クラウドの一般的な有利点について
通常のスタンドアロン型VRアプリケーション(UC-win/Road)では、リアルタイムレンダリングやシミュレーションが行える、比較的高性能なコンピュータの使用がユーザ側で推奨されます。さらに、運転シミュレーションや歩行シミュレーションで専用の入力デバイスを使用する場合は、複雑なシステム構成となる可能性もあります。このような場合は個々のシステムの管理が難しくなるため、トラブルが生じると復旧に多大な労力を要する恐れがあり、システムの導入側にとっても負担となります。
こういった問題は、VR-Cloud®のようなクラウド型VRを導入することで解決できます。クラウド型VRアプリケーションには、次のようなメリットが考えられます。
- サーバ側で処理を行うクラウド型VRであれば、クライアント側のコンピュータにそれほど高い性能は要求されず、コスト面でも有利
- 個々のコンピュータの状態を把握することなく、サーバ上のアプリケーションをアップデートするだけで済むため、保守管理における効率性が向上
- 個々のシステムのコンピュータにトラブルが生じた場合にも容易に復旧が可能
- ネットワーク環境さえあれば、場所やマシンの性能を問わず運転シミュレーションなどが可能となり、機動性が向上
- 作成したコンテンツをオンライン公開すれば、限られた計画関係者だけでなく、多数の人の意見を広く集めることができる。
また、イベントなどでの広報展示や体験用にも手軽に利用可能
このように、クラウド型VRは開発側とユーザ側の両方にとってメリットがあります。特に、システムの保守・更新に要する労力とコストが軽減されることのメリットが大きいといえるでしょう。
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クラウド型VRアプリケーションは、広い意味で、誰でもいつどこでも利用できる「VRを用いたコミュニケーションツール」であるといえます。シミュレーションによって得られる情報と、他のユーザや共同作業者、プロジェクト関係者に対して提供する情報(テキストや図など)を通してコミュニケーションを行うシステムといえます。
今回は特に、合意形成手段としての機能開発を重点的に行いましたが、協調設計、教育、トレーニングなどの目的としても使用できます。
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VRは、多数の情報を統合してわかりやすい形で伝えることが可能な、優れたコミュニケーションツールです。また、シミュレーションによる可視化は、さまざまな事象を容易に理解するのにも役立ちます。
一方、クラウドのメリットは、シンクライアントソフトウェアで、場所やマシン環境を問わずデータ管理やシステム運用が柔軟に行えるということです。外部の解析ソフトウェアとの統合を行い、アプリケーション単体では不可能なシミュレーション機能の構築を実現することで、VRアプリケーションに付加価値をもたらします(図1)。
スタンドアロンのシステムの場合は、解析ソフトウェアを各ユーザのマシンにインストールして複雑な設定が必要になる上、バージョン管理もユーザの負担になります。クラウド上に構築すれば、ユーザ側の負担が軽減するだけでなく、サービスの提供側でも管理とサポートが行いやすくなります。
こういった運用上のメリット以外にも、VRアプリケーションを他のアプリケーションと統合することで、それらのアプリケーションのオンラインサービス発展にもつながるという点もあります。これにより、避難解析のアプリケーションと連携した避難訓練、避難誘導の訓練、多ユーザによる避難実験が可能なシステムなど、クラウドに付加価値を与えるさまざまなサービスが期待できます。
また、ロボットや一般的な機械・設備などの制御システムのための可視化と、クラウド型制御インタフェース構築などへの展開も考えられます。
■図1、2 UC-win/Road、a3Sとクライアントの関係
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VR-Cloud®は3種類の製品として展開されています。
VR-Cloud®Standard
フォーラムエイトが開発を行った専用クライアントをインストールして利用します。独自の伝送技術a3Sによりスピードとレイテンシが改善されたため、Flash
Version(従来のUC-win/Road for SasS)ではできなかった歩行シミュレーションや運転シミュレーションが可能となっています(図2,3)。
VR-Cloud®Collaboration
VR-Cloud®Standardに、合意形成目的で使用できるコミュニケーションツールが付加されたバージョンです。VR空間にディスカッションを作成して協議が行える「3D掲示板機能」(図5,6)と、注釈としてテキストや図が記入できる「注釈機能」(図7)が搭載されており、関係者同士でのより高度なコミュニケーションが可能となったフルバージョンのVRクラウドシステムです。
VR-Cloud®Flash Version
従来のUC-win/Road for SaaS。サーバ上でUC-win/Roadを実行させ、プラグインを用いてAdobe
Flash PlayerをクライアントソフトとしたVR空間の遠隔操作を行う方式。Standard版とCollaboration版と比較して機能が制限されており、スピードとレイテンシもやや劣りますが、手軽に利用できます。
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■図2 VR-Cloud®のナビゲートメニュー |
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■図3 VR-Cloud®の共有メニュー |
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■図4 VR-Cloud®の設定メニュー |
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■図5 3D掲示板機能で
VR空間内にディスカッションが作成できる |
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■図6 3D掲示板機能では他ユーザのコメントに
返信することも可能 |
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■図7 注釈エディタで
テキストや図版の書き込みが可能 |
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VR-Cloud®の新バージョン、1.1では、次のような点が改善されています。
機能 |
v1.0からv1.1の改善 |
レイテンシ(サーバへのデータの要求から受信までの速さ) |
最大4倍 |
ビデオウォールのパフォーマンス(FPS) |
最大100倍 ハイビジョンビデオを10個以上に対応 |
基本機能 |
機能 |
v1.0 |
v1.1 |
移動/視点位置変更 |
○ |
○ |
マウスで視点位置変更/スピン |
× |
○ |
道路走行、フライトパス飛行 |
○ |
○ |
運転 |
△ |
○ |
歩行 |
△ |
○ |
スクリプトの実行 |
○ |
○ |
3D掲示板 (VR-Cloud®collaboration editionのみ) |
機能 |
v1.0 |
v1.1 |
ディスカッションの作成 |
○ |
○ |
コメントを追加しディスカッション |
○ |
○ |
ディスカッションコメントの編集 |
× |
○ |
ディスカッションコメントの削除 |
× |
○ |
ディスカッションコメントキャッシュ |
× |
○ |
注釈機能 (VR-Cloud®collaboration editionのみ) |
機能 |
v1.0 |
v1.1 |
注釈の作成 |
○ |
○ |
注釈の編集 |
× |
○ |
注釈の削除 |
× |
○ |
注釈にジャンプ |
× |
○ |
クライアントができる設定 |
機能 |
v1.0 |
v1.1 |
交通の有効/無効化 |
○ |
○ |
環境オプションの有効/無効化 |
○ |
○ |
コンテクストの変更 |
○ |
○ |
モデル表示の変更(Before/after) |
× |
○ |
シナリオの再生/停止 |
△ |
○ |
管理者モード(クライアント権限の許可) |
× |
○ |
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