船舶設計過程における構造解析は、鋼もしくはアルミ製船舶の持つ構造性能の評価やクラス協会準拠の有無、さらに重量強度比の最適化を実現する上で非常に重要な作業ですが、Maxsurfスイートに含まれるMultiframeは、梁および面要素の素早い解析を可能にするモジュールで、より精度が高く長い時間を要する有限要素法の前段階の簡易分析を可能にしています。
Multiframeの応用例
Maxsurf Modelerにより定義された構造部材をMultiframeに直接取り込むことができます。
図1 Maxsurf Modelerにて作成した構造部材
現バージョン(Ver.22)のModelerからは、オープニング付きフレーム、オープニング付きデッキ、ストリンガー経路、ロンジガーダーのみがエクスポートされます。また、Multiframeのプレート属性(材質)とストリンガーセクション断面は、Multiframe内で定義する必要があります。
船体の縦強度は、船体への荷重分布と流体からの浮力分布の関係から船体にモーメントが作用し、船体の任意のセクションに応力が生ずるときの分析です。
この場合、船体を一部材と見なせば、縦強度計算により求められたモーメント力をその部材セクションに作用させ、部材の応力度が求まります。
Maxsurfには、Multiframeの解析で必要な部材の断面性能を計算するためのモジュール、Shape Editorがあり、このプログラムにより新たな断面形状を定義し断面性能を求めることができます。
例えば、下図のような箱型形状をした浮体断面があるとして、CADで描かれたデータを、Shape Editorで取り込むことができます。
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図2 浮体の断面形状 |
図3 Shape Editorに取り込み、断面性能を計算したところ |
この断面を持つ船体にモーメントが作用した場合の応力をもとめるには、Multiframeを使います。
例えば、単純な片持ち梁として拘束条件を与え、自重や点荷重もしくは分布荷重を与えて、一部材に置き換えられた船体の応力度を求めます。
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図4 Multiframeによる船体の強度分析 |
図5 解析結果(モーメント応力度)の色表示 |
このように、船体を任意の断面を持つ均一の部材に置き換えることにより、初期的な縦強度の素早い検証を行なうことが可能です。これは、Maxsurf
ModelerとMultiframeが持つ多くの機能のほんの一例に過ぎません。