Engineer's Studio®の平板要素は、プリミティブという最小単位の要素が何個か集まってできた集合体です。1つのプリミティブが有限要素法での1要素に相当します。
ここでは、平板要素の分割数(プリミティブ数)が支点反力の精度に与える影響を比較します。比較対象は、以下のとおりです。
- 1分割 (プリミティブが1個)
- 10×10分割 (プリミティブが100個)
- 20×20分割 (プリミティブが400個)
この中で1分割は精度が悪いだろうと容易に予想できます。やはり、最も分割数の多い20×20分割が精度がよいでしょうか。 |
分割数以外の共通な条件は以下のとおです。
- 構造寸法は、10(m) x 10(m) x 0.5(m)
- 全固定の支点を隅角節点と中間節点に配置
- 材質は、鋼板(SM490)
- 単位体積重量は、77(kN/m3)
- 平板要素の種類は、四角形2次要素
- 荷重は死荷重を表す等分布荷重
- 自重は、10(m) * 10(m) * 0.5(m) * 77(kN/m3) = 3850(kN)
|
隅角節点4つと中間節点4つの鉛直方向支点反力の結果を掲載します。
1分割(プリミティブが1個)
|
(支点反力)
合計=3850 kN |
隅角節点1 |
-321 kN |
中間節点1 |
1283 kN |
隅角節点2 |
-321 kN |
中間節点2 |
1283 kN |
隅角節点3 |
-321 kN |
中間節点3 |
1283 kN |
隅角節点4 |
-321 kN |
中間節点4 |
1283 kN |
|
10×10分割(プリミティブが100個)
|
(支点反力)
合計=3850 kN |
隅角節点1 |
160 kN |
中間節点1 |
803 kN |
隅角節点2 |
160 kN |
中間節点2 |
803 kN |
隅角節点3 |
160 kN |
中間節点3 |
803 kN |
隅角節点4 |
160 kN |
中間節点4 |
803 kN |
|
20×20分割(プリミティブが400個)
|
(支点反力)
合計=3850 kN |
隅角節点1 |
154 kN |
中間節点1 |
808 kN |
隅角節点2 |
154 kN |
中間節点2 |
808 kN |
隅角節点3 |
154 kN |
中間節点3 |
808 kN |
隅角節点4 |
154 kN |
中間節点4 |
808 kN |
|
|
- 反力は、どの分割数においても中間節点が大きく、隅角節点が小さい傾向です。
- 1分割モデルでは、中間節点に過大な反力がでており、それを打ち消すために隅角節点には負の反力が発生しています。
- 精度の落ちる1分割でも、合計反力は他の細分割モデルと同じになっていることは重要です。1要素としては力の釣り合いがとれていると言えます。しかし、1要素内を細かく観察すると負の反力が発生するという問題が露呈しています。
- 10分割と20分割では、差が数パーセントです。支点反力に着目した場合は、10分割でも十分に適切と考えられます。
|
一般に、モデル全体の節点数が増えると計算時間が長くなり、多くの結果が得られて取り扱いに苦労します。精度のよい範囲内で極力節点数を抑えたいところです。しかし、どのような場合にも通用する適切な分割数はありません。上記のように分割数を変えてみて結果が変化しなくなるような領域を把握することが有限要素解析では大切な作業になります。 |
|
(Up&Coming '13 夏の号掲載) |
|
|
>> 製品総合カタログ
>> プレミアム会員サービス
>> ファイナンシャルサポート
|