今回も前回に引き続きMultiframeの時刻歴応答解析の機能をご紹介させていただきます。今回は減衰の設定方法についてご紹介させていただきます。(※Multiframe
Advancedのみの機能となります。)
1.使用データ
今回使用するデータは、製品添付のサンプルデータより「3dBridge.mfd」を使用します。先にこのデータを開いておきます。(※データは、インストールフォルダ内、“C:\Program Files\Bentley\Offshore\Multiframe CONNECT Edition V21.02J\Section Libraries\Japan\3D Sample Frames”などに保存されています。)
2.固有値解析の実行
「解析メニュー|モーダル解析」をクリックし、「ヤコビ法」、「モード次数=20」その他はデフォルトのまま「OK」をクリックして実行します。
3.固有値解析結果
“結果ウィンドウ“に切り替えて、「固有値振動数」を選択します。固有周期、周波数、刺激係数などが計算結果として確認できます。
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■図2 地震荷重の編集画面 |
4.Rayleigh減衰のα、β
次に、αとβをこの固有値解析結果より算出してみます。まず主要な2つの振動モードを選択する必要があります。今回は、全体座標系X方向の刺激係数に着目し、3次と10次としました。αとβの算出式は以下のようになります。
C]=α[M]+β[K]
α=4π・f1・f2・(h1・f2−h2・f1)/ f2^2−f1^2)
β=(h2・f2 − h1・f1)/{π・(f2^2−f1^2)}
ここに、
[C]:モデル全体の粘性減衰マトリクス
[M]:モデル全体の質量マトリクス
[K]:モデル全体の剛性マトリクス
α:質量マトリクスに乗じる係数 β:剛性マトリクスに乗じる係数
f1、f2:地震応答に影響の大きい2つの固有振動数で、f1<f2。 h1、h2:f1、f2にそれぞれ対応するモード減衰定数(今回は全て“0.03”とします)。
<算出結果>
α=2.138660
β=0.000291
選択するモード次数によっては、αとβが負の値になることがありますが必ず正の値となるようにします。
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■図3 振動数と減衰定数 |
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5.減衰の設定
Rayleigh減衰の設定は、前号でご紹介しました「地震荷重」のところで行います。“荷重ウィンドウ“に切り替えて、「ケースメニュー|荷重条件の追加|地震」を選択します。地震荷重の編集画面が開きますので、Rayleigh減衰のα、βの係数に今回の値を入力します。
6.計算実行
「解析メニュー|時刻歴。。」より、質量行列:分散質量、解析種類:3D解析として計算を実行します。
7.結果確認
プロットウィンドウにて、「表示メニュー|変形」を選択します。次に、「時間メニュー|時刻歴」より、任意のステップを選択しOKをクリックします(図ではステップ300)。
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■図5 結果確認1 |
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■図6 結果ウィンドウ(α,β:任意設定) |
■図7 結果ウィンドウ(α,β:0) |
α、β=0の場合は、減衰が効きませんので動的解析を行うと振動し続けますが、任意設定をすることにより減衰が効き、振動が小さくなっていきます。
■Multiframe 21.02 日本語版 2017年リリース
■開発元:Bentley Systems(Formation Design SystemsはBentley Systemsに吸収合併) |