Ver.2では、次の機能追加を行いました。
- 多層地盤への対応
- 応答変位法による地震時検討対応(断面方向)
以下に、この機能の概要を紹介します。
盛土は単層で構成されているケースのみを対象としておりましたが、複数層で構成されるケースに対応いたしました。鉛直土圧および水平土圧の算出において多層地盤を考慮して検討を行います。Ver.1では、複数層のケースを検討する場合は、任意死荷重により実際の土圧強度との差分を入力していただき、複数層の場合と等価な荷重状態を作成していただく必要がありました。多層地盤への対応により、層ごとに層厚および土の単位重量(湿潤、飽和)を入力していただくことで内部計算により土圧を算出することが可能となり、任意死荷重での設定が不要となります。
従来は常時のみの検討としておりましたが、断面方向の地震時の検討に対応いたしました。
地震時の検討は、「下水道施設の耐震対策指針と解説−2014年版−社団法人日本下水道協会」および「下水道施設耐震計算例−管路施設編 前編−2015年版 (社)日本下水道協会」を参照し、応答変位法により地震荷重を算出します。地震時の荷重としては、水平変位振幅荷重、周面せん断力、躯体慣性力を考慮します。これらの荷重とは別に別途算出された荷重を任意地震荷重(レベル1、レベル2)として設定することも可能としています。なお、設定可能な地震荷重は鉛直方向、水平方向の荷重のみとなります。
これらの地震時の荷重と常時の荷重(自重、土圧)を組み合わせフレーム計算により地震時の断面力を算出します。算出した断面力を用いて、レベル1地震時は許容応力度法、レベル2地震時は限界状態設計法による照査を行います。
アーチカルバートは上部がアーチ形状、下部が矩形となっており、アーチ部については円形の「差し込み継ぎ手管きょの耐震設計」、下部は「矩形きょの耐震設計」を参照しています。円形(アーチ部)と矩形(脚部)では「地盤反力係数」および荷重(水平変位振幅荷重、周面せん断力)の載荷方法に相違があります。その中から例として「地盤反力係数」について相違を示します。
アーチ部
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脚部
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kr:部材鉛直方向の地盤反力係数(kN/m3)
R:アーチ部の図心半径(m)
ks:部材軸方向の地盤反力係数(kN/m3)
ED:表層地盤の動的変形係数(kN/m2)
νD:表層地盤の動的ポアソン比
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kH:水平方向地盤ばね定数 (kN/m3)
kV:鉛直方向地盤ばね定数 (kN/m3)
kSS:水平方向せん断ばね定数 (kN/m3)
kSB:鉛直方向せん断ばね定数 (kN/m3)
ED:表層地盤の動的変形係数(kN/m2)
νD:表層地盤の動的ポアソン比
Hw:部材高さ(m) (脚部高さ)
Bw:部材幅(m)
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