「高校生がプライベートで3次元(3D)のデータを扱うことってあまりないと思うのです」。そこでShade3Dを教材に、1)まずCGの概念を理解し、2)Shade3Dの基本的な操作を覚え、3)その基本的な操作を通じてどこまでデザインらしく出来るか、を目指す。とはいえ、CGクリエーターやCGの専門家を育成するのでなく、あくまで「デザインのプロセスの中でCGをコミュニケーションのツールとしていかに有効に使えるようにするか」が同授業のターゲット、と位置づけます。 「数値をカチャカチャ入力してというよりも、割と直感的に操作できるようなところが僕は好きで、Shade3Dをずっと使ってきました」
一方で、最近ではCAD機能も充実してきていることから、「設計に近いことを高精度で行えるようになった」と評価。また、ディスプレイを通した3DCGだけでなく、実物の模型を使っての説明もある方がより効果的なことがあり、そのような場合は、3Dプリンタ出力支援機能を有効に活用しているといいます。
「このSphere 5.2の模型は実際より簡素化されていますが、説明にはこの程度で十分です。Shade3Dを10分程度触ってさっと作り上げ、STL形式に書き出して、そのまま3Dプリンタで出力し、あっという間に出来上がりました」。この他にも、「Shade3D Panorama View」を用いれば、作成したモデルをパノラマ化して関係者と共有し、様々な方向から手軽に検討できる、などとメリットを列挙。その上で、フォーラムエイトのリアルタイム3DVRシミュレーションソフト「UC-win/Road」とShade3Dとの連携も視野に入れた、新たな展開、あるいは安価に使える3Dモデル素材の拡充への期待に触れます。
「かつて産業構造的に分業の方が効率的だった時代はあったと思うのです」。しかし今はそうとも限らなくて、企画者が自ら絵を描き、クライアントへ直接提案すれば大幅な時間短縮が可能で、そのようなアプローチは今後増えていくはず。その意味からも、まずは遊び感覚でCG作成にチャレンジしてみては、と田村さんは説きます。
(執筆:池野隆)
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