港湾スイート
『港湾の施設の技術上の基準・同解説』(以下、「港湾基準」)が平成30年に改訂され、港湾スイートの「UC-1 Engineer's
Suite 矢板式係船岸の設計計算」では、それに伴う改訂を行いました。今回は、刷新された部分係数法と、港湾スイートの各製品における影響についてご紹介いたします。
部分係数法の刷新
平成19年の港湾基準で、信頼性設計法に全面的に移行し「材料係数アプローチによる部分係数法」を用いた手法に改訂されました。しかしながら、「材料係数アプローチによる部分係数法」では、設計における不確実性を、多くの構造物の設計で個々の不確実性要因の積み上げとして説明することが殆ど不可能であるとして、平成30年の港湾基準では、「荷重抵抗係数アプローチによる部分係数法」が採用されました。照査式は、下式の通りです。
・「材料係数アプローチによる部分係数法」
ここに、
γri:抵抗側の基本変数である特性値xrkiに乗じる部分係数
γsi:荷重側の基本変数である特性値xskiに乗じる部分係数
R :抵抗値
S :荷重値
・「荷重抵抗係数アプローチによる部分係数法」
ここに、
Sd:応答値の設計用値(荷重項)
Rd:限界値の設計用値(抵抗項)
γi:構造物係数
m :調整係数
γS :荷重項に乗じる部分係数
γR :抵抗項に乗じる部分係数
上記の通り、荷重抵抗係数アプローチは、材料係数アプローチと比較して、従来から実務者が慣れ親しんできた安全率法、または許容応力度法の照査形式に近く、導入に際して違和感を与えにくいと考えられます。また、部分係数を掛ける回数が少なくなるため、業務にかかるコストの削減が期待できます。この荷重抵抗係数アプローチによる部分係数の例としまして、矢板壁の応力度照査用部分係数は、表1の通りです。
照査対象 |
抗項に乗じる部分係数γR |
荷重項に乗じる部分係数γS |
調整係数m |
永続状態 |
0.84 |
1.18 |
1.00 |
L1変動状態 |
1.00 |
1.00 |
1.20 |
表1 荷重抵抗係数アプローチによる矢板壁の応力度照査用部分係数
図1 (平成 30 年の港湾基準における)部分係数の入力画面
港湾スイートの各製品における影響
港湾スイートは、4製品から構成されています。
- 「UC-1 Engineer's Suite 矢板式係船岸の設計計算」
- 「UC-1 Engineer's Suite 重力式係船岸の設計計算」
- 「UC-1 Engineer';s Suite 防潮堤・護岸の設計計算」
- 「UC-1 Engineer's Suite 直杭式横桟橋の設計計算」
いずれも港湾基準に準拠しているため、2〜4の製品についても「荷重抵抗係数アプローチによる部分係数法」への対応が必要となります。順次、対応してまいります。
3Dアノテーション対応
今回「UC-1 Engineer's Suite矢板式係船岸 Ver.5」で3Dアノテーション対応を行いました。Suite版でもCIM推進のため順次3Dアノテーション対応を進めております。
図2 矢板式係船岸の設計計算 3D アノテーションの表示例
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