河川構造物の耐震性能照査指針 |
河川構造物の耐震設計は、従来、建設省河川砂防技術基準(案)同解説・設計編に基づいて実施されていました。平成7年兵庫県南部地震を契機として、河川構造物の耐震点検・対策が進められ、耐震性の向上が図られています。
平成19年3月に耐震性能照査指針が公表され、河川構造物の耐震設計手法が大きく変わっております。この概要を紹介します。
■河川構造物の耐震性能照査指針の概要
中央防災会議において東海地震や東南海・南海地震等の大規模地震に関する新たな検討結果が公表され、「土木構造物の耐震設計ガイドライン(案)」や「土木・建築にかかる設計の基本」では、設計地震動や耐震性能照査方法等の新たな知見が示されています。
このような背景を踏まえ、従来からの設計震度相当の地震動に加え、将来的に考えられる最大級の強さを持つ地震動に対する耐震性能照査が、規定されています。震度法による従来設計法は構造物が弾性範囲内にとどまり、損傷の発生を全く認めないことを前提としますが、レベル2地震動ではある程度の損傷を許容する方が合理的であると考えられ、一定の損傷の発生を許容しています。
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▲図-1 河川構造物の耐震対策経緯フロー |
河川構造物の耐震性能照査指針(案)・同解説(平成19年3月)は、下記の内容となっています。
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I .共通編 |
耐震性能の照査の基本方針・荷重等の各編に共通する事項 |
II .堤防編 |
盛土による堤防の耐震性能の照査 |
III.自立式構造の特殊堤編 |
自立式構造の特殊堤の耐震性能の照査 |
IV.水門・樋門及び堰編 |
水門・樋門及び堰の耐震性能の照査 |
V.揚排水機場編 |
揚排水機場の耐震性能の照査 |
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■門柱方向の照査手法
地震時保有水平耐力法は、変形性能・エネルギー吸収を考慮して静的に耐震性能の照査を行う方法であります。これは、レベル2地震動のような大規模地震に対して損傷を全く許容しないのは不合理であり、所定の性能を満足する範囲で損傷を許容するという考え方に基づいています。
■柔構造樋門の縦方向における照査手法
柔構造樋門の縦断方向における照査内容は、「函渠縦断方向の変位を静的に算定し、原則として函体に生じる曲げモーメントおよびせん断力が、それぞれ、終局曲げモーメントおよびせん断耐力以下であるとともに、継手を有する場合には継手の変位が許容変位以下であることを照査する」となっております。具体的には、液状化判定を行い、基礎地盤における有限要素法を用いた自重変形解析と液状化層の体積圧縮に伴う沈下量を算定します。その沈下量を用いて、弾塑性床上の梁解析を行うこととなります。
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▲図-2 縦断方向における設計フロー |
■UC-1製品の適用性
河川構造物の設計は、「柔構造樋門設計の手引き(平成10年11月)(財)国土技術研究センター」を主たる適用基準とした柔構造樋門本体の縦方向・門柱・胸壁・翼壁・しゃ水工の計算を支援する「柔構造樋門の設計Ver.3」にて計算可能です。
耐震設計において、水門・堰における設計では「柔構造樋門の設計Ver.3」を使用し、樋門の縦断方向では、地盤解析ソフトである「GeoFEAS(2D)Ver.2」と3次元骨組解析ソフトである「FRAME(3D)Ver.3」および「柔構造樋門の設計Ver.3」を組み合わせることで計算が行えます。
現在、「柔構造樋門の設計」と「GeoFEAS(2D)」を連動し、計算を行うよう計画中です。
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▲図-3 柔構造樋門入力画面 |
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▲図-4 GeoFEAS(2D)のFL分布図 |
■参考文献
・河川構造物の耐震性能照査指針(案)・同解説 平成19年3月、国土交通省河川局治水課
・地震時保有水平耐力法に基づく水門・堰の耐震性能照査に関する計算例 平成20年3月、土木研究所資料 |
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(Up&Coming '09 新春特別号掲載) |
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