Engineer's Studio® Ver 1.06.00では、主に次の3点に関する機能追加および改善を行いました。いずれも無償改訂機能です。
- 計算部(ソルバー)
- 平板要素の入出力
- 大規模モデル対応
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計算部(ソルバー)に「PARDISO (Parallel Direct Solver)Sparse Matrix
Solver」を実装しました。PARDISOはスイスのバーゼル大学が開発した連立一次方程式を解くためのライブラリです。これを用いることで、大規模モデルの計算性能が大幅に向上しました。従来よりもメモリ消費と計算時間がかなり抑えられています。一例として、4万5千節点モデル(平板要素、材料非線形、静的解析、50ステップ)(図1)の場合、メモリ消費量は20GBから3GBへ、計算時間は20時間から30分へ改善しています。同モデルに対して固有値解析を実施した場合、従来はメモリ不足で計算できなかった状態から1GB未満へ、計算時間は推定2時間から1分へ改善した計測結果が得られました。この機能を既往の64bitソルバーオプションと併用することで、計算可能なモデルサイズ(節点数)が従来よりも大幅に向上します。ただし、フレーム要素が多いモデルでは、従来と同等な計算時間になる傾向があります。
また、ばね特性の非対称バイリニア正方向/負方向の初期剛性を、従来のゼロから1次剛性に変更しました。これによりモデル全体の境界条件を非対称バイリニアだけで成立させることができます。従来必要であったダミーのばね要素は不要になります。
また、1個の剛体要素の従節点の数は1000個までという制限がありましたが、本版より無制限になりました。
■図1 4万5千節点モデル
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平板要素に地盤ばねを与えるジェネレータ機能を追加しました。各地層の層厚と地盤反力係数(kN/m3)の入力データから平板要素の各節点位置にばね要素を自動生成します(図2a、b)。
平板面荷重の両側オフセット機能に対応し(図3)、平板要素内の特定領域に面分布荷重を載荷できるようになりました。
平板要素のコンタ図表示を各グループ単位でもみれるようになりました(図4)。従来はモデル全体で最大/最小の結果数値とコンタ図を表示していましたが、本版より、グループ化された範囲内で最大/最小の結果数値とコンタ図をみることができます。 また、ファイバー要素のひずみ分布コンタ図もグループ単位での最大最小表示が可能になりました。
平板要素の編集画面「メッシュ要素エディタ」に、プリミティブを削除する機能を追加しました。プリミティブをマウスで複数選択すると削除ボタン若しくは右クリックメニューから削除できます。さらに、プリミティブを削除した後に残る孤立した節点も削除するオプションも追加しました。
アウトライン形状から新規に平板要素を作成するときに、既存の平板要素の節点を共有することができるようになりました。
ケース載荷時の組合せ荷重ケースの結果で平板要素のコンタ図を表示するようにしました。
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■図2a 平板要素に地盤ばねを自動生成 |
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■図2b 地層特性の入力 |
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■図3 平板面荷重の両側オフセット機能 |
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■図4 グループ単位でのコンタ図 |
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前述の4万5千節点のように平板要素を用いたモデルは、フレーム要素モデルと比較すると節点数が非常に多くなる傾向があります。また、数万ステップに及ぶファイバー要素の非線形計算結果の情報量は数千ステップの場合よりも飛躍的に増大します。これらのような大規模モデルでは、入力画面や結果画面の反応が悪く、操作待ちの状態が長い時間続くことがありました。今回、下記項目の処理速度を改善しました。
- [入力ナビ]から呼び出す各入力画面
- フレーム要素の結果画面表示
- 3Dモデルの描画速度
- 多数の節点や要素の範囲選択処理
- ファイバー要素の結果表示
- 入力データファイルのサイズ低減
- ファイル読込み速度向上
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■図5 開設予定のEngineer's Studio®
ユーザーフォーラムのイメージ |
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