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「3D・VRクラウド」が経済産業省の研究開発事業に採択!!


平成22年 9月 21日、経済産業省商務情報政策局情報処理振興課の「平成22年度産業技術研究開発委託費(次世代高信頼・省エネ型IT基盤技術開発事業)」の委託先について、フォーラムエイトが応募した「クラウドコンピューティングによる合意形成支援仮想3次元空間の利用サービス」が、産業技術研究開発事業として採択されました。ここではその提案と開発方針の概要について紹介します。
経産省ホームページ ● http://www.meti.go.jp/

 提案の概要

 弊社で既に10年以上の開発実績があるVR技術を、ネットワークを介してオンデマンドで提供し、従来は高機能PCを用いて限られた環境で利用されていたVRデータを、一般的なPCやスマートフォンなどを用いた通常のインターネット環境で、インタラクティブに参照・体感できる参加型システムを構築することを提案しました。
 また、この提案の目的としては、都市計画などのVRによる都市プロジェクト全般において、パソコンの性能や場所を問わず、合意形成支援ツールとして利活用できるサービスの提供を目指すものとしました(図1 参照)。

▲図1 参加型社会環境の改善

 本事業では、平成22年度末までに基盤技術の整備を完了し、次年度にサービス運用を開始するとともに、他アプリケーションやサービスとの連携によるサービスの拡張、コンテンツの拡張を行う予定です。
 なお、本提案の経産省による採択については、10月20日付の建通新聞でも記事として取り上げられています。


 開発の概要

■ 1. UC-win/Road for SaaSの開発
 3D・VRソフトウェアUC-win/Roadのプレゼン機能を、ネットワークを介してインタラクティブに操作・体感可能とするための、クラウドサーバで稼働するソフトウェアの開発を行います。SaaS環境に一部対応した初期版としてUC-win/Road for SaaSも開発されていますが、クラスタ環境への対応や動画転送の最適化については拡張開発が必要です。このため本事業では、UC-win/Road for SaaSのサーバクラスタ環境への対応と動画像転送機能最適化の開発を行い、クライアントユーザがストレスなくサービスを利用可能とすることを目指します。

■ 2. クラウド基盤の開発
 主にクラウド基盤の制御に関わる部分の開発を行います。また、機能性の面においては管理ツール、ユーザ数の増加に対応可能なサーバーファーム、VR空間の共有に必要なクラスタ環境およびストレージシステムとの連携について開発を行います。
 ここでは、同時ユーザ数の検証とキャパシティ拡張のための開発についても対象としています。信頼性・安全性の面では、基本的な安定性を確保し、フェールセーフ処理の開発を行います。柔軟性の面では、1台から数十台のサーバマシンを効率的に設定可能な機能の開発を目指します。
 さらに、省エネの面においてはサーバマシンのCPU・GPU使用率の最適化に関する開発を行います。

■ 3. 3D・VRコンテンツ伝送技術に関する開発
 UC-win/Road で生成されるVRコンテンツをネットワーク環境に適した形式に最適化し、クライアントの要望に合致した精度および速度で3次元VR空間を体感するための伝送技術を開発します。本事業では、相互運用におけるローコストな開発・保守という点で、多くのクライアントプラットフォームに対応可能なものとするため、動画像転送技術を採用することとし、その最適化に関する技術開発を行います。現状ではFlash対応H263形式にネイティブ対応したUC-win/Road for SaaSの初期バージョンが存在しますが、HTML5、H264圧縮などの調査と連携開発も実施します。
 この動画像データの圧縮技術やサーバ側の並列処理などの技術を用いて、これまでの伝送速度の3〜4倍の性能を達成することを目標としています。

■ 4. 仮想3次元空間クラウド共有システムを用いた合意形成手法の開発・検証
 本サービスの利用による効果的なコミュニケーション方法を研究開発すると共に、今後期待されるサービスと効果を社会実験などにより検証します。具体的には、3次元空間と連携したブログやアンケートシステムの開発、色彩輝度分布計による伝送後の画像劣化の検証、アイマークレコーダによるユーザインタフェースの最適化などを予定しています。なお、この項目については、大阪大学大学院工学研究科の福田知弘准教授の協力のもと、同大学との共同開発研究を行うこととします。


 平成23年度実施事業(サービスの普及方策)

 平成22年度事業により構築されたサービスは、次年度の初期に本格運用を開始し、以下の施策によりサービスの普及と利用拡大を図ります(図2 参照)。
▲図2 普及方策


■ 1. 既存サービスから本サービスへの移行及び利用拡大促進のための施策
 現状のVRデータサービスでは、高価なハイエンドPCやユーザが現地へ出向くことが必要とされますが、クラウド化により大幅な効率化・省エネ化と参加ユーザの拡大が見込めます。このため、既存のサービス利用者がサービス利用回数を増加させる可能性が高いと考えられます。普及施策としては、既存サービス利用者に対し新しいVRデータ利用法として本サービスを提案することで、既存サービス拡大を見込みます。

■ 2. 本サービス新規利用ユーザ獲得のための施策
 現行のVRサービスでは、ハイエンドなPC、説明場所・時間の確保が障壁となり、導入を見送る場合も多くなっています。通常VRを用いた説明には、ハイエンドなノートPCやプロジェクタなどの投影装置をそろえる必要があり、導入コストの問題で適用を断念してきた見込みユーザが多数存在しています。具体的には、NPO・自治体など、予算的な制約により導入を見送ったユーザに対して、積極的にアプローチを行います。

■3. 国際展開における普及施策
 海外子会社による営業展開を行います。また、中国をはじめとする海外ディーラの協力により、普及販売を実施します。
 さらに、国際VRシンポジウムW16での研究適用・活用、弊社がスポンサーとなり開催している国際VRシンポジウムの研究者への本サービスの無償提供を行い、海外プロジェクトの適用事例を構築するなどの施策を予定しています。

■ 4. サービス信頼性の向上・醸成
 本サービス普及においてはクラウドの信頼性・安全性を確保し、弊社の本サービスにおける信頼性を向上・醸成させていくことが必要と考えています。そのため、プライバシーマーク取得などの施策を実施していきます。


 平成23〜24年度実施事業(横展開方策)

 平成23年度〜24年度事業として、本事業により構築されたサービスを拡張し、広範な利用目的に応じた以下の横展開を実施します(図3 参照)。
▲図3 横展開方策


■ 1. アプリケーション連携による追加サービスコンテンツ提供などの横展開方策
 他のアプリケーションやサービスとの連携によるサービスの拡張、コンテンツ拡充を行います。

■ 2. 追加機能開発による横展開方策
 第2事業年度(平成23年度)の中間期に行われる「ユーザ要望収集」により、追加機能開発項目を検討する。最終的には、追加サービスコンテンツの横展開方針と合わせて検討の上、開発実施を決定します。

(Up&Coming '10 晩秋の号掲載)
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