ボタンより、現在入力している降雨強度直接入力データを(*.rdi)形式で保存することが可能です。
また、降雨強度直接入力データ(*.rdi)は「ファイルから読み込み」ボタンより読み込むことが可能です。 |
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Q2−2. |
降雨強度式を2式併用した降雨強度曲線にて計算結果を確認したい? |
A2−2. |
流域−降雨強度式タブ内の降雨強度式数を2(式)に指定し、右側に「複数式の算定方法」スイッチが選択可能な状態となりますので「合計」を選択した後に、それぞれの降雨強度式の入力を行って下さい。
2式併用とは、異なる降雨強度式を1つの降雨強度曲線として取り扱うことを意味しており、以下のような考えで降強度曲線を構成します。
入力した1式の降雨継続時間をT1,2式をT2とすると、降雨強度式の使い分けは、
・0〜T1:1式
・T1〜T1+T2:2式
となります。 |
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Q2−3. |
長時間降雨強度式について対応しているのでしょうか? |
A2−3. |
本製品の降雨強度式は、防災調節池等技術基準(案)解説と設計実例を主たる準拠基準としており、短時間降雨強度式または、長時間降雨強度式の切り替えスイッチには対応していません。
本製品の降雨強度式で長時間降雨強度式に対応しているものは以下の降雨強度式でございます。
・山梨県1型 r=a・(b/t)^n
・山梨県2型 r=a/(t^n+b)
なお、「クリーブランド型 r=a/(t^n+b)」について長時間降雨強度式を用いる場合には「山梨県2型」を指定して頂きたいと存じます。
上記以外の長期降雨強度式を用いる場合には、入力データ−流域−降雨強度式タブ内の降雨強度式の表入力内の降雨継続時間t(時)にて直接入力して頂きたいと存じます。 |
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Q2−4. |
土地利用状況定数Cは計算にどのように影響するのか? |
A2−4. |
土地利用状況定数CはKinematic Wave理論にて洪水到達時間を計算する場合に用いられます。 |
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Q2−5. |
洪水到達時間の指定方法について? |
A2−5. |
本製品の洪水到達時間の入力は、流域−降雨波形タブ内の計算時間単位 Δtにて(分)単位で指定して下さい。
入力する値は同画面の洪水到達時間(参照値)を参考にして頂き適値を指定して下さい。通常のモデルでは5分、10分、15分、20分ときりのよい値を指定することをお勧め致します。
また、現在では各都道府県にて定められた洪水到達時間がございますのでこちらに付きましてもご確認頂きたいと存じます。 |
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Q2−6. |
「土地改良事業設計指針「ため池整備」 平成18年2月」のP-136に記載している内容「ため池への流入量は、各時間の流量を20%割増した値とする」についてモデル化することができますか?
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A2−6. |
可能です。
本製品の水理計算-流域入力画面のハイドログラフタブ内の「各時間の流量割増値(%)」にて指定して下さい。 |
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Q2−7. |
滋賀県の降雨強度式は対応可能でしょうか? |
A2−7. |
モデル化の際には水理計算−流域入力画面-降雨強度式タブ内の降雨強度式選択にてクリーブランド型を指定していただきたいと存じます。
また、本製品のSampleフォルダーの下側にShigaフォルダーの中に「開発に伴う雨水排計画基準(案) 平成14年4月 滋賀県土木交通部河港課」、「近畿地方整備局資料(設計便覧(案) 河川編(H19.12) 第9編参考資料第1章)」に準拠した降雨強度式を保存していますのでこちらをご利用頂きたいと存じます。 |
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Q2−8. |
土地改良事業設計指針 「ため池整備」平成27年5月P-168に準拠した合成合理式を計算することができるか? |
A2−8. |
可能です。
本製品の水理計算-流域入力画面のハイドラグラフタブ内の計算スイッチを合成合理式に切り替えて頂き、合成合理式の降雨分割数、標準比率、基底流量を指定することで土地改良事業設計指針 「ため池整備」平成27年5月P-168に準拠した合成合理式のハイドログラフを計算することができます。 |
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Q2−9. |
「土地改良事業設計指針『ため池整備』」に記載のA項流量、B項流量、C項流量の計算は可能でしょうか? |
A2−9. |
A項流量、B項流量、C項流量の計算につきましては、本製品で行うことができます。
上記の計算を行う場合、水理計算−洪水吐−設計洪水流量タブにて入力していただきたいと存じます。
A項とB項の流量の比較につきましては、設計洪水流量タブの比流量より「比流量を入力する」を選択し、B項流量の比流量を直接入力することで行うことができます。
A項とC項の流量の比較につきましては、設計洪水流量タブの比流量より「比流量を計算する」を選択し、C項流量の計算に用いる流域面積と地域係数を入力することで行うことができます。
ただし、A項、B項、C項の流量から最大の流量を比較する機能は設けておらず、上記の計算結果より、お客様ご自身で比較していただく必要があることをご了承いただきますようお願いいたします。 |
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Q2−10. |
貯留施設の許容放流量にはどのような値を入力すればよいか |
A2−10. |
「防災調節池等技術基準(案)」P-150には、「一般に調節池下流河川の流下能力によって決定される。」と記載がございます。
許容放流量は、Manningの平均流速公式で求められますが、河川毎に許容放流量を定められている自治体等があると考えており、この許容放流量については、設計する市の河川担当者にお聞き頂くことをお勧め致します。 |
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Q2−11. |
自治体で定められている降雨強度式を利用することができるようですが、どのような手順で利用するのでしょうか? |
A2−11. |
本製品の都道府県ごとの降雨強度式データファイルにつきましては、本製品インストール時に同時にインストールしており、本製品をインストールしたフォルダにある「Sample」フォルダ内の都道府県名称のフォルダに保存されております。
本製品のメインメニュー|基準値|降雨強度式(登録)から開く基準値(降雨強度式)入力画面の「読込」ボタンから上記フォルダに保存されている降雨強度式ファイル(拡張子.rit)を読み込むことで降雨強度式を登録することができます。
登録された降雨強度式は、水理計算|流域入力画面|降雨強度式タブの「基準値から選択する」ボタンで選択可能になります。
なお、都道府県ごとの降雨強度式データファイルは、製品バージョンアップ時に順次追加を行っております。 |
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Q2−12. |
降雨強度式の入力にて、前のバージョンで選択できていた山梨県2型が選択できなくなっています。選択する方法を教えて下さい。 |
A2−12. |
本製品のVer.3.1.0より、タルボット型、シャーマン型、久野・石黒型、クリーブランド型の降雨強度式について、長時間降雨強度式(時間単位)に対応いたしました。
これにより、山梨県2型の降雨強度式はクリーブランド型の長時間降雨強度式(時間単位)と同一の式のため、クリーブランド型に統合しております。
山梨県2型の降雨強度式を入力する場合につきましては、降雨強度式をクリーブランド型、式中tの単位を時間単位と選択していただきますようお願いいたします。
なお、Ver.3.1.0以降では、旧バージョンにて山梨県2型が選択されていたデータを読み込んだ場合、定数b、nの値により以下のように降雨強度式を再設定します。
・b=0.0000 … シャーマン型の時間単位
・b≠0.0000、かつ n=1.0000 … タルボット型の時間単位
・b≠0.0000、かつ n=0.5000 … 久野・石黒型の時間単位
・上記以外 … クリーブランド型の時間単位 |
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Q2−13. |
広島県の降雨強度式で計算を行うことができますか? |
A2−13. |
本製品は広島県の降雨強度式で計算を行うことができます。
入力データ|基本データ、または流域入力画面の降雨強度式タブにて降雨強度式を2式、複数式の算定方法を合計と指定します。
1式目にt=10min〜180minの式を入力し、2式目にt=3hr〜24hrの式を入力します。
広島県の降雨強度式につきましては、地域ごとの基準値データファイル(*.rit)をご用意しています。
基準値データファイルは、メインメニュー|基準値|降雨強度式の登録より開く基準値入力画面より登録することができます。
広島県の基準値データファイルは、本製品をインストールしたフォルダ|Sampleフォルダ|hiroshimaフォルダに保存していますので、こちらをご利用いただきたいと存じます。 |
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Q2−14. |
流域入力時に降雨強度を直接入力する場合、入力する降雨強度は、降雨強度式から算出されるrと単位時間の降雨に対する降雨強度Iのどちらでしょうか |
A2−14. |
本製品の降雨強度直接入力につきましては、入力された各時間の降雨強度を直接用いて計算を行います。
従いまして、単位時間の降雨に対する降雨強度I(mm/hr)を入力していただきますようお願いいたします。
降雨強度Iにつきましては、「防災調節池等技術基準(案)」の計算例-4の表16(P144)が、ご参考になるかと存じます。 |
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Q2−15. |
洪水吐の入力にて、降雨強度を直接入力することができますが、直接入力する場合、どの時間の降雨強度を入力すればよいのでしょうか |
A2−15. |
本製品の洪水吐きの設計洪水流量の計算につきましては、「防災調節池等技術基準(案)」に準拠した計算を行います。
前述の基準書のP.182の[計算例-14]では、P.141〜143の流域の計算例[計算例-3]により決定した洪水到達時間より降雨強度を算出しています。
従いまして、一般的には、流域の洪水到達時間より算出した降雨強度を直接入力すると考えられます。 |
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Q2−16. |
「流域」入力画面|「洪水到達時間」タブ「Kinematic Wave理論」タブに表示されている「土地利用状況定数C」の出典を教えて下さい |
A2−16. |
ご質問箇所の「土地利用状況定数C」につきましては、「防災調節池等技術基準(案)」P.112に記載されている開発前、開発後の値がご参考になるかと存じます。
なお、表示している値は同画面の「流出係数、面積」タブの「土地利用状況定数C」で入力した値です。
実際に計算で使用する定数Cにつきましては、この入力値を使用します。 |
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Q2−17. |
貯留施設入力画面にて結果確認を表示しようとすると、「ため池容量にデータが入力されていません」のエラーが表示されるのはなぜでしょうか。
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A2−17. |
ご質問のエラーは、貯留施設入力画面のため池容量表に、データが2行以上入力されていない場合に表示します。
本製品の貯留施設入力画面のため池容量表は、洪水調節計算時に水位容量曲線として用います。 従いまして、データが1行以下の場合は水位容量曲線を作成することができないため、エラーを表示しております。
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Q2−18. |
入力したい降雨強度式が君島式(クリーブランド型)で、パラメータのbが0.0です。この式を入力することはできますか。
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A2−18. |
本製品のクリーブランド型の降雨強度式(r = a/(t^n+b))は、b=0.0を指定可能です。 もしくは、シャーマン型の降雨強度式(r = a/t^n)を選択することでも対応可能です。
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Q2−19. |
入力画面「流域」のタブ「流出係数、面積」の土地利用状況定数Cには、どのような値を入力すればよいのでしょうか。
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A2−19. |
土地利用状況定数Cは、「防災調節池等技術基準(案)」P.9〜10のKinematic Wave理論による洪水到達時間の計算式(2.4)の「C:流域の土地利用状態等で決まる定数」として使用します。 「防災調節池等技術基準(案)」P10では、開発前はC=180、開発後はC=60とすることが記載されています。
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Q2−20. |
流域を複数設置する場合に、入力画面「流域」のタブ「降雨強度直接入力」のデータを他の流域にも反映させる方法はありますか。
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A2−20. |
タブ「降雨強度直接入力」の入力を「降雨強度直接入力データ(*.rdi)」に保存後、流域切替にて反映させたい流域に入力を切り替えていただき、保存した「降雨強度直接入力データ(*.rdi)」を読み込むことでデータを反映させることができます。 降雨強度直接入力データの保存、読み込みにつきましては、A2−1.をご参照下さい。
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Q2−21. |
貯留施設の計算結果や計算書で出力される洪水到達時間が、等流流速法、土研式、Kinematic Wave理論の計算結果の何れの値とも一致しません。この理由を教えてください。
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A2−21. |
流域の洪水到達時間の計算結果は、貯留施設の計算では使用しないためです。
本製品では、入力画面「流域」のタブ「降雨波形」に計算時間単位Δtを設けており、同画面の洪水到達時間参照値(各計算手法の洪水到達時間の計算結果)を参考に、「計算時間単位Δt」を設定します。
貯留施設の計算では、この「計算時間単位Δt」を洪水到達時間として使用します。
洪水到達時間(計算時間単位Δt)につきましては、「Q2−5.洪水到達時間の指定方法について?」をご参照ください。
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Q2−22. |
計算書の「洪水吐」で出力される年超過確率が、流域での入力と異なります。この理由を教えて下さい。
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A2−22. |
計算書の「洪水吐」の年超過確率の出力は、入力画面「洪水吐き」|タブ「入力|降雨強度式」の「確率年」の入力を出力します。 このため、入力画面「流域」|タブ「降雨強度式」で入力した「確率年」と異なる場合があります。
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Q2−23. |
入力画面「洪水吐」のタブ「入力|設計洪水流量」の「比流量」で「比流量を計算する」とした場合、地域係数を入力する必要がありますが、ここにはどのような値を入力するのでしょう。
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A2−23. |
比流量算出時の地域係数は、「防災調節池等技術基準(案) 解説と設計実例」P.126、および「土地改良事業設計指針 ため池整備 平成27年5月」p.35に以下の値が記載されています。
北海道 C=17 東北 C=34 関東 C=48 北陸 C=43 中部 C=44 近畿 C=41 紀伊南部 C=80 山陰 C=44 瀬戸内 C=37 四国南部 C=84 九州・沖縄 C=56
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Q2−24. |
ハイドログラフの「合理式」と「合成合理式」の計算方法の違いについて、教えて下さい。
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A2−24. |
入力画面「基本データ」の「ハイドログラフ」タブの「合理式」と「合成合理式」を選択時の違いは、以下の通りです。
以下はそれぞれの計算式です。
「合成合理式」を選択した場合、「土地改良事業設計指針 ため池整備」(平成27年5月)p.168〜170の「時間遅れを考慮した合成合理式」の方法です。
Qn = 1/360・f・In・A+Qb
ここに、
Qn:流量(m3/s)
f:流出係数
In:降雨強度(mm/hr)
A:流域面積(ha)
Qb:基底流量(m3/s)
「合理式」を選択した場合、「防災調節池等技術基準(案)」p.13及びp.68の方法です。
Qn = 1/360・f・In・A
また、一般的には「合理式」の計算方法が「合成合理式」と呼ばれていますが、本製品では「防災調節池等技術基準(案)」に従い、「合理式」と表記しています。
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Q2−25. |
入力画面「流域」のタブ「流出係数、面積」に、複数の地形を1行にまとめて入力できますか。
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A2−25. |
可能です。 面積に複数地形の面積の合計値を入力し、流出係数に面積加重平均値を入力してください。 入力画面「流域」のタブ「流出係数、面積」にて複数の地形を入力した場合、計算時の面積は各地形の面積の合計を使用します。 流出係数はA4−15の通り、各地形の流出係数と面積より、加重平均にて計算します。 土地利用状況定数C(Kinemtic Wave理論の洪水到達時間の計算で使用する定数)についても、各地形の定数と面積より加重平均にて計算します。 このため、地形を1つにまとめる場合は、上記の値を直接入力することで地形別に入力した場合と同じ計算結果が得られます。
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