Ver.14の改定内容
「柔構造樋門の設計・3D配筋Ver.14」では、主に「河川構造物の耐震性能照査指針 令和2年2月」(以下、新指針)への対応を行いました。
ここでは、Ver.14の新指針への対応について、概要を紹介いたします。
新指針への対応概要
新指針「1.総則」の解説では、平成24年版の道路橋示方書(以下、H24道示)を参考とすることが記載されています。従来の「河川構造物の耐震性能照査指針 平成24年2月」は、平成14年版の道路橋示方書(以下、H14道示)を参考としており、Ver.13以前はこれに従っています。これを踏まえて、新指針への対応を以下の仕様としました。
・門柱のレベル2地震動照査について
門柱の基本条件画面のレベル2地震動照査の選択に、新指針・旧指針の選択を設けました。旧指針を選択した場合、設計水平震度も含めて、従来の方法で計算を行います。
新指針では、「6.5.1門柱・堰柱の照査」に許容塑性率の算出式(解6.5.5)が記載されています。この式は、H14道示Xの許容塑性率の算出式(10.8.3)と同じです。また、この式で使用される終局変位δuはH14道示で規定されたもので、H24道示の限界状態変位δlsとは異なります。
Ver.14で新指針に沿った設計計算を行う場合は、新指針の許容塑性率算出式を用います。この式で使用するδu、δyは、H14道示Xに従って算出される終局変位、降伏変位としています。
安全率αは、新指針で示された値を使用します。
区分 |
河川構造物の耐震性能照査指針 |
令和2年2月 |
平成24年2月 |
地域区分 |
H24道示 |
H14道示 |
設計水平震度 |
塑性ヒンジ長 |
H14道示 |
コンクリートの応力度
-ひずみ曲線 |
レベル2-1 |
レベル2-2 |
終局変位 |
許容塑性率 |
H14道示
(安全係数が異なる) |
H14道示 |
・本体縦方向のレベル2地震動照査について
新指針の「6.5.4 函渠の照査」では、従来通り、曲げモーメント及びせん断力が、終局曲げモーメント及びせん断耐力以下であることを照査することが記載されています。このため、函体のレベル2地震動照査については、今回の改定の影響はありません。
・杭支持の照査について
H24道示の杭基礎の照査は、一部、H14道示と異なります。このため、本体縦方向の杭支持モデルの基本条件画面に「河川構造物の耐震性能照査指針」の選択を追加しました。「令和2年2月」を選択した場合は、H24道示に沿った杭基礎の照査を行います。「平成24年2月」を選択した場合は、H14道示に沿った照査を行います。
・その他の照査について
許容応力度法照査に関しては、H24道示、H14道示に違いはありませんので、本体縦方向、横方向、門柱、胸壁、翼壁の常時・レベル1地震動照査に変更はありません。
また、H24道示では、鉄筋材質SD390、SD490の適用が可能となっていますが、以下の理由によりVer.14では対応していません。
−新指針の「5.3耐震性能1に対する水門・樋門及び堰の限界状態」で「許容応力度の値は、国土交通省河川砂防技術基準・設計編(令和元年7月部分改定)に従うものとする。」と記述されていますが、河川砂防技術基準にSD390、SD490の規定がないこと、
−門柱のレベル2地震動照査では、H14道示に準拠したδuを使い、SD490の検証実験を元に規定されたδlsを使用しないこと