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 誌上セミナー ●情報化講座 (7)
監修 :
田中 成典 教授
関西大学
総合情報学部
Vol.7 SXF最新講座

●SXF(Scadec data eXchange Format)とは

 SCADEC(CADデータ標準開発コンソーシアム)が開発した異なるCADソフト間でデータ交換を行う為のISO国際規格STEP/AP202に準拠した標準仕様で、P21形式(STEPファイル「*.p21」)とSFC形式(フィーチャコメントファイル「*.sfc」)の2つのファイル形式があります。

  ファイル内容 ファイルサイズ 使用
P21 国際規格ISO10303-21
(通称STEP/AP202)に準拠
ISO規格に則って記述する為、
大きい
原則、電子納品時に使用する形式
SFC 図面データとして必要な情報のみを記述 P21形式と比較して、かなり小さい 業務中のデータ交換時に
使用する形式


 また、本仕様には、図面を表現するために必要なデータ(フィーチャ)の目的や意味、使い方、制約などが規定されており、そのフィーチャには以下の4種類があります。

図面情報フィーチャ 図面表題欄
図面構造フィーチャ 用紙、レイヤ、線種、色、線幅、文字フォント
幾何/表記要素フィーチャ 点、線分、文字、円、円弧、楕円、スプラインなど
構造化要素フィーチャ 複合図形、各種寸法線、引出し線、ハッチングなど


●SXFの現状
 SXFの開発は、交換の難易度や用途の複雑さに応じて、以下のようなレベル分けで実施されています。

レベル1 CAD上で図面を表示・再利用するための最低限必要なレベル
レベル2 2次元CAD製図データとして最低限必要なレベル
レベル3 STEP/AP202の製図機能(3次元)を全て満たすレベル
レベル4 STEP/AP202にこだわらず必要な属性情報を取り込むレベル

 現状は、2次元データであるレベル1、レベル2までが実用化されており、実際の電子納品に使用されています。
 なお、レベル2については、Ver.2.0が現在の標準として使用されていますが、以下の2点の実現を目的とした「Ver.3.0」が開発・公開されています。

(1)図面表題欄を中心とした図面管理情報の追加
 国土交通省「CAD製図基準(案)」で定められた図面様式の表題欄への記載事項をサポートするものです。利用例としては、電子納品成果品作成時にソフトウェアにて図面に記載された項目を管理ファイルへ自動記載することなどが挙げられます。
(2)2次元データの再利用を目的とした図形属性情報の追加
 2次元データ再利用の増進を図る為、図形に意味を持たせる「属性付加機能」が追加されました。再利用の例としては、図形の自動生成や自動更新、図面からの自動数量計算や自動面積計算が可能であることなどが挙げられます。

 このVer.3.0ですが、平成18年8月の道路工事完成図等作成要領で、完成平面図のファイル形式は、図面属性情報の付加の利点からSXF Ver.3.0の仕様に準拠するものと明記され、電子納品での運用が始まっています。
 更に、「CAD製図基準(案)平成19年11月【改定素案】」では、下記の追記等が検討されています。
 ・対象のSXFのバージョン及びレベルをSXF Ver.2.0レベル2以上と明確化する
 ・Ver.3.0レベル2以上の機能への対応として、SAFファイル・ラスタファイルの命名規則や格納方法、図面管理ファイルの管理項目について表記する

SAFファイル: SXF Ver.3.0以上で、図形に持たせた属性情報を持つファイル

 その他に、Ver.3.0の機能にクロソイドフィーチャ・弧長寸法フィーチャの追加と属性付加機構の仕様改訂を行った『Ver.3.1』や、「CAD製図基準(案)」や「CAD製図基準に関する運用ガイドライン(案)」との整合性確認を目的としたチェック機能の要件書『SXF表示機能および確認機能要件書(案)』が公開され、正確で円滑なCADデータ交換のための環境整備が進んできています。
 これらの活動はJACIC(財団法人 日本建設情報総合センター)を中心に実施されていますが、その他に、CADデータ交換標準の利用促進やSXFの普及を目的に発足した団体として、『OCF(有限責任中間法人 オープンCADフォーマット評議会)』があります。OCFでは、公平な立場で、CADソフトのSXF仕様への準拠性を検証するOCF検定を実施することで、SXFのより一層の信頼性向上に繋がる活動を実施しています。

●SXFの今後

 現在、SXFレベル2は、Ver.3.1でほぼ成熟した状況にあります。そのため、今後は各レベルにおいて以下の成果が見込まれています。
(1)2次元データ(レベル2)の維持・更新
 SXF運用のための検討及び課題への対応により、更なる普及率向上や2次元データの高度利用促進が期待されます。
(2)3次元データ交換標準(レベル3・4)の検討
 プロダクトモデルの構築及び3次元データの交換標準を検討することにより、両データの利用促進、建設分野での生産性向上が期待されます。当社でも3次元ソリューションにて、プロダクトモデルなどへの対応を検討しています。

●最新の研究事例
 近年の国土地理院の「拡張デジタルマッピング実装規約(案)」、国土交通省の「拡張DM-SXF変換仕様(案)」等の策定により、調査・測量段階で使用されるデジタルマッピング(DM)データファイルと設計・施工段階で使用されるSXF間の相互データ変換が必要となってきました。このデータ変換技術の実現により現状のような業務毎のデータ連携のみでなく、ライフサイクル全体を通してのデータ連携が期待されます。
 本システムとしては、(株)関西総合情報研究所が拡張DMとSXFの高速な相互変換を実現する”Logical Translator”の開発が進められています。


デジタルマッピング(DM): 地形等に関わる地図情報をデジタル形式で測定・作成する作業


参考 :JACIC CALS/EC 
ケンセツ21 CALS/JAPAN 
     

  
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(Up&Coming '08 新春特別号掲載)
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