「大型コンピュータでパースを作っていた時の機能がPCで出来る。これは使えるなと」
株式会社フジタの設計部門に在籍当時、今日のBIMに通じるソフト開発のプロジェクトに参加。そこで自身がパースを担当していた経緯もあり、それまでの大型コンピュータではなく、PCレベルで使えるアプリケーションがないかと模索。特に、建築の世界では通常、設計の最終段階で完成予想図としてパースが必要とされた中、設計の初期段階から顧客と完成形を事前確認しつつ、自身らもその作り方を検証したい。そのようなターゲットが具体化してきた折、FBM九州支店に異動していた5年前、Shade3Dなら容易にそれらニーズに即したシミュレーションが出来るはず、と確信。そうした背景から社として導入するに至った、とFBM一級建築士事務所西日本設計室の木原利幸室長は振り返ります。
一方、石黒文矢常務取締役は高齢化が進む将来を視野に、FBMとして若い人にアピールできる魅力を作りたいと発想。早期からその3DCGでの実績に注目してきた木原室長らと話し合う中で、Shade3Dをツールとして使いながら3Dでモノを考える、という新しいアプローチの導入が描かれました。
こうした流れを受けて2016年に3D研修会がスタート。以来、初年度からの3年間で初級・中級のクラスに合計53名(うち現在FBM在籍者は44名)が参加。その成果の一端として、1)初年度から研修に参加する現インストラクターの一人、広島支店工事部の澄川瑞穂さんによる放送局の内装改修、学校の和式トイレの洋式化、トイレと食堂の内装改修、2)同じく初年度から参加する大阪営業所工事部の笠原孝秀さんによるスタジオの内・外装改修、建物の外観改修、工場のシャッター取り換え、3)いずれも研修2年目で中級研修に進む本社リニューアル統括部の鈴木さんと首都圏建築部の井上さんによるマンションエントランスの改修(外観が井上さん、内観が鈴木さん)など ― それぞれ研修参加者が実際のプロジェクトで作成し、利用された各種パースを位置づけます。
また、それら参加者からは「Shade3Dの操作性の良さ」もあって「幅広い年齢層の人が使える」「建築の専門知識はないが、研修を通じてパースを描けるようになった」「顧客とのコミュニケーションツールとして役立っている」といった感想を列挙。これに対し石黒常務はこの間の自身の経験も踏まえ、3DCGの活用に当たっては結果を早く求めるのではなく、より長いスパンで捉えながらトライアル・アンド・エラーで取り組んで行くスタンスが重要、との見方を述べます。
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