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●はじめに
鉄筋コンクリート構造物の設計段階における配筋状態をコンピュータ上で3次元表示する「3次元配筋図ビューワ」を以下に紹介します。
3次元配筋図ビューワは、OpenGLの能力を最大限に活用し、構造物の躯体中に鉄筋を実際の太さで数千本〜数万本を描画して、コンピュータ上で容易に確認できる機能を備えた新しい設計支援ツールです。鉄筋を実際の径にて構造物中に配置することで、鉄筋のあきや干渉等が細部にわたって目視確認できるので、施工段階における問題点を未然に防ぐことが可能です。
利用場面としては、従来の2次元図面だけでは配筋図チェックが困難と思われる場面において、3次元配筋図をコンピュータ画面上に表示し、設計者が容易にチェックできる設計支援ツールです。すべての鉄筋(主鉄筋、用心鉄筋、配力鉄筋、組立鉄筋、等々)を描画し、きちんと配置されているか、きちんと施工できるかどうかの照査に利用可能です。
●主な機能と特長
- UC-1CAD統合版製品(図面作成機能付き製品)から3次元配筋情報を受け取り、躯体形状および配筋状態を自動的に3次元表示します。
- マウス操作による拡大・縮小、並行移動、回転移動ができます。
- 任意箇所を詳細に目視確認することが可能です。
- 特に、狭隘部の鉄筋が混雑集中する部分を拡大表示し、設計段階において施工上の問題点をチェックすることが可能です。
- 躯体の塗りつぶし表示、テクスチャ表示、ワイヤーフレーム表示が可能です。
- 寸法線、座標軸の表示が可能です。寸法線数値は3D回転を行っても常に正面を向きます。
- 鉄筋の色設定が可能で、主鉄筋、配力筋、組立筋などを色付けし、識別可能としています。
- 描画領域の背景色を変更可能です。
- 各種の設定状況(鉄筋の色設定、視点位置・視野方向、画面の拡大縮小、等々)を保存することが可能で、次回起動時に前回表示状態から再現可能です。
- 鉄筋の曲がり部、フック部などの円弧部についても、3次元表示しています。
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▲フーチング部の配筋(全体図) |
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▲テーパー部の配筋 |
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▲フーチング内部の配筋 |
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▲鉄筋の曲がり部、フック部の開発 |
●OpenGLの描画能力
3次元配筋図ビューワを開発する上で注意を要した点は、鉄筋を実際の太さで数千本〜数万本描く必要があるため、このときのパフォーマンスが極端に低下しないかどうかを事前チェックすることが必要でした。具体的には、OpenGL上で鉄筋を5万本を描いてみて、描画時間が問題にならないか、拡大・縮小、並行・回転移動がスムーズに動作するかどうかを確認致しました。
●フォーラムエイト製品への展開
UC-1CAD統合版製品シリーズ(図面作成機能付き製品)への導入を順次予定しており、例えば、「橋脚の設計」、「橋台の設計」等のCAD統合版製品に3次元配筋図ビューワが組み込まれます。
●将来の機能追加
かぶりチェック、干渉チェックの機能追加を検討します。例えば、チェックの結果、所定のあきを満たさない、あるいは、鉄筋どうしが衝突している等の箇所を赤丸で強調表示し、問題箇所を抽出する機能を予定します。
鉄筋以外のPCシース管、鋼板巻き立て、炭素繊維巻き立てなどの材料についても3次元表示を検討します。
UC-win/Roadにおいて3次元配筋図をVR表現し、施工段階シミュレーションへの活用を検討します。
■UC-win/Road 3D配筋図ビューワ ライブラリ リリース予定日:2009年6月末 |
(Up&Coming '09 盛夏の号掲載) |
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