「矢板式係船岸の設計計算 Ver.5」では、以下の機能を追加しました。
- 災害復旧工事の設計要領(平成27年)における控え工の計算に対応(控え工型式:控え直杭、控え組杭、控え矢板)
- 道路橋示方書・同解説 W下部構造編における横方向地盤反力係数の算出に対応
- 検討ケース毎の水位設定に対応
- 海底面下10.0m区間の粘性土層における地震時主働土圧の補正に対応
- 3Dアノテーションに対応
災害復旧工事の設計要領(以下、災害基準)を参考にした設計におきまして、当該書籍に控え工に関する記述が見当たらず、長らく控え工を含む設計に対応していませんでしたが、ユーザ様からのご要望により、この度対応いたしました。
ところで、当該書籍に控え工に関する記述が見当たらないにもかかわらず、どのようにして控え工の計算に対応したのか不思議に思われたユーザ様もいらっしゃったのではないでしょうか。
本製品におきましては、『港湾の施設の技術上の基準・同解説』(以下、港湾基準)と『漁港・漁場の施設の設計の手引き』(以下、漁港基準)から控え工の計算理論を選択して設計ができるようにいたしました。
構造タイプ
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形式
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断面種類
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港湾
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漁港
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災害復旧
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普通矢板式係船岸
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前面矢板壁
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鋼矢板、鋼管矢板
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○
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○
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○
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控え直杭
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H形鋼、鋼管杭
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控え矢板
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鋼矢板、鋼管矢板
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控え組杭
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H形鋼、鋼管杭
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控え版
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×
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×
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×
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×
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自立矢板式係船岸
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前面矢板壁
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鋼矢板、鋼管矢板
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○
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○
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○
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港湾基準、漁港基準、災害復旧基準の横方向地盤反力係数の算出には、既に対応していましたが、ユーザ様からのご要望により、道示Wの方法におきましても対応いたしました。これまで手計算によりお手間を取らせていましたが、これまでの平均N値に加え、換算載荷幅BHを入力していただくだけで、自動で算出されるようにいたしました。
永続状態(常時)、変動状態(地震時)、変動状態(引き波時)におきまして、それぞれの計算時に異なる水位を設定することができるようになりました。変動状態(牽引時)は、永続状態(常時)の条件で牽引した場合の計算となりますので、永続状態(常時)と共通の入力となります。
海底面下10.0m区間の粘性土層における地震時主働土圧の補正に対応
本製品は、港湾基準P.337および漁港基準P.113に従って海底面下10.0m以下における粘性土層の震度を0として各粘性土層の震度を直線補正し、土圧を求めることができます。その際、各粘性土層の下面における土圧が、海底面の土圧よりも小さい場合、海底面の土圧に補正する必要があります。
しかしながら、『港湾構造物設計事例集 平成30年改訂版』の計算例では、各粘性土層の上面と下面の土圧を比較し、下面の土圧が小さい場合、上面の土圧に補正するようになっています。さらに、実務で『港湾構造物設計事例集 平成30年改訂版』の計算例のように設計を行っている旨のご意見を頂戴いたしました。
そこで、本製品では、土圧を比較する位置を下記の3パターンから選択できるようにいたしました。
図1 粘性土層における地震時主働土圧の補正についての説明図
弊社では、CIM(Construction Information Modeling/Management)を推進しており、UC-1シリーズの各ソフトウェアにおいて、CIMモデルに構造特性(寸法・注記、数量等)やモデル管理情報を加えた「3DAモデル(3D Annotated Model)」を表示・出力できるように開発を進めています。
本製品におきましても、Ver.5にて3Dアノテーションに対応いたしました。矢板壁や控え工に関する寸法を表示しています。