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土留め弾塑性解析 のトラブルについてのご報告
2000年 7月10日
株式会社フォーラムエイト
サポート窓口 ic@forum8.co.jp
1.はじめに
本製品の弾塑性解析部においてトラブルがあり、ご利用のお客様に多大なご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げると伴に不具合内容についてご報告いたします。

以下@解析部のトラブルの内容、A修正前後の結果の相違、B比較データ(他社プログラム)との結果をまとめ皆様にご報告させて頂きますます。

尚対策版として弊社ホームページ上に既にver1.5.0をダウンロードいただけるように展開しております。
お手数をお掛けいたしますが以下のサイトにて製品をご入手下さい
VIEWER版ダウンロードサイト
差分ファイルダウンロードサイト
また自動更新ツール NetUPDATEを御利用いただけると容易に製品を更新いただけますので此方のご使用をお奨め致します。
2.不具合について
本プログラムの不具合は、「例えば、ある掘削後の状態に対して、次のステップとして、わずかに(10.0cm程度)掘削して、掘削底面付近に支保工を設置した場合、新たに設置した支保工反力は、ほんのわずかであると考えられるにも拘らず、解析結果では相当の反力が発生している。これはおかしいのではないか?」というご指摘から確認されたものです。

(この件に関しては、5.お客様ご提供の結果(他社プログラム)との比較で修正後の結果を報告します。)
3.トラブルの内容とその影響
本来ならば、切ばり(盛替えばり)を設置した時、その位置における土留め壁の変位量、すなわち「先行変位」を考慮し、この時点の切ばり(盛替えばり)反力はゼロでなければなりません。しかしながら、この「先行変位」に関する処理がなされておらず、結果的に、切ばりを設けた時点で、ただちにその切ばりが有効に機能する解析になり、反力を分担(ゼロでない)する結果になっていました。
4.修正前後の結果比較
弊社で提供しているサンプルデータ(sample356SI)の結果について、修正前(Ver1.4.0)と修正後(Ver1.5.0)の比較結果を添付します。( )内の数値が修正前の結果です。(----)は変化なしを意味していますが、解析の根本的な部分のトラブルであるために、修正に伴い、解析結果は、1次掘削時を除き、少なからず変わっています。影響の度合について限定することはできませんが、サンプルデータの反力を見る限り、0.6から1.4倍程度の範囲かと考えられます。
■弾塑性解析結果 最大値一覧
左壁
検討ケース 最大変位 最大モーメント 最大せん断力
変位量
δmax
mm
発生位置
GL
m
モーメント
Mmax
kN・m/m
発生位置
GL
m
せん断力
Smax
kN/m
発生位置
GL
m
1次掘削時
2次掘削時
3次掘削時
4次掘削時
1次解体時
2次解体時
3次解体時
3.14
-7.02
 6.02
 6.19
 6.71
 6.65
 6.65
(----)
(-4.56)
( 5.53 )
( 6.33 )
(10.17)
(12.51)
(14.77)
0.00
 0.00
-7.00
-9.12
-9.12
-9.12
-9.12
(----)
(----)
(----)
(----)
(----)
(----)
(----)
15.6
-53.8
 95.9
-80.4
 83.6
-73.6
-73.5
(----)
(-55.1)
(108.6)
( 93.6)
(-56.5)
( 67.4)
( 67.8)
-3.00
-4.00
-4.00
-9.12
-4.00
-9.12
-9.12
(----)
(----)
(----)
(-7.00)
(----)
(-7.50)
(-7.50)
 13.0
 -49.6
-100.5
-104.6
 -86.2
 -83.8
 -83.8
(----)
(-52.5)
(-109.9)
(-118.8)
(-93.3)
(-98.4)
(-98.6)
-2.00
-1.00
-4.00
-7.00
-4.00
-7.50
-7.50
(----)
(----)
(----)
(----)
(-7.50)
(----)
(----)
右壁
検討ケース 最大変位 最大モーメント 最大せん断力
変位量
δmax
mm
発生位置
GL
m
モーメント
Mmax
kN・m/m
発生位置
GL
m
せん断力
Smax
kN/m
発生位置
GL
m
1次掘削時
2次掘削時
3次掘削時
4次掘削時
1次解体時
2次解体時
3次解体時
-34.36
-32.40
-34.49
-39.20
-40.76
-40.56
-40.57
(----)
(-34.97)
(-35.01)
(-36.73)
(-38.23)
(-39.89)
(-41.28)
0.00
 0.00
-6.00
-8.00
-7.00
-7.50
-7.50
(---)
(---)
(0.00)
(0.00)
(0.00)
(0.00)
(0.00)
-103.1
-103.6
 136.0
 149.3
-142.7
-142.6
-142.6
(----)
(100.0)
(129.6)
(115.2)
(-84.4)
(-101.1)
(-102.3)
-4.00
-7.50
-7.00
-9.00
-13.00
-13.00
-13.00
(----)
(-4.00)
 (-7.00)
(-9.51)
(-7.50)
(-7.50)
(-7.50)
54.4
-82.1
126.4
117.9
111.3
-108.5
-108.5
(----)
(-75.6)
(139.4)
(147.6)
(133.5)
(138.8)
(139.2)
-5.00
-5.50
-4.00
-7.00
-4.00
-11.00
-11.00
(----)
(----)
(----)
(----)
(-7.50)
(-7.50)
(-7.50)
■弾塑性解析結果 支保工反力一覧
左壁(右壁は符号が異なる)
検討ケース 反力:kN/m
支保工
[1] 
支保工
[2]
支保工
[3]
2次掘削時
3次掘削時
4次掘削時
1次解体時
2次解体時
-92.5*
-44.2
-44.4
-37.5
-59.9
(-99.0)
(-32.7)
(-50.2)
(-51.9)
(-67.0)
0.0
-207.4*
-164.5
-198.9
   0.0
0.0
(-234.7)
(-128.2)
(-134.0)
   0.0
0.0
0.0
-187.7*(-256.8)
0.0
0.0
5.お客様 御提供結果(他社)との比較
以下、ご指摘頂いたデータに対する新しい結果です。()内が他社プログラムにおける結果です。弊社側が若干小さめの値になっていますが、ほぼ同等の結果を得ているものと考えられます。

この点については側圧の与え方が若干異なるのではないかと予想しています。なお、当方の計算において、「基本データ」の「計算方法」の「掘削側静止側圧の与え方」を、「掘削後」にしています。
■弾塑性解析結果 最大値一覧
右壁
検討ケース 最大変位 最大モーメント 最大せん断力
変位量
δmax
mm
発生位置
GL
m
モーメント
Mmax
tf・m/m
発生位置
GL
m
せん断力
Smax
tf/m
発生位置
GL
 m
1次掘削時
2次掘削時
3次掘削時
4次掘削時
-22.43
-18.80
-21.03
-20.99
(-22.39)
(-19.38)
(-22.14)
(-22.08)
0.00
-3.00
-6.00
-6.00
(----)
(----)
(----)
(----)
-6.37
 8.00
 9.51
 8.66
(-6.26)
(8.66)
(10.45)
(9.64)
-3.00
-3.00
-7.00
-7.00
(----)
(-3.50)
(-6.50)
(-6.50)
-3.61
6.53
11.49
11.17
(-3.61)
(7.37)
(13.04)
(12.66
-1.50
-1.00
-4.00
-4.00
(-2.00)
(-1.00)
(-4.00)
(-4.00)
■弾塑性解析結果 支保工反力一覧
右壁
検討ケース 反力:tf/m
支保工
[1]
支保工
[2]
支保工
[3]
2次掘削時
3次掘削時
4次掘削時
9.08*
4.18
4.22
(9.36)
(4.24)
(4.29)
0.00
19.83*
19.47)
(----)
(20.54)
(20.10)
0.00
0.00
2.01*
(----)
(----)
(2.28)
注)表中*印は、その支保工の最大反力値を示す。
6.おわりに
今回の不具合に関しましては、ご指摘のように、例えば、本来反力が発生するのはおかしいというような架設ステップを検証しておれば、比較的容易に解析上の問題点を発見できたのではないかと考えられます。

Ver1.5.0をリリースするにあたり、上記のような検証や、ご提供頂いた他社プログラムとの比較などを行いましたが、テストパターンを見直すなど、信頼性回復のために今後も努力してまいりたいと考えています。

 以上、取り急ぎ報告いたします。
大変ご迷惑をおかけし申し訳ありませんが宜しく御対応の程願いいたします。
ご質問はサポート窓口まで御願いいたします。

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