Multiframeは、3次元骨組構造解析プログラムです。入力断面として、JIS規格の鋼材断面が標準で登録されている他、ユーザ任意の断面を使用する事もできます。計算後、鋼構造設計規準(日本建築学会)に準拠した断面算定を行う事ができます(オプション)。また、Ver.12から平板要素を用いた立体解析をサポートしています。
今回は、Multiframeに関するご質問を紹介いたします。
Q1.
断面剛性の内、軸剛性のみを高めて計算する方法はないでしょうか。またこの時、曲げ剛性や部材の死荷重は元断面のままとしたいのですが可能でしょうか。
A1. 軸剛性
まず、部材軸方向に荷重Pを載荷した時の軸応力と軸ひずみの関係は次式のようになります。
σ:軸応力(N/mm2)
A:断面積(mm2)
σ=Eε(フックの法則)
σ:軸応力(N/mm2)
E:ヤング係数(N/mm2)
ε:ひずみ(mm)
次に軸剛性ですが、図1のように部材軸方向に引張力Pを作用させると部材は変形し、元の長さlから冤だけ伸びたとします。この時のひずみは
の関係となります(次元は無次元)。
|
■図1 軸方向引張力、軸ひずみ、軸応力 |
また、変形をδとすると以下の様な関係となります。
P=kδ
k:軸剛性(バネ定数)(N/mm)
以降、詳細は省きますが上述の式を整理してゆくと最終的に以下の関係が求まります。この関係より、軸剛性はヤング係数と断面積に比例することがわかります。
Multiframe Shape Editorでの操作 |
軸剛性のみを高めるためには、断面積を大きくするとこで対応できる事がわかりましたので、ここでは、断面積を大きくするためにMultiframe Shape
Editorを使う方法をご紹介します。
- Multiframe Shape Editorを起動し、変更元となるセクションを”Custom1”グループに追加します。”形状ウィンドウ”にて「右クリックメニュー|セクション配置」をクリック。適当なセクションとして、“グループ:H”“、”912×302×18×34”を選択して「OK」をクリックします。
- 「形状メニュー|ライブラリーに追加」をクリックします。名前(H900とします)を付けて、“Custom1”グループに保存します。
|
|
■図2 Multiframe Shape Editor 1 |
- 「ウィンドウメニュー|セクション」をクリックします。セクションウィンドウにて“Custom 1”グループタブを開くと、追加したセクション(H900)が確認できます。ここに、「ライブラリメニュー|セクション|セクション追加」をクリックし、“1セクション”追加します。
- “セクションウィンドウ”にて、元セクション(H900)の“名前”、“カスタム形状”以外のセルをコピーして追加したセクションの行に貼り付けます。
- 貼付け後に、“断面積A”のセルのみ、大きな値(今回は1.0E+10)に変更します。
|
■図3 Multiframe Shape Editor 2 |
- セクションライブラリファイルを上書き保存します。
Multiframeモデルでの検証
Multiframe Shape Editor で作成したセクションを使って、Multiframeで簡単な検証を行ってみます。
- モデルは、柱を2本作成し片方に元のセクション“H900”、もう一方に断面積のみを大きくしたセクション“セクション2”を設定します。
- 荷重は、軸方向引張力として100,000kNの節点荷重を与えます。支点条件は柱の下端を“固定”とします。
- 結果は、元のセクションを与えた柱では変位が出ますが、“セクション2”の柱では変位はゼロとなりました。
|
|
■図4 荷重図 |
■図5 変位図 |
その他に、同じモデルで、
- 水平荷重を与えた場合=曲げ変形、曲げモーメントは同じ
- 自重を与えた場合=鉛直反力は同じ
という結果になりました。
※Multiframeでは独立したフレーム構造があると計算実行できないため、柱の下端を仮想の部材でつないでいます。
Multiframeのユーザの方を対象に、有償セミナーを開催しています。1日の講習で、1人1台のパソコンを使用した操作実習形式です。
3次元構造解析セミナー |
Webセミナー対応 |
●開催日 : 2016年4月14日(木)9:30〜16:30
●本会場 : 東京本社 品川インターシティA棟セミナールーム
※TV会議システムにて東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌・金沢 にて同時開催
●参加費: 1名様 \18,000 (税別) |
開発元:Bentley Systems(Formation Design SystemsはBentley Systemsに吸収合併)
■Multiframe Ver.17.05 日本語版 2015年 6月リリース |