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現在開発中の「GeoFEAS 2D Ver2.0」について紹介致します。本バージョンにて、平成19年河川構造物の耐震性能照査指針(案)に正式対応となります。
●耐震性能照査の背景
現在の長大な堤防の多くは、古くから逐次強化を重ねてきた歴史的な構造物であり、堤防の延長や断面の確保は比較的よく整備がなされています。しかしながら、その構造は被災などの経験によって培われたものであり、構造物の破壊過程を解析的に検討して設計されているものではありません。現在、治水対策の進捗に伴い、氾濫原における人口や資産の集積が顕著化し、堤防の安全性の確保が非常に重要になってきています。そのような背景より、本指針では工学的に体系化された堤防の設計法が求められているとして、現時点における堤防設計の考え方を提示したと記されています。
●耐震性能照査指針共通編の概要
共通編では、河川構造物の耐震性能照査に必要な地震動の設定や耐震性能照査方法について記載しています。耐震性能照査方法として、動的照査法と静的照査法に大別されるとしていますが、動的照査法は、一般的に地震時の現象を精密にモデル化し、詳細な入力データ及び高度な技術的な判断を要するとして、本指針では、現象を簡略化して、比較的簡易に実施できる静的照査法を前提としています。動的照査法と静的照査法を整理すると表1のようになります。参考までに、UWLは、当社の地盤解析シリーズの1製品である「地盤の動的有効応力解析(UWLC)」の解析コードとして組み込まれています。
▼表1 動的照査法と静的照査法について
有効応力に基づく動的有限要素法 |
LIQCA |
有効応力の基づく弾塑性理論による方法。地震時の過剰間隙水圧の発生、剛性の低下を考慮し、地盤の変形を時刻歴で計算できる。地盤の透水現象も考慮されている。 |
FLIP |
任意方向の単純せん断を仮想した、せん断応力とせん断ひずみ関係のモデルに、過剰間隙水圧の発生モデルを組合せた方法。地震時の過剰間隙水圧の発生、地盤の変形を時刻歴で計算できる。 |
UWL |
有効応力の基づく弾塑性理論による方法。地震時の過剰間隙水圧の発生、剛性の低下を考慮し、地盤の変形を時刻歴で計算できる。地盤の透水現象も考慮されている。 |
静的有限要素法による自重沈下解析 |
ALID |
液状化に伴って生じる流動を、液状化後にゆっくり生じる現象と想定し、線形の静的な有限要素法により評価する方法。液状化の剛性の低下は、液状化判定法(FL法)等により評価できる。 |
エネルギー原理に基づく永久変形解析 |
東畑モデル |
最小エネルギー原理に基づき液状化後の自重による変位量を計算する方法。液状化層を粘性流体とし、非液状化層を横方向の変形に抵抗する弾性体としている。 |
また、共通編の中で、「液状化が生じる土層の扱い」として、初期有効拘束圧に対するせん断剛性の比とFL(液状化に対する抵抗率)及びRL(繰返し三軸強度比)の関係が図示されています。これは、液状化した土に関しては、せん断ひずみが大きくなるとせん断剛性が急激に回復するという、下に凸なバイリニアモデルで表現できるとしています(耐震指針、図-解6.3.1参照)。GeoFEAS
2Dの大きなバージョンアップの内容として、この新しい構成則の導入が挙げられます。
●耐震性能照査指針堤防編の概要
堤防の耐震性能照査における地震動としては、厳しい結果を与えると考えられるレベル2地震動を考慮すればよいことになっています。「基礎地盤の変形解析」にGeoFEAS
2Dを用いることになります。
砂質土層の液状化の判定は共通編6.2の規定により行うものとし、液状化が生じると判定された砂質土層(以下「液状化層」)については、前述の通りですが、液状化層の上部に液状化が生じると判定されなかった土層(以下「表層非液状化層」)が存在する場合には、表層液状化層についても土層の物性の変化を適切に考慮する必要があることに注意が必要となります。
堤防については、液状化に伴う土層の物性の変化を考慮し、堤防の変形を静的に算定できる方法を用いて、地震後の堤防高が共通編2.2に規定する耐震性能の照査において考慮する外水位を下回らないことを照査する必要があります。液状化に伴う堤防の変形を簡便かつ精度よく静的に算定する方法としては、液状化の発生により土層の剛性低下を仮定するとともに、土構造物として自重を作用させ、その変形を有限要素法により算定する方法(有限要素法を用いた自重変形解析法)、並びに、液状化した土層をせん断抵抗しない粘性流体と仮定し、地盤の流体的な変形を算定する方法(流体力学に基づく永久変形解析法)等を用いることができるとしていますが、GeoFEAS
2Dでは、前者の方法に対応することになります。
●GeoFEAS 2Dの耐震性能照査指針対応内容
基礎地盤の変形解析部分を詳しく示したものが、図1になります。有限要素法を用いた自重変形解析では、(1)地震前(液状化前)の変形解析、(2)地震後(液状化時)の変形解析を行います。両者の差分が、液状化による変位量ということになります。また、この解析方法では、(3)液状化層の体積圧縮に伴う沈下量(変形解析)については考慮されないため、それを別途算定し、合算することで、堤防全体の変位量を求めることができます。よって、GeoFEAS
2Dにおいても、上記の(1)〜(3)の3ケースについて解析を行うことになります。図2に自重変形解析結果の変形図(Post表示図)を示します。
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▲図1 自重変形解析の照査フロー |
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▲図2 変形図 (Post表示) |
●GeoFEAS 2Dの改善内容
上記の耐震性能照査機能に加え、Ver.2では、特に、ご要望が多いPost処理の機能強化を行っています。主な項目として、
(1)任意の要素のみを結果表示する。
(2) 軸力などの断面力表示向きを編集する。
(3)数値出力で、節点(または要素)を複数同時に選択できる。
(4)強制変位荷重を表示する。
などに対応する予定です。図3に(1)のイメージ図を示します。 |
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図3 変形図(Post表示) |
●今後の予定
現在、GeoFEAS 2DVer.2の解析機能を、当社「柔構造樋門樋管の設計」と連携して、レベル2地震動の照査が、一連の処理で行えるように、開発計画を検討しています。
■弾塑性地盤解析(GeoFEAS) 2D リリース予定日:2008年10月 |
(Up&Coming '08 晩秋の号掲載) |
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