●VRシステム
VR(Virtual Reality)システムは、コンピュータ、センサー、シミュレータ等により構築した仮想空間で、ユーザが現実の環境(実環境)のような感覚を持って行動し、擬似体験や評価をすることができるシステムです。VRシステムでは、CGが一方向に流れるのではなく、ユーザが空間の中で主体的に行動し、五感の複数の感覚で体感することができます。例えば、ドライブシミュレータの場合、自ら操作することによって移動し、視覚・聴覚・触覚で体感することが可能です。
このようなVRを実現するために必要な要素として、次の3点があげられます。
- ユーザの位置や動作に対する感覚へのフィードバック(sensory feedback)
- ユーザが対象に働きかけ、リアルタイムに反応が返る対話性(interactivity)
- 五感のうちのいくつかに働きかけることで得られる没入感(immersion)
フィードバックと対話性(インタラクティブ性)であれば、
- 自身が空間の中を移動する(働きかける)
- その移動位置に対応して、表示内容や音声が刻々と変化する
- 変化した空間に応じて、さらに移動するなど次のアクションを行う
といった流れとなります。
こうしたVRの活用目的のひとつに、ビジュアリゼーション(visualization)があります。ビジュアリゼーションは、様々な自然現象や社会現象、群集行動や知的活動を式や図を用いてモデル化し現象をコンピュータ上で模擬するシミュレーション(simulation)
に対し、その結果を視覚的に表現します。可視化、可視化情報化、視覚情報化ともいいます。解析結果の数値や図表では理解しにくい事象もVRで表現することにより、臨場感を持って理解できます。
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▲UC-win/Road ステレオ・ドライビングシミュレータ |
●MRとAR
複合現実感(MR:Mixed Reality)は、VR環境と実環境の融合であり、拡張現実感(AR:Augmented
Reality)から拡張VR(AV:Augmented Virtuality)まで広い概念を含みます。ARシステムは、実環境にVR情報を重ねて提示し、仮想物体が実際にそこに存在するかのように見せます。このデバイスにはヘッドマウントディスプレイ(HMD)が多く使用されますが、実環境とVR環境との位置合わせ、時間的遅れの除去、頭部位置姿勢の計測精度が技術的な課題となります。また、携帯電話向けARアプリケーションの分野では、例えば「セカイカメラ」のように実環境と重ねた情報活用が既に一般に普及しつつあります。
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▲現実世界とVR世界の一致例。眼鏡無しで、ジオラマと立体映像の合成表現 |
●ドライブシミュレータ(DS)
シミュレータで模擬対象となる感覚は、視覚、聴覚、前庭感覚、触圧覚となります。このうち、前庭感覚は、平衡感覚や傾き、加速度感などであり、モーションシステムにより動揺を制御します。よく用いられるのは、6自由度モーション装置で、6本のアクチュエータの伸縮により、前後・左右・上下の移動・回転運動を発生させます。また、従来の油圧モーションシステムから、電動モーションシステムが採用されることにより、シミュレータの小型化が実現されています。
FORUM8認定・VRマスター試験開始
VRシミュレーションの実務経験と応用技術を有する技術者を認定。VRについて高度な知識・技能を身につけ、VRエンジニアの指導および業務における問題解決や適切な判断ができるレベルを想定する。VRの高度活用、上級プレゼンテーションができるシニアエンジニア水準。当社が定める経験またはVRエンジニア合格者を対象に筆記試験、実技試験を実施し、合格した者を認定する。
対象セミナー : UC-win/Road Advanced・VRセミナー
次回開催予定 : 2010年 6月 25日(金) 東京 |
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参考文献: 『コンピュータグラフィックス』、CG-ARTS協会(財団法人画像情報教育振興協会) |
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(Up&Coming '10 新緑の号掲載) |
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