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Q&Aため池の設計計算 Q&A ('24.09.09)

NEW! 更新内容

Q5−19.円弧すべりの計算結果で円弧のオーバーハング(滑り円中心より上部を切る)が発生しました。
どのような原因が考えられるでしょうか。
('24.09.09)


目  次
 1.適用範囲、制約条件

Q1−1.ため池の堤体に液状化がある場合に土地改良施設 耐震設計の手引き 平成16年3月(社団法人農業土木学会発行)にあるような内容でため池の設計計算で行うことが可能か?

Q1−2.水理計算のみの計算をする場合どうすれば良いでしょうか?

Q1−3.透水性ゾーンがないモデルの入力方法を教えて頂けないでしょうか
 2.水理計算入力

Q2−1.降雨強度を直接入力する方法は?

Q2−2.降雨強度式を2式併用した降雨強度曲線にて計算結果を確認したい?

Q2−3.長時間降雨強度式について対応しているのでしょうか?

Q2−4.土地利用状況定数Cは計算にどのように影響するのか?

Q2−5.洪水到達時間の指定方法について?

Q2−6.「土地改良事業設計指針「ため池整備」 平成18年2月」のP-136に記載している内容「ため池への流入量は、各時間の流量を20%割増した値とする」についてモデル化することができますか?

Q2−7.滋賀県の降雨強度式は対応可能でしょうか?

Q2−8.土地改良事業設計指針 「ため池整備」平成27年5月P-168に準拠した合成合理式を計算することができるか?

Q2−9.「土地改良事業設計指針『ため池整備』」に記載のA項流量、B項流量、C項流量の計算は可能でしょうか?

Q2−10.貯留施設の許容放流量にはどのような値を入力すればよいか

Q2−11.自治体で定められている降雨強度式を利用することができるようですが、どのような手順で利用するのでしょうか?

Q2−12.降雨強度式の入力にて、前のバージョンで選択できていた山梨県2型が選択できなくなっています。選択する方法を教えて下さい。

Q2−13.広島県の降雨強度式で計算を行うことができますか?

Q2−14.流域入力時に降雨強度を直接入力する場合、入力する降雨強度は、降雨強度式から算出されるrと単位時間の降雨に対する降雨強度Iのどちらでしょうか

Q2−15.洪水吐の入力にて、降雨強度を直接入力することができますが、直接入力する場合、どの時間の降雨強度を入力すればよいのでしょうか

Q2−16.「流域」入力画面|「洪水到達時間」タブ「Kinematic Wave理論」タブに表示されている「土地利用状況定数C」の出典を教えて下さい

Q2−17.貯留施設入力画面にて結果確認を表示しようとすると、「ため池容量にデータが入力されていません」のエラーが表示されるのはなぜでしょうか。

Q2−18.入力したい降雨強度式が君島式(クリーブランド型)で、パラメータのbが0.0です。この式を入力することはできますか。

Q2−19.入力画面「流域」のタブ「流出係数、面積」の土地利用状況定数Cには、どのような値を入力すればよいのでしょうか。

Q2−20.流域を複数設置する場合に、入力画面「流域」のタブ「降雨強度直接入力」のデータを他の流域にも反映させる方法はありますか。

Q2−21.貯留施設の計算結果や計算書で出力される洪水到達時間が、等流流速法、土研式、Kinematic Wave理論の計算結果の何れの値とも一致しません。この理由を教えてください。

Q2−22.計算書の「洪水吐」で出力される年超過確率が、流域での入力と異なります。この理由を教えて下さい。

Q2−23.入力画面「洪水吐」のタブ「入力|設計洪水流量」の「比流量」で「比流量を計算する」とした場合、地域係数を入力する必要がありますが、ここにはどのような値を入力するのでしょう。

Q2−24.ハイドログラフの「合理式」と「合成合理式」の計算方法の違いについて、教えて下さい。

Q2−25.入力画面「流域」のタブ「流出係数、面積」に、複数の地形を1行にまとめて入力できますか。
 3.安定計算入力

Q3−1.堤体寸法で一番最初の地層面が斜面になっているモデルを入力できないか?

Q3−2.浸潤線は入力した水位より自動設定可能だが、任意の浸潤線を入力して使用すること可能でしょうか?

Q3−3.地震時についての検討はどこで行うのか?

Q3−4.C(浸出面勾配から算出する係数)の基準を教えて頂けないでしょうか?

Q3−5.水位ケースで浸潤線の入力を行うが、計算すると背後池側で浸潤線がはみ出してしまうことがあると思う。その場合、どのように修正すればよいか。

Q3−6.背後池側の堤体外形の入力の方法を教えて頂けないでしょうか

Q3−7.地層の入力で計算範囲の始点側と終点側で高さを変更したい場合の入力方法を教えて頂けないでしょうか

Q3−8.ruを設定するための目安となる参考資料等の文献などはないでしょうか?

Q3−9.水位急降下時の設定項目があるが、「ため池整備」に準拠して水位急降下時の計算を行わないことはできるのか

Q3−10.均一型の堤体にて、堤体部の透水係数を変更したが浸潤線の計算値が変更されない理由は?

Q3−11.水位ケース入力画面の浸潤線タブにある浸潤線開始位置指定はどのような場合に使用するのか?

Q3−12.水位ケース入力画面の浸潤線タブにある浸潤線終了位置指定はどのような場合に使用するのか?

Q3−13.円弧すべり入力画面の設計水平震度の条件選択の出典を教えて下さい

Q3−14.計算時に「水位線が水平でありません」のエラーメッセージが表示されます

Q3−15.任意荷重入力の分散角度はどのうような場合に入力するのでしょうか?

Q3−16.計画安全率が1.20となっていますが、「土地改良施設耐震設計の手引き」(P.497)の計画安全率を1.0として計算することはできますか?

Q3−17.任意のネバーカットラインを指定することはできますか

Q3−18.「モデル作成補助ツール」にて、CADデータファイルをインポートしましたが正常にインポートできていないようです。回避方法はありますか。

Q3−19.入力画面「初期値設定」の透水係数kの単位ですが、一般的には「m/s」と思いますが、「m/s」と「cm/s」から選択できる理由を教えて下さい。

Q3−20.入力画面「初期値設定」|タブ「基準対応値」、および入力画面「円弧すべり」|タブ「ケース別設定|基準対応値」の「設計外力|地震時(kh法)」の「地震時慣性力をせん断抵抗に考慮」は、どの基準・指針を適用した場合にチェックすべきでしょうか。

Q3−21.水位ケースの「完成直後」と「空虚時」の違いは何か。
 4.水理計算

Q4−1.水理計算において流量(流域)だけ計算することは可能か?

Q4−2.「防災調節池等技術基準(案)解説と設計実例P-156、図33水位容量曲線図」に示しているH−F(水位−面積)図に対応しているか?

Q4−3.洪水調節計算結果の容量Vの算出方法を教えて下さい

Q4−4.貯留施設の洪水到達時間が指定した値と異なる理由は?

Q4−5.湛水(水位)を考慮した貯留計算には対応しているか?

Q4−6.比流量計算時に20km2より小さい流域を指定した場合、結果確認画面、及び計算書出力時に「流域面積が20km2より小さいので参考値とする」と表示されますが、参考値とする理由は何でしょうか?

Q4−7.ため池が地山の斜面等がそのまま残っておりいびつな形状になる場合でも対応しておりますでしょうか。自分で面積の計算をすることが必要でしょうか。

Q4−8.洪水調節方式をピークカット方式にして計算すると放流量が非常に小さな値となりました。なぜでしょうか?

Q4−9.洪水吐きの計算で用いる洪水到達時間の根拠は?

Q4−10.貯留施設の結果確認画面の最大放流量や流入量、放流量が3桁で表示されていますが、この桁数を変更することはできますか

Q4−11.貯留施設のハイドログラフが水位がある状態から開始していますが何が原因でしょうか

Q4−12.2種類のモデルを作成しましたが、貯留施設の計算結果でハイドログラフを確認すると計算時間が異なっています。
1つ目のモデルは降雨継続時間を超えて計算を行っていますが、2つ目のモデルでは降雨継続時間前に計算が終了しています。
これはどのような理由からでしょうか?


Q4−13.水理計算結果確認画面|貯留施設タブのハイドログラフにて表示されている線の色の変更はできないのでしょうか

Q4−14.洪水吐の設計洪水流量の計算にて、1/200年確率で設計流量を1.2倍している理由は?
また、「1/200年降雨強度」を選択した場合は流量を1.2倍することはないのではないか?


Q4−15.「流域」入力画面の「流出係数、面積」タブにて、1つの流域に複数の地形の流出係数と面積を入力しています。
この時、流域計算時の流出係数には計算値を用いているようですが、この値の算出根拠をお教えください。


Q4−16.計算書の流域のハイドログラフの項目に、時間降雨分布曲線図が出力されていますが、この図に出力されている雨量の算出根拠を教えて下さい。

Q4−17.「貯留施設」入力画面の「入力|ため池情報」タブで入力する「堰の底面までの高さD」の寸法はどのように計算に影響するのでしょうか。

Q4−18.「貯留施設」の結果画面や計算書の「水位〜容量曲線図」に表示・出力される「池底の標高」が、「貯留施設」の入力画面で入力した値と一致しません。この理由を教えて下さい。

Q4−19.貯留施設計算結果に表示される「低水部標高」はどのように算出しているのでしょうか。

Q4−20.H-V曲線を確認することはできますか。
 5.安定計算

Q5−1.「過剰間隙水圧と設計震度との考慮(ΔU法とkh法との同時考慮)」について、どの文献を参照されていますか

Q5−2.起動モーメント、抵抗モーメントを検算したい

Q5−3.「常時満水位」「水位急降下」のように水位があるケースの場合、慣性力は土塊(kN)に設計震度Kh(入力値)をかけた値になっていませんが、どのように計算されているのか教えて下さい

Q5−4.水圧法であったり体積法といった用語はなにか基準書等に記述があるものでしょうか?

Q5−5.常時満水位と水位急降下時の安定計算結果が同じとなりますが、対処方法はありますか?

Q5−6.安定計算の円弧すべりにて、円弧がすべり円中心より上部を切る場合はどのように計算を行っているのでしょうか

Q5−7. 令和2年2月に通知された「フィルダム及びため池における堤体下流斜面の安定計算について(通知)」に従った下流側の計算を行うことはできますか。

Q5−8.「γ・uの扱い」で「γsat」を指定する場合、「γsat(u=0)」と「γsat(u=計算)」の2種類があります。「フィルダム及びため池における堤体下流斜面の安定計算について(通知)」に従う設定を行う場合は、どちらを選択すればよいでしょうか。

Q5−9.安定計算結果確認画面において、円弧すべりの格子が表示されない場合があります。この理由を教えて下さい。

Q5−10.地層の左端のX座標から水位線が開始するデータと、堤体の内部から水位線が開始する2種類のデータを作成しました。水位線の開始点以外は同一のモデルとしていますが、2つのデータでは安全率が異なる結果となりました。どのような原因が考えられるでしょうか。

Q5−11.製品ヘルプに、「土地改良事業 ため池整備」の場合は、「液状化」を選択してFellenius法で計算すると記載がありますが、その理由を教えて下さい。

Q5−12.計算結果を確認すると、水重や水圧を計算に考慮していないようですが、この理由を教えて下さい。

Q5−13.水位急降下時の計算で「旧水位線の設定が無効のため間隙水圧算出に失敗しました」のエラーメッセージが出ます。
解決方法を教えて下さい。


Q5−14.任意座標入力で作成したモデルにて安定計算を実行すると、「計算対象範囲内に属性のないブロックが存在します。計算対象範囲内にすき間が出来ないようにブロック定義をして下さい」のエラーが発生します。
解決方法を教えて下さい。


Q5−15.任意座標入力で作成したモデルにて安定計算を実行すると、「計算対象範囲と土質ブロックの関係が無効です」のエラーが発生します。
解決方法を教えて下さい。


Q5−16.入力画面「円弧すべり」のタブ「共通設定|特定すべり面の照査|ネバーカットライン」にて、「※ネバーカットライン1は自動的に設定される項目となります。編集・削除を行うことはできません。」とありますが、この自動設定されるネバーカットラインはどのように設定しているのでしょうか。

Q5−17.ため池の豪雨耐性評価の計算は可能でしょうか?

Q5−18.ある地層を切る円弧を検討したいのですが、地層外を切る円弧となってしまいます。
特定の箇所を切る円弧を検討する方法はありますか。


Q5−19.円弧すべりの計算結果で円弧のオーバーハング(滑り円中心より上部を切る)が発生しました。
どのような原因が考えられるでしょうか。

 6.出力

Q6−1.浸潤線等をカラーでプリンタへ出力することが可能か?
 7.その他

Q7−1.「モデル作成補助ツール」が使用できるようですが、どのような場合に使用するのでしょうか?

Q7−2.計算を実行すると、「MESSAGE.FILのコピーに失敗しました」のエラーメッセージが表示されました。
これを回避する方法を教えて下さい。


Q7−3.作成したモデルを「斜面の安定計算」で読み込むことはできますか。



 1.適用範囲、制約条件

Q1−1.

ため池の堤体に液状化がある場合に土地改良施設 耐震設計の手引き 平成16年3月(社団法人農業土木学会発行)にあるような内容でため池の設計計算で行うことが可能か?
A1−1. 可能です。
「土地改良施設 耐震設計の手引き 平成16年3月」 P-373の「堤体、基礎の液状化を考慮した地震時の検討」については、円弧すべり入力画面−ケース別指定タブ−安全率タブの「計算種別」にて液状化、液状化(修正Fellenius法)を選択することで物性値データで入力した液状化層における過剰間隙圧比(ru)を考慮した地震時(液状化)の検討についてモデル化することができます。
 

Q1−2.

水理計算のみの計算をする場合どうすれば良いでしょうか?
A1−2. 基本条件入力画面の「水理計算の有無」を「する」に設定し、出力したい「水理計算種別」を選択して頂くことにより、ため池の設計計算(堤体の安定計算(円弧すべり))を行わずに指定した水理計算のみの計算書を出力することができます。

但し、「水理計算種別」の指定を「流域と貯留の計算」とした場合には、流域のみを入力後に水理計算および出力はできません。指定した水理計算種別を全て入力した場合にのみ水理計算の出力が行われます。
 

Q1−3.

透水性ゾーンがないモデルの入力方法を教えて頂けないでしょうか
A1−3. 基本条件入力画面の「堤体の入力方法」の指定を「任意座標入力」と設定していただき、モデルを作成することをお勧め致します。但し、浸潤線の自動生成は行いません。

また、基本条件入力画面の「堤体の入力方法」の指定を「寸法入力」と設定した場合は、斜面に変化点(折れや段差)のないモデルにつきましては、「堤体寸法」入力画面−「形状寸法」タブ−「堤体・透水性ゾーン」タブ−「貯水池側」または「背後池側」タブ内の「透水性ゾーン幅」を天端幅、下端幅共に0(m)と入力していただくことでモデル化できます。

斜面に変化点のあるモデルにつきましては、「物性値」入力画面にて、透水性ゾーンの物性値を堤体と同値としていただきたいと存じます。

ただし、「水位ケース」入力画面の浸潤線入力につきましては、透水性ゾーンを考慮して自動計算を行いませんので、浸潤線入力にて透水性ゾーン部分の浸潤線を補完していただきたいと存じます。

 2.水理計算入力

Q2−1.

降雨強度を直接入力する方法は?
A2−1. 以下に手順を記述いたします。
1.「基本条件」タブの「降雨強度の計算」を「降雨強度直接入力」に指定する。
2.「降雨強度直接入力」タブを開く
3.入力項目の選択(降雨強度/降雨量/流量)を指定する。
4.「計算時間単位Δt」、「降雨継続時間t」の入力を行う。
 ※お考えの値を適宜入力してください。
5.降雨強度直接入力表にて、流量を入力する。
6.同画面内の計算ボタンを押下する。
 ※メッセージが表示されるので、「はい」を選択していただくと「降雨強度」、「降雨量」を自動計算し、表にセットします。

「降雨強度」、「降雨量」、「流量」のうち、「降雨強度」の入力は必ず必要となります。
しかし、上記6.でもご説明しましたが、「計算」ボタンを押下していただくことで、入力項目から非入力項目への自動計算を行いますので、実際に入力していただく項目は「降雨強度」、「降雨量」、「流量」のうち1つで結構です。
※入力後、計算ボタンを必ず押下してください。

入力完了後、同画面内の「ファイルへ書き込み」ボタンより、現在入力している降雨強度直接入力データを(*.rdi)形式で保存することが可能です。
また、降雨強度直接入力データ(*.rdi)は「ファイルから読み込み」ボタンより読み込むことが可能です。
 

Q2−2.

降雨強度式を2式併用した降雨強度曲線にて計算結果を確認したい?
A2−2. 流域−降雨強度式タブ内の降雨強度式数を2(式)に指定し、右側に「複数式の算定方法」スイッチが選択可能な状態となりますので「合計」を選択した後に、それぞれの降雨強度式の入力を行って下さい。
2式併用とは、異なる降雨強度式を1つの降雨強度曲線として取り扱うことを意味しており、以下のような考えで降強度曲線を構成します。
入力した1式の降雨継続時間をT1,2式をT2とすると、降雨強度式の使い分けは、
・0〜T1:1式
・T1〜T1+T2:2式
となります。
 

Q2−3.

長時間降雨強度式について対応しているのでしょうか?
A2−3. 本製品の降雨強度式は、防災調節池等技術基準(案)解説と設計実例を主たる準拠基準としており、短時間降雨強度式または、長時間降雨強度式の切り替えスイッチには対応していません。

本製品の降雨強度式で長時間降雨強度式に対応しているものは以下の降雨強度式でございます。

・山梨県1型 r=a・(b/t)^n
・山梨県2型 r=a/(t^n+b)

なお、「クリーブランド型 r=a/(t^n+b)」について長時間降雨強度式を用いる場合には「山梨県2型」を指定して頂きたいと存じます。

上記以外の長期降雨強度式を用いる場合には、入力データ−流域−降雨強度式タブ内の降雨強度式の表入力内の降雨継続時間t(時)にて直接入力して頂きたいと存じます。
 

Q2−4.

土地利用状況定数Cは計算にどのように影響するのか?
A2−4. 土地利用状況定数CはKinematic Wave理論にて洪水到達時間を計算する場合に用いられます。
 

Q2−5.

洪水到達時間の指定方法について?
A2−5. 本製品の洪水到達時間の入力は、流域−降雨波形タブ内の計算時間単位 Δtにて(分)単位で指定して下さい。
入力する値は同画面の洪水到達時間(参照値)を参考にして頂き適値を指定して下さい。通常のモデルでは5分、10分、15分、20分ときりのよい値を指定することをお勧め致します。
また、現在では各都道府県にて定められた洪水到達時間がございますのでこちらに付きましてもご確認頂きたいと存じます。
 

Q2−6.

「土地改良事業設計指針「ため池整備」 平成18年2月」のP-136に記載している内容「ため池への流入量は、各時間の流量を20%割増した値とする」についてモデル化することができますか?
A2−6. 可能です。
本製品の水理計算-流域入力画面のハイドログラフタブ内の「各時間の流量割増値(%)」にて指定して下さい。
 

Q2−7.

滋賀県の降雨強度式は対応可能でしょうか?
A2−7. モデル化の際には水理計算−流域入力画面-降雨強度式タブ内の降雨強度式選択にてクリーブランド型を指定していただきたいと存じます。
また、本製品のSampleフォルダーの下側にShigaフォルダーの中に「開発に伴う雨水排計画基準(案) 平成14年4月 滋賀県土木交通部河港課」、「近畿地方整備局資料(設計便覧(案) 河川編(H19.12) 第9編参考資料第1章)」に準拠した降雨強度式を保存していますのでこちらをご利用頂きたいと存じます。
 

Q2−8.

土地改良事業設計指針 「ため池整備」平成27年5月P-168に準拠した合成合理式を計算することができるか?
A2−8. 可能です。
本製品の水理計算-流域入力画面のハイドラグラフタブ内の計算スイッチを合成合理式に切り替えて頂き、合成合理式の降雨分割数、標準比率、基底流量を指定することで土地改良事業設計指針 「ため池整備」平成27年5月P-168に準拠した合成合理式のハイドログラフを計算することができます。
 

Q2−9.

「土地改良事業設計指針『ため池整備』」に記載のA項流量、B項流量、C項流量の計算は可能でしょうか?
A2−9. A項流量、B項流量、C項流量の計算につきましては、本製品で行うことができます。
上記の計算を行う場合、水理計算−洪水吐−設計洪水流量タブにて入力していただきたいと存じます。
A項とB項の流量の比較につきましては、設計洪水流量タブの比流量より「比流量を入力する」を選択し、B項流量の比流量を直接入力することで行うことができます。
A項とC項の流量の比較につきましては、設計洪水流量タブの比流量より「比流量を計算する」を選択し、C項流量の計算に用いる流域面積と地域係数を入力することで行うことができます。

ただし、A項、B項、C項の流量から最大の流量を比較する機能は設けておらず、上記の計算結果より、お客様ご自身で比較していただく必要があることをご了承いただきますようお願いいたします。
 

Q2−10.

貯留施設の許容放流量にはどのような値を入力すればよいか
A2−10. 「防災調節池等技術基準(案)」P-150には、「一般に調節池下流河川の流下能力によって決定される。」と記載がございます。
許容放流量は、Manningの平均流速公式で求められますが、河川毎に許容放流量を定められている自治体等があると考えており、この許容放流量については、設計する市の河川担当者にお聞き頂くことをお勧め致します。
 

Q2−11.

自治体で定められている降雨強度式を利用することができるようですが、どのような手順で利用するのでしょうか?
A2−11. 本製品の都道府県ごとの降雨強度式データファイルにつきましては、本製品インストール時に同時にインストールしており、本製品をインストールしたフォルダにある「Sample」フォルダ内の都道府県名称のフォルダに保存されております。

本製品のメインメニュー|基準値|降雨強度式(登録)から開く基準値(降雨強度式)入力画面の「読込」ボタンから上記フォルダに保存されている降雨強度式ファイル(拡張子.rit)を読み込むことで降雨強度式を登録することができます。
登録された降雨強度式は、水理計算|流域入力画面|降雨強度式タブの「基準値から選択する」ボタンで選択可能になります。

なお、都道府県ごとの降雨強度式データファイルは、製品バージョンアップ時に順次追加を行っております。
 

Q2−12.

降雨強度式の入力にて、前のバージョンで選択できていた山梨県2型が選択できなくなっています。選択する方法を教えて下さい。
A2−12. 本製品のVer.3.1.0より、タルボット型、シャーマン型、久野・石黒型、クリーブランド型の降雨強度式について、長時間降雨強度式(時間単位)に対応いたしました。

これにより、山梨県2型の降雨強度式はクリーブランド型の長時間降雨強度式(時間単位)と同一の式のため、クリーブランド型に統合しております。
山梨県2型の降雨強度式を入力する場合につきましては、降雨強度式をクリーブランド型、式中tの単位を時間単位と選択していただきますようお願いいたします。

なお、Ver.3.1.0以降では、旧バージョンにて山梨県2型が選択されていたデータを読み込んだ場合、定数b、nの値により以下のように降雨強度式を再設定します。
 ・b=0.0000 … シャーマン型の時間単位
 ・b≠0.0000、かつ n=1.0000 … タルボット型の時間単位
 ・b≠0.0000、かつ n=0.5000 … 久野・石黒型の時間単位
 ・上記以外 … クリーブランド型の時間単位
 

Q2−13.

広島県の降雨強度式で計算を行うことができますか?
A2−13. 本製品は広島県の降雨強度式で計算を行うことができます。
入力データ|基本データ、または流域入力画面の降雨強度式タブにて降雨強度式を2式、複数式の算定方法を合計と指定します。
1式目にt=10min〜180minの式を入力し、2式目にt=3hr〜24hrの式を入力します。

広島県の降雨強度式につきましては、地域ごとの基準値データファイル(*.rit)をご用意しています。
基準値データファイルは、メインメニュー|基準値|降雨強度式の登録より開く基準値入力画面より登録することができます。
広島県の基準値データファイルは、本製品をインストールしたフォルダ|Sampleフォルダ|hiroshimaフォルダに保存していますので、こちらをご利用いただきたいと存じます。
 

Q2−14.

流域入力時に降雨強度を直接入力する場合、入力する降雨強度は、降雨強度式から算出されるrと単位時間の降雨に対する降雨強度Iのどちらでしょうか
A2−14. 本製品の降雨強度直接入力につきましては、入力された各時間の降雨強度を直接用いて計算を行います。
従いまして、単位時間の降雨に対する降雨強度I(mm/hr)を入力していただきますようお願いいたします。
降雨強度Iにつきましては、「防災調節池等技術基準(案)」の計算例-4の表16(P144)が、ご参考になるかと存じます。
 

Q2−15.

洪水吐の入力にて、降雨強度を直接入力することができますが、直接入力する場合、どの時間の降雨強度を入力すればよいのでしょうか
A2−15. 本製品の洪水吐きの設計洪水流量の計算につきましては、「防災調節池等技術基準(案)」に準拠した計算を行います。
前述の基準書のP.182の[計算例-14]では、P.141〜143の流域の計算例[計算例-3]により決定した洪水到達時間より降雨強度を算出しています。
従いまして、一般的には、流域の洪水到達時間より算出した降雨強度を直接入力すると考えられます。
 

Q2−16.

「流域」入力画面|「洪水到達時間」タブ「Kinematic Wave理論」タブに表示されている「土地利用状況定数C」の出典を教えて下さい
A2−16. ご質問箇所の「土地利用状況定数C」につきましては、「防災調節池等技術基準(案)」P.112に記載されている開発前、開発後の値がご参考になるかと存じます。
なお、表示している値は同画面の「流出係数、面積」タブの「土地利用状況定数C」で入力した値です。
実際に計算で使用する定数Cにつきましては、この入力値を使用します。
 

Q2−17.

貯留施設入力画面にて結果確認を表示しようとすると、「ため池容量にデータが入力されていません」のエラーが表示されるのはなぜでしょうか。
A2−17. ご質問のエラーは、貯留施設入力画面のため池容量表に、データが2行以上入力されていない場合に表示します。

本製品の貯留施設入力画面のため池容量表は、洪水調節計算時に水位容量曲線として用います。
従いまして、データが1行以下の場合は水位容量曲線を作成することができないため、エラーを表示しております。
 

Q2−18.

入力したい降雨強度式が君島式(クリーブランド型)で、パラメータのbが0.0です。この式を入力することはできますか。
A2−18. 本製品のクリーブランド型の降雨強度式(r = a/(t^n+b))は、b=0.0を指定可能です。
もしくは、シャーマン型の降雨強度式(r = a/t^n)を選択することでも対応可能です。
 

Q2−19.

入力画面「流域」のタブ「流出係数、面積」の土地利用状況定数Cには、どのような値を入力すればよいのでしょうか。
A2−19. 土地利用状況定数Cは、「防災調節池等技術基準(案)」P.9〜10のKinematic Wave理論による洪水到達時間の計算式(2.4)の「C:流域の土地利用状態等で決まる定数」として使用します。
「防災調節池等技術基準(案)」P10では、開発前はC=180、開発後はC=60とすることが記載されています。
 

Q2−20.

流域を複数設置する場合に、入力画面「流域」のタブ「降雨強度直接入力」のデータを他の流域にも反映させる方法はありますか。
A2−20. タブ「降雨強度直接入力」の入力を「降雨強度直接入力データ(*.rdi)」に保存後、流域切替にて反映させたい流域に入力を切り替えていただき、保存した「降雨強度直接入力データ(*.rdi)」を読み込むことでデータを反映させることができます。
降雨強度直接入力データの保存、読み込みにつきましては、A2−1.をご参照下さい。
 

Q2−21.

貯留施設の計算結果や計算書で出力される洪水到達時間が、等流流速法、土研式、Kinematic Wave理論の計算結果の何れの値とも一致しません。この理由を教えてください。
A2−21. 流域の洪水到達時間の計算結果は、貯留施設の計算では使用しないためです。

本製品では、入力画面「流域」のタブ「降雨波形」に計算時間単位Δtを設けており、同画面の洪水到達時間参照値(各計算手法の洪水到達時間の計算結果)を参考に、「計算時間単位Δt」を設定します。
貯留施設の計算では、この「計算時間単位Δt」を洪水到達時間として使用します。

洪水到達時間(計算時間単位Δt)につきましては、「Q2−5.洪水到達時間の指定方法について?」をご参照ください。
 

Q2−22.

計算書の「洪水吐」で出力される年超過確率が、流域での入力と異なります。この理由を教えて下さい。
A2−22. 計算書の「洪水吐」の年超過確率の出力は、入力画面「洪水吐き」|タブ「入力|降雨強度式」の「確率年」の入力を出力します。
このため、入力画面「流域」|タブ「降雨強度式」で入力した「確率年」と異なる場合があります。
 

Q2−23.

入力画面「洪水吐」のタブ「入力|設計洪水流量」の「比流量」で「比流量を計算する」とした場合、地域係数を入力する必要がありますが、ここにはどのような値を入力するのでしょう。
A2−23. 比流量算出時の地域係数は、「防災調節池等技術基準(案) 解説と設計実例」P.126、および「土地改良事業設計指針 ため池整備 平成27年5月」p.35に以下の値が記載されています。

北海道 C=17
東北 C=34
関東 C=48
北陸 C=43
中部 C=44
近畿 C=41
紀伊南部 C=80
山陰 C=44
瀬戸内 C=37
四国南部 C=84
九州・沖縄 C=56
 

Q2−24.

ハイドログラフの「合理式」と「合成合理式」の計算方法の違いについて、教えて下さい。
A2−24. 入力画面「基本データ」の「ハイドログラフ」タブの「合理式」と「合成合理式」を選択時の違いは、以下の通りです。
以下はそれぞれの計算式です。

「合成合理式」を選択した場合、「土地改良事業設計指針 ため池整備」(平成27年5月)p.168〜170の「時間遅れを考慮した合成合理式」の方法です。
Qn = 1/360・f・In・A+Qb
ここに、
Qn:流量(m3/s)
f:流出係数
In:降雨強度(mm/hr)
A:流域面積(ha)
Qb:基底流量(m3/s)

「合理式」を選択した場合、「防災調節池等技術基準(案)」p.13及びp.68の方法です。
Qn = 1/360・f・In・A

また、一般的には「合理式」の計算方法が「合成合理式」と呼ばれていますが、本製品では「防災調節池等技術基準(案)」に従い、「合理式」と表記しています。
 

Q2−25.

入力画面「流域」のタブ「流出係数、面積」に、複数の地形を1行にまとめて入力できますか。
A2−25. 可能です。
面積に複数地形の面積の合計値を入力し、流出係数に面積加重平均値を入力してください。
入力画面「流域」のタブ「流出係数、面積」にて複数の地形を入力した場合、計算時の面積は各地形の面積の合計を使用します。
流出係数はA4−15の通り、各地形の流出係数と面積より、加重平均にて計算します。
土地利用状況定数C(Kinemtic Wave理論の洪水到達時間の計算で使用する定数)についても、各地形の定数と面積より加重平均にて計算します。
このため、地形を1つにまとめる場合は、上記の値を直接入力することで地形別に入力した場合と同じ計算結果が得られます。


 3.安定計算入力

Q3−1.

堤体寸法で一番最初の地層面が斜面になっているモデルを入力できないか?
A3−1. 地表面の始点・終点のY座標の入力と中間点X,Y座標を入力していただくことで傾斜および凹凸をモデル化することができます。
 

Q3−2.

浸潤線は入力した水位より自動設定可能だが、任意の浸潤線を入力して使用すること可能でしょうか?
A3−2. 「寸法入力」モデルでは、入力したX座標からY座標を自動計算して表示しますが、Y座標は任意に入力することできます。
「任意座標入力」モデルでは、浸潤線の自動計算は行っていない為に、任意の浸潤線を入力してください。
 

Q3−3.

地震時についての検討はどこで行うのか?
A3−3. 本製品の円弧すべり入力画面のケース別設定タブ−安全率タブの「計算種別」計算スイッチを「地震時」に指定して頂きたいと存じます。
 

Q3−4.

C(浸出面勾配から算出する係数)の基準を教えて頂けないでしょうか?
A3−4. 「寸法入力」モデルのC(浸出面勾配から算出する係数)は、土地改良事業計画書設計基準「フィルダム」PU-61に記載しているC=Δa/(a+Δa)の値を入力して下さい。
こちらにマイナスの値を入力すると内部計算を行い、プラスの値を入力すると入力した値を計算に用います。
「任意座標入力」モデルでは、C(浸出面勾配から算出する係数)の入力は設けていません。
 

Q3−5.

水位ケースで浸潤線の入力を行うが、計算すると背後池側で浸潤線がはみ出してしまうことがあると思う。その場合、どのように修正すればよいか。
A3−5. 「寸法入力」モデルにおける浸潤線の入力は、水位ケースタブの各ケース毎に入力した「水位高」を用い内部計算した値を浸潤線タブ内の浸潤線表入力に設定しており、この設定した値(X座標、Y座標)を直接修正して頂きたいと存じます。
内部計算における浸潤線の構成は結線していない状態があり、これを防ぐ為に必ず浸潤線の入力が必要となります。
「任意座標入力」モデルでは、浸潤線の内部計算は行っていません。
 

Q3−6.

背後池側の堤体外形の入力の方法を教えて頂けないでしょうか
A3−6. 「寸法入力」モデルにおける背後池側の堤体外形の入力は、堤体天端の左端位置の地表面を始点とし、貯水池側の堤体外形の入力と同様に地表面側から1段目(No.1)、2段目(No.2)…となるように入力していただきたいと存じます。
 

Q3−7.

地層の入力で計算範囲の始点側と終点側で高さを変更したい場合の入力方法を教えて頂けないでしょうか
A3−7. 地層の中間点座標入力にてX座標を計算範囲の始点X座標、または終点X座標と同値で入力し、Y座標を入力していただくことで始点側、終点側の高さを変更することができます。
ただし、中間点座標がオーバーハングとならないように、始点側の高さを変更する場合には中間点座標の最初の点(No.1)にて、終点側の高さを変更する場合には中間点座標の最終点にて入力していただきたいと存じます。
 

Q3−8.

ruを設定するための目安となる参考資料等の文献などはないでしょうか?
A3−8. 過剰間隙水圧比につきましては、「土地改良施設 耐震設計の手引き 平成16年3月」の p.499に記載の以下の式、および図-7.3.3 円弧すべり法の液状化に対する抵抗率と過剰間隙水圧比のグラフを参考にしていただきたいと存じます。

-----------------------------------
ru=FL^(-7)(FL>1.0)
ru=1.0(FL≦1.0)
FL : 液状化に対する抵抗率
-----------------------------------
 

Q3−9.

水位急降下時の設定項目があるが、「ため池整備」に準拠して水位急降下時の計算を行わないことはできるのか
A3−9. 「水位ケース」入力画面−水位ケースタブにて検討する水位ケースを選択することができますので、計算を行わないケースについてはチェックをはずしていただきたいと存じます。
 

Q3−10.

均一型の堤体にて、堤体部の透水係数を変更したが浸潤線の計算値が変更されない理由は?
A3−10. 均一型の堤体の場合、浸潤線計算の際に透水係数を用いていないために浸潤線の計算値が変化しておりません。

上記の理由としましては、本製品の浸潤線の計算は土地改良事業計画設計基準 設計「ダム」 技術書[フィルダム編]のp.U-65〜72を参考として計算しておりますが、均一型フィルダムの計算例では浸潤線の放物線計算時には透水係数を用いていないためでございます。
 

Q3−11.

水位ケース入力画面の浸潤線タブにある浸潤線開始位置指定はどのような場合に使用するのか?
A3−11. 安定計算に用いる浸潤線の始点を任意の位置に変更する場合にご利用いただきたいと存じます。
浸潤線開始位置が指定されていない場合には、安定計算に用いる浸潤線の始点のX座標は計算範囲の左端、Y座標は水位高となります。
 

Q3−12.

水位ケース入力画面の浸潤線タブにある浸潤線終了位置指定はどのような場合に使用するのか?
A3−12. 安定計算に用いる浸潤線の終点を任意の位置に変更する場合にご利用いただきたいと存じます。
浸潤線終了位置が指定されていない場合には、安定計算に用いる浸潤線の終点のX座標は計算範囲の右端、Y座標は浸潤線入力座標の最終Y座標となります。
 

Q3−13.

円弧すべり入力画面の設計水平震度の条件選択の出典を教えて下さい
A3−13. 本製品の設計水平震度の条件選択につきましては、地盤種別、地域区分については道示X(H24.3)を参考に算定しております。
地震レベルについては「道路土工 盛土工指針 平成22年4月」P125の解表4-3-3を参考としております。
 

Q3−14.

計算時に「水位線が水平でありません」のエラーメッセージが表示されます
A3−14. ご質問のエラーメッセージは、堤体、および地層の外部に存在する水位線が水平でない場合に計算時に表示されるエラーメッセージでございます。

堤体、および地層の外部に存在する水位線は水平に定義していただく必要がございます。
従いまして、水位ケース入力画面より、堤体、および地層の外部に存在する水位線が水平となるように浸潤線の入力を見直していただきますようお願いいたします。
 

Q3−15.

任意荷重入力の分散角度はどのうような場合に入力するのでしょうか?
A3−15. 指定された分散角度で土中分布するものとして、すべり面の荷重として考慮する場合に入力していただきたいと存じます。
φとして入力された場合には、荷重の作用方向に対して2φの角度で土中で分布するものとして計算します。
 

Q3−16.

計画安全率が1.20となっていますが、「土地改良施設耐震設計の手引き」(P.497)の計画安全率を1.0として計算することはできますか?
A3−16. 計画安全率1.20は「土地改良事業計画指針「ため池整備」」(平成27年5月)P-53の記述に従った値となります。
耐震設計の手引きの安全率とする場合には、初期値設定入力画面−安全率タブより、各ケースの安全率を直接変更していただきたいと存じます。
 

Q3−17.

任意のネバーカットラインを指定することはできますか
A3−17. 「円弧すべり」入力画面|「共通設定」タブ|「特定すべり面の照査」タブ|「ネバーカットライン」タブより入力することができます。
任意のネバーカットラインを指定する場合、ネバーカットライン数を2以上に変更していただき、ネバーカットライン2以降に座標を入力します。
 

Q3−18.

「モデル作成補助ツール」にて、CADデータファイルをインポートしましたが正常にインポートできていないようです。回避方法はありますか。
A3−18. スケールが異なる場合、正しく読み込めない場合があります。
モデル作成補助ツールの単位は(m)となりますので、スケールを調整の上、インポートをお試しいただきますようお願いいたします。
 

Q3−19.

入力画面「初期値設定」の透水係数kの単位ですが、一般的には「m/s」と思いますが、「m/s」と「cm/s」から選択できる理由を教えて下さい。
A3−19. 本製品の浸潤線の計算は「土地改良事業計画設計基準 設計「ダム」 技術書「フィルダム」」を参考としています。
この資料では、透水係数kの単位は「cm/s」となっているために、「m/s」と「cm/s」の選択を用意しています。
 

Q3−20.

入力画面「初期値設定」|タブ「基準対応値」、および入力画面「円弧すべり」|タブ「ケース別設定|基準対応値」の「設計外力|地震時(kh法)」の「地震時慣性力をせん断抵抗に考慮」は、どの基準・指針を適用した場合にチェックすべきでしょうか。
A3−20. 「地震時慣性力をせん断抵抗に考慮」は「ため池整備」、「フィルダム編」、「防災調節池等技術基準(案)」の何れの基準を選択した場合でも通常はチェックを入れてください。
安定計算の計算式は、以下を参考にしています。
これらの式では、抵抗モーメント(分子)の計算時に地震時慣性力を考慮するためです。
ため池整備、フィルダム編:「土地改良事業計画設計基準 設計[ダム] 技術書 [フィルダム]編」P.II-102から103
防災調節池等技術基準(案):「防災調節池等技術基準(案)」P.34から35
 

Q3−21.

水位ケースの「完成直後」と「空虚時」の違いは何か。
A3−21. どちらも水位のない場合の検討ケースです。
「土地改良事業設計指針 ため池整備」(平成27年5月)では完成直後、「土地改良事業計画設計指針 設計 ダム 技術書 フィルダム編」(平成15年4月)では空虚(完成直後)とあります。
「防災調節池等技術基準(案)」p.34のように、完成直後と空虚時で計算条件が異なる場合も考慮して、両方のケースを設けています。
なお、計算条件が同じであれば、完成直後、空虚時ともに同じ結果になります。

 4.水理計算

Q4−1.

水理計算において流量(流域)だけ計算することは可能か?
A4−1. 可能です。
基本条件入力画面の水理計算種別スイッチを「流域の計算」に指定して頂きたいと存じます。但し、他の水理計算(貯留施設、洪水吐)を行なっていない為に堤体寸法入力画面、水位ケース入力画面において水理計算の結果を取得することはできません。
 

Q4−2.

「防災調節池等技術基準(案)解説と設計実例P-156、図33水位容量曲線図」に示しているH−F(水位−面積)図に対応しているか?
A4−2. 水理計算−貯留施設入力画面−スイッチ制御タブ−水位容量曲線の入力方法を「水位とその時の湛水面積を与え容量を算定する」と指定していただくことで、同入力画面−入力タブ−ため池容量にて、調節池容量の水深と面積を直接入力いただけます。
また、H−F(水位−面積)図につきましては同入力画面−結果確認タブ、または水理計算結果確認画面−貯留施設タブの水位容量曲線タブにて確認することができます。
 

Q4−3.

洪水調節計算結果の容量Vの算出方法を教えて下さい
A4−3. 本製品の必要調節容量計算は、「防災調節池等技術基準(案)解説と設計実例」計算例-6(P-155)図32 防災調節池の洪水調節計算フローチャートに準拠して計算しており、容量についてはP-154の以下をご確認頂きたいと存じます。
また、「土地改良事業設計指針「ため池整備」平成18年2月」参考資料 1.貯留効果の計算例 P-133〜P-143と同値で算出していることを確認しています。
 

Q4−4.

貯留施設の洪水到達時間が指定した値と異なる理由は?
A4−4. 本製品の洪水到達時間は、流域で入力指定された洪水到達時間(計算時間単位Δt)をそのまま使用します。従って、流域の洪水到達時間で計算した結果を確認して頂き、降雨波形タブの計算時間単位Δtに直接入力して頂きたいと存じます。
 

Q4−5.

湛水(水位)を考慮した貯留計算には対応しているか?
A4−5. 対応しています。
貯留施設入力画面の入力タブ-ため池情報タブ内の洪水調節容量計算 湛水水位にて入力してください。
 

Q4−6.

比流量計算時に20km2より小さい流域を指定した場合、結果確認画面、及び計算書出力時に「流域面積が20km2より小さいので参考値とする」と表示されますが、参考値とする理由は何でしょうか?
A4−6. 流域面積の入力値が20(km2)より小さい場合には、参考値として取り扱うように「防災調節池等技術基準(案) 解説と設計実例」P-126に記載していますので、結果確認及び出力書式において参考値と表記しています。
 

Q4−7.

ため池が地山の斜面等がそのまま残っておりいびつな形状になる場合でも対応しておりますでしょうか。自分で面積の計算をすることが必要でしょうか。
A4−7. 面積は入力値となっています。
本製品の池の容量入力は、「水位と容量を直接入力する」か「水位とその時の湛水面積を与え容量を算出する」の何れかの方法にて指定して頂きたいと存じます。
また、「水位とその時の湛水面積を与え容量を算出する」を指定時には、算定式「せつ頭錐体、平均面積を有する柱体」の何れかを選択することができます。
 

Q4−8.

洪水調節方式をピークカット方式にして計算すると放流量が非常に小さな値となりました。なぜでしょうか?
A4−8. ご指摘の現象が発生する理由は、ピークカット方式の場合は水理計算-貯留施設-入力タブ-ため池情報タブの洪水調節容量計算内の「調節後流量(m^3/s)」で指定した流量より大きな流量は放流しないからであり、この値に適値(通常は許容放流量を超えない値)を指定して頂きたいと存じます。
 

Q4−9.

洪水吐きの計算で用いる洪水到達時間の根拠は?
A4−9. 本製品が準拠している「防災調節池等技術基準(案)解説と設計実例」のP-182においては、貯留施設計算時に用いた洪水到達時間を用いるように記述されております。
そのため本製品においては、洪水吐きの入力画面の「上流施設からの連動」ボタンを選択することで実際に計算で用いた洪水到達時間を設定しております。

但し、洪水到達時間の計算にはKinematic Wave理論のように降雨強度式(100年確率)を用い算出するものがあり、ここで用いる洪水到達時間が異なる場合も考え、現行製品のように洪水到達時間を直接入力指定できるようにしております。
 

Q4−10.

貯留施設の結果確認画面の最大放流量や流入量、放流量が3桁で表示されていますが、この桁数を変更することはできますか
A4−10. 貯留施設結果確認画面、および計算書出力時の最大放流量、流入量、放流量の計算結果の表示・出力時の桁数につきましては、オプションメニューの表示項目の設定画面−表示・描画・出力タブ−結果画面用タブの流量表示・計算書出力小数点桁数にて2桁から7桁までを指定することができます。
こちらをご希望の桁数に指定していただきたいと存じます。
 

Q4−11.

貯留施設のハイドログラフが水位がある状態から開始していますが何が原因でしょうか
A4−11. 貯留施設入力画面−入力タブ−ため池情報タブ−洪水調節容量計算の湛水水位が入力されている場合、入力された水位より洪水調節計算を開始します。
 

Q4−12.

2種類のモデルを作成しましたが、貯留施設の計算結果でハイドログラフを確認すると計算時間が異なっています。
1つ目のモデルは降雨継続時間を超えて計算を行っていますが、2つ目のモデルでは降雨継続時間前に計算が終了しています。
これはどのような理由からでしょうか?
A4−12. 本製品の貯留施設の洪水調節計算は、水理計算|貯留施設入力画面|入力タブ|ため池情報タブ|洪水調節容量計算の計算時間、または計算最大時間にて指定された時間まで洪水調節計算を行います。

ただし、上記の計算時間前に流出量が0となった場合にはその時点で計算を終了します。

ご質問のモデルの場合、1番目のモデルは指定された時間までの計算時間、または計算最大時間まで計算を行っており、2番目のモデルでは流出量が0となったため降雨継続時間に達する前に計算が終了していると考えられます。
 

Q4−13.

水理計算結果確認画面|貯留施設タブのハイドログラフにて表示されている線の色の変更はできないのでしょうか
A4−13. 線色につきましては、メインメニュー|オプション|表示項目の設定または結果確認画面内の表示設定ボタンから開きます表示項目の設定画面にて変更することができます。
表示・描画タブ|結果画面用タブ|作図の項目より、第1曲線と第2曲線の線色を変更していただきますようお願いいたします。
貯留施設結果のハイドログラフの場合、第1曲線は流入量、第2曲線は放流量の線色となります。
 

Q4−14.

洪水吐の設計洪水流量の計算にて、1/200年確率で設計流量を1.2倍している理由は?
また、「1/200年降雨強度」を選択した場合は流量を1.2倍することはないのではないか?
A4−14. 「防災調節池等技術基準(案)」P.182の[計算例-14]に、得られた年超過確率1/200流量を恒久施設基準第23条(P.39の規定)により1.2倍として設計洪水流量としている記述があるためです。

また、「「1/200年降雨強度」を選択した場合は1.2倍することはない」につきましては、降雨強度についてであり、このことにつきましても上記の[計算例-14]をご確認いただきたいと存じます。
 

Q4−15.

「流域」入力画面の「流出係数、面積」タブにて、1つの流域に複数の地形の流出係数と面積を入力しています。
この時、流域計算時の流出係数には計算値を用いているようですが、この値の算出根拠をお教えください。
A4−15. 本製品の流域の計算に用いる流出係数につきましては、流域の各地形の流出係数と面積より、加重平均にて計算しております。
流域計算時の流出係数と面積につきましては、本製品ヘルプの、「計算理論及び照査方法|水理計算|流域|流出係数、面積の計算」をご参照ください。
 

Q4−16.

計算書の流域のハイドログラフの項目に、時間降雨分布曲線図が出力されていますが、この図に出力されている雨量の算出根拠を教えて下さい。
A4−16. 「時間降雨分布曲線図」に出力している雨量は、「計画降雨波形及び流量計算表」に出力しております、回数n=1時の降雨強度より、以下の式にて算出しております。
雨量 = 降雨強度In × 計算時間単位Δt / 60

なお、「時間降雨分布曲線図」につきましては、本製品が参考としております「防災調節池等技術基準(案)」のP.12の図2.3、およびP.68の図2.1の方法にてグラフを作成しております。
 

Q4−17.

「貯留施設」入力画面の「入力|ため池情報」タブで入力する「堰の底面までの高さD」の寸法はどのように計算に影響するのでしょうか。
A4−17. ご質問の寸法Dは、貯留施設の洪水調節計算に使用します。

本製品の洪水調節計算は、「防災調節池等技術基準(案)」P155のフローチャートを参考に逐次計算を行います。

この計算時に、ため池の水位がDを超えた場合は、この水位とDの差をHとして、堰の放流量を計算します。
ため池の水位がDを超えない場合は、堰から放流がないものとして計算を行います。
 

Q4−18.

「貯留施設」の結果画面や計算書の「水位〜容量曲線図」に表示・出力される「池底の標高」が、「貯留施設」の入力画面で入力した値と一致しません。この理由を教えて下さい。
A4−18. 「水位〜容量曲線図」で表示・出力する「池底の標高」は、「貯留施設」入力画面の「池底の標高」の入力値に、同画面の「ため池容量」の表入力の1行目の水深を加算した値を出力しています。

上記の水深に0.0(m)以外の値が入力されていないかをご確認ください。
 

Q4−19.

貯留施設計算結果に表示される「低水部標高」はどのように算出しているのでしょうか。
A4−19. 池底の標高+ため池容量表の0.000(m)を除く最初の水深の値を表示しています。
 

Q4−20.

H-V曲線を確認することはできますか。
A4−20. 可能です。
H-V曲線(水位容量曲線)は、水理計算結果確認画面のタブ「貯留施設|水位容量曲線」、および計算書の「水理計算|貯留施設|貯留施設情報|ため池の容量と水位」に表示・出力します。

この曲線は、入力画面「水理計算|貯留施設」|タブ「入力|ため池情報」の「ため池容量」にて入力された水位と容量より作成します。

 5.安定計算

Q5−1.

「過剰間隙水圧と設計震度との考慮(ΔU法とkh法との同時考慮)」について、どの文献を参照されていますか
A5−1. ΔU法とkh法との同時考慮につきましては、「土地改良施設 耐震設計の手引き 平成16年3月」P.377の「基礎に液状化等の変化が懸念される場合は、…地盤変状時の安定計算を実施し、安全性について評価するものとする。」および「改良が十分期待できない場合地盤上にため池堤体を築堤する場合には、地震時における基礎地盤や堤体内部の液状化や過剰間隙水圧比の評価を考慮した堤体盛土の安定性を検討することが必要となる。」の記述に対応したものとなります。
 

Q5−2.

起動モーメント、抵抗モーメントを検算したい
A5−2. 安定計算結果確認画面−臨界面タブ、及び計算書−安定計算一覧表に表示・出力しています円弧半径、滑動力、抵抗力を用い、半径×滑動力=起動モーメント、半径×抵抗力=抵抗モーメントと検算して頂きたいと存じます。

但し、小数点以下桁数を3桁としていますが、実数で計算している為に表示される起動モーメント、抵抗モーメントには誤差が発生することをどうぞ、ご理解頂きたいと存じます。
 

Q5−3.

「常時満水位」「水位急降下」のように水位があるケースの場合、慣性力は土塊(kN)に設計震度Kh(入力値)をかけた値になっていませんが、どのように計算されているのか教えて下さい
A5−3. 水没しているすべり土塊における滑動モーメント及びせん断抵抗の計算における土塊重量は有効重量γ’で計算するのに対し、地震時慣性力の計算における土塊重量Woの水没部は飽和重量で計算します。
W’:各スライスの土塊重量(γt+γ’:水没部は水中重量)
Wo:各スライスの土塊重量(γt+γsat:水没部は飽和重量)
つまり、震度法における地震時慣性力は、水中重量ではなく間隙水の重量も含んだ飽和重量として作用させる計算としております。
 

Q5−4.

水圧法であったり体積法といった用語はなにか基準書等に記述があるものでしょうか?
A5−4. 基準類に依りますので、一概には申し上げられません。
Fellenius法と修正Fellenius法の計算法から一般に、Fellenius法の場合は『水圧法』、修正Fellenius法の場合は『体積法』となります。
なお、水圧法と体積法については、本製品ヘルプ|計算理論及び照査方法|安定計算|モデル化方法|■水圧の扱い、及び|計算理論及び照査方法|安定計算|計算方法|■水圧の算定法に記載していますので、ご確認いただきたいと存じます。
 

Q5−5.

常時満水位と水位急降下時の安定計算結果が同じとなりますが、対処方法はありますか?
A5−5. 円弧すべり入力画面−ケース別設定タブ−基準対応値タブにて、常時満水位と水位急降下時の滑動時のγ・uの扱いをご確認いただきたいと存じます。

常時満水位と水位急降下時の滑動時のγ・uの扱いが同じ設定となっている場合、単位重量が常時満水位と水位急降下時で同じとなり、安定計算結果が同じとなることがございます。
 

Q5−6.

安定計算の円弧すべりにて、円弧がすべり円中心より上部を切る場合はどのように計算を行っているのでしょうか
A5−6. 円弧がすべり円中心より上部を切る場合、すべり円中心の高さより上は、鉛直クラックとして重量のみが作用し、せん断抵抗が発揮されない土塊として扱い、計算を行っています。
 

Q5−7.

令和2年2月に通知された「フィルダム及びため池における堤体下流斜面の安定計算について(通知)」に従った下流側の計算を行うことはできますか。
A5−7. 「円弧すべり」入力画面の「ケース別設定|基準対応値」タブより、以下のように設定を行う事で計算することができます。
1. ケース切替にて背後池側を計算し、かつ水位が設定ている検討ケースを選択します。

2.「γ・uの扱い|背後池側」タブ、にて、以下のように設定を行います。
滑動タブ
・浸潤線より上:γt
・浸潤線と低水位線との間:γsat(u=0)
・低水位線以下:γsat(u=0)

抵抗タブ
・浸潤線より上:γt
・浸潤線と低水位線との間:γsat - γw
・低水位線以下:γsat - γw
 

Q5−8.

「γ・uの扱い」で「γsat」を指定する場合、「γsat(u=0)」と「γsat(u=計算)」の2種類があります。「フィルダム及びため池における堤体下流斜面の安定計算について(通知)」に従う設定を行う場合は、どちらを選択すればよいでしょうか。
A5−8. ご質問の「u」は間隙水圧を示し、「u=0」と「u=計算」の違いは、間隙水圧を考慮するかどうかとなります。
「γsat(u=0)」を選択した場合、間隙水圧を無視し、「γsat(u=計算)」を選択した場合は間隙水圧を考慮します。
通知の計算方法では間隙水圧を考慮しないため、これに沿った計算を行う場合は、「γsat(u=0)」を選択することになります。
 

Q5−9.

安定計算結果確認画面において、円弧すべりの格子が表示されない場合があります。この理由を教えて下さい。
A5−9. 計算可能なすべり面が存在しないために、ご質問の表示となっていると考えられます。

「円弧すべり」入力画面の「共通設定|格子・すべり円|すべり円中心・格子設定」タブより、格子範囲をご確認いただきますようお願いいたします。
 

Q5−10.

地層の左端のX座標から水位線が開始するデータと、堤体の内部から水位線が開始する2種類のデータを作成しました。水位線の開始点以外は同一のモデルとしていますが、2つのデータでは安全率が異なる結果となりました。どのような原因が考えられるでしょうか。
A5−10. 貯水池側の水位線の有無により、土質の単位重量の取り扱いに差が生じたことで、両者のデータで土塊重量に差が発生したと考えられます。
貯水池側に水位があるモデルの場合は、貯水部に水位線を設けていただきますようお願いいたします。
 

Q5−11.

製品ヘルプに、「土地改良事業 ため池整備」の場合は、「液状化」を選択してFellenius法で計算すると記載がありますが、その理由を教えて下さい。
A5−11. 「土地改良事業設計指針 ため池整備 平成27年5月」では、P58に円弧すべり計算は「地改良事業計画設計基準 設計[ダム] 技術書[フィルダム編] 平成15年4月」(以下フィルダム編)PII-102〜111によると記載されています。
PII-102〜111はFellenius法について記述されていますので、ヘルプではFellenius法で計算する「液状化」を選択することを説明しています。

一般的にFellenius法と修正Fellenius法の違いは以下の通りです。
Fellenius法:cl+(N−U−Ne)tanφ
修正Fellenius法:cl+(W−Uob−Δub)cosαtanφ
 

Q5−12.

計算結果を確認すると、水重や水圧を計算に考慮していないようですが、この理由を教えて下さい。
A5−12. 「土地改良事業設計指針 ため池整備 平成27年5月」P.54の「各スライスにおいて滑動側の静水圧と抵抗側の静水圧がバランスしていることにより、静水圧を無視した同図(d)の考え方を採るものとする。」の記載によるものです。
本製品では、入力画面「円弧すべり」のタブ「ケース別設定|基準対応値」の「計算モデル|水圧の扱い」の初期値を「体積法」としています。
「体積法」の場合は、水重、水圧を無視した計算となります。
 

Q5−13.

水位急降下時の計算で「旧水位線の設定が無効のため間隙水圧算出に失敗しました」のエラーメッセージが出ます。
解決方法を教えて下さい。
A5−13. 浸潤線がモデルの左端または右端まで到達していないことが考えられます。
モデルの左端と右端は、以下のようになります。
  • 堤体の入力方法が寸法入力の場合
    入力画面「堤体寸法」|タブ「計算範囲・地表面」の「計算範囲」で指定された左端X座標、および右端X座標がモデルの左端、右端となります。
  • 堤体の入力方法が任意座標入力の場合
    入力画面「堤体寸法」|タブ「地表面」の「始点・終点範囲」で指定された左端X座標、および右端X座標がモデルの左端、右端となります。
入力画面「水位ケース」のタブ「浸潤線」にて、上記の左端、および右端まで浸潤線が設定されているかをご確認いただきますようお願いいたします。
 

Q5−14.

任意座標入力で作成したモデルにて安定計算を実行すると、「計算対象範囲内に属性のないブロックが存在します。計算対象範囲内にすき間が出来ないようにブロック定義をして下さい」のエラーが発生します。
解決方法を教えて下さい。
A5−14. 任意座標入力の場合、ご質問のエラーメッセージにも表示していますように、計算対象範囲内と地層、土質ブロックの間には空白ができないようにモデルを作成していただく必要があります。
入力画面「堤体寸法」のタブ「計算対象範囲」および「堤体ブロック」(または「(土質ブロック)」にて、計算対象範囲内と地層、土質ブロックをご確認いただき、空白ができないように座標を修正していただきますようお願いいたします。
 

Q5−15.

任意座標入力で作成したモデルにて安定計算を実行すると、「計算対象範囲と土質ブロックの関係が無効です」のエラーが発生します。
解決方法を教えて下さい。
A5−15. 任意座標入力の場合、計算対象範囲内からはみ出している土質ブロックが存在すると考えられます。
入力画面「堤体寸法」のタブ「計算対象範囲」および「堤体ブロック」(または「(土質ブロック)」にて、計算対象範囲内と土質ブロックをご確認いただき、土質ブロックが計算対象範囲内に収まるように座標を修正していただきますようお願いいたします。
 

Q5−16.

入力画面「円弧すべり」のタブ「共通設定|特定すべり面の照査|ネバーカットライン」にて、「※ネバーカットライン1は自動的に設定される項目となります。編集・削除を行うことはできません。」とありますが、この自動設定されるネバーカットラインはどのように設定しているのでしょうか。
A5−16. 内部設定されるネバーカットラインには、地層の左右端部と下端を設定します。
地層の左右端部は、堤体寸法入力の場合、入力画面「堤体寸法」|タブ「計算範囲・地表面」の「計算範囲」です。
任意座標入力の場合は、入力画面「堤体寸法」|タブ「地表面」の「始点・終点範囲」です。
この範囲より外側の円弧すべりを計算の対象外とするように設定しています。
内部設定されるネバーカットラインは、入力画面「円弧すべり」|タブ「共通設定|特定すべり面の照査|ネバーカットライン」のネバーカットラインNo.1で確認可能です。
 

Q5−17.

ため池の豪雨耐性評価の計算は可能でしょうか?
A5−17. 豪雨耐性評価につきましては、本製品では以下の計算が可能です。
・洪水吐の設計洪水流量の計算
・水位を考慮した堤体の安定計算
・ため池の貯留効果(洪水調節計算)
 

Q5−18.

ある地層を切る円弧を検討したいのですが、地層外を切る円弧となってしまいます。
特定の箇所を切る円弧を検討する方法はありますか。
A5−18. 入力画面「円弧すべり」|タブ「共通設定」の「マストカットライン」を設定することが考えられます。
マストカットラインは、設定したラインを必ず通るすべり面を検討する設定です。
 

Q5−19.

円弧すべりの計算結果で円弧のオーバーハング(滑り円中心より上部を切る)が発生しました。
どのような原因が考えられるでしょうか。
A5−19. 堤体材料に対して基礎地盤が軟弱である場合、オーバーハングの円弧すべりが発生する可能性があると考えられます。
このような場合、軟弱地盤面にネバーカットラインを設定する、基礎地盤の物性値を見直していただく等の対応が考えられます。


 6.出力

Q6−1.

浸潤線等をカラーでプリンタへ出力することが可能か?
A6−1. 浸潤線等のカラー出力についてはオプション−表示項目の設定−結果表示・出力−プリンタ出力時のカラー印刷にて指定することができます。


 7.その他

Q7−1.

「モデル作成補助ツール」が使用できるようですが、どのような場合に使用するのでしょうか?
A7−1. 本製品Ver.3より「モデル作成補助ツール」が使用可能となりました。
「モデル作成補助ツール」は、「ため池の設計計算」の形状・属性データの作成を補助するものです。
本ツールでは、CAD的な操作でモデルを作成し、計算対象範囲、土質ブロックの属性を設定することが可能です。
新規にモデルを作成することはもちろんのこと、SXFファイルまたはDXFファイルより必要な情報をインポートすることが可能となっています。
 

Q7−2.

計算を実行すると、「MESSAGE.FILのコピーに失敗しました」のエラーメッセージが表示されました。
これを回避する方法を教えて下さい。
A7−2. ご質問のエラーは、計算実行時に計算に使用する作業フォルダにアクセスできなかった場合に発生いたします。
作業フォルダは、メインメニュー「オプション|動作環境の設定」の「作業領域」で設定されているフォルダとなります。
このフォルダが作成されているかをご確認ください。

フォルダが作成されなかった場合、アクセス権限がないためにフォルダを作成できなかった可能性があります。
フォルダのアクセス権限を変更いただくか、作業フォルダをアクセス権限のあるフォルダに変更していただくことをお試しください。

作業フォルダの変更は、上記の「動作環境の設定」の「作業領域」より、「参照」ボタンにてフォルダを選択してください。
 

Q7−3.

作成したモデルを「斜面の安定計算」で読み込むことはできますか。
A7−3. 可能です。
安定計算実行後、安定計算結果確認画面より斜面の安定計算データファイル(拡張子f8m)を保存することができます。
安定計算結果確認画面にて、データファイルを保存する検討ケース、および「貯水池側」または「背後池側」を選択して結果を表示し、「斜面の安定計算データ保存」ボタンを選択することで保存することができます。





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