フォーラムエイト精鋭チームは、まず、UC-win/Roadでポルトカラスの3Dモデルを作成。画面を2分割して、一方の画面にはポルトカラスの地図を表示させて、もう一方の画面にはドライバーの視点(一人称視点)からのVR画面を表示させた。地図の映像は、テーブルに置かれたポルトカラスの模型にピッタリとフィットするように、プロジェクターで投影して、プロジェクションマッピングした。プレゼンのシナリオは、ギリシャは経済危機ということもあり、ATMでお金を引き出そうとユーザは車で向かっているが、通常の道路を通っていくと時間がかかってしまってATMの終了時間に間に合わない。そこで、近道となる新たな道路と橋梁をVRで作って、最短ルートでATMに向かおうというもの。ユーザが、VR画面で車を運転していると、地図上には車の現在位置がリアルタイムに表示されるというカーナビ機能も実装していた(図23)。 |
23 成果発表会(フォーラムエイト精鋭チーム) |
表技協チーム(町田聡氏、小林佳弘氏)は、ドローンで道路空間の撮影を試みた。当初のアイデアでは、ドローンを道路線形に沿って自動走行させて撮影する予定であったが、現状のドローンはそこまで正確に飛行できない。よって、今回は町田氏がドローンを手に持って車に乗り、撮影してみた。ドローンのカメラには、スタビライザーが付いているため、車が走行中に振動しても安定して撮影できた。今後の見通しとして、今回撮影した映像を背景映像とした上で、車自体に投影する映像をCGで作成して車にプロジェクションマッピングすれば、より臨場感の高い映像が作成できるということである(図24)。
|
24 成果発表会(表技協チーム) |
ドン・ソーチョイ氏は、ホテルとその周辺の3次元モデルを作成するために、複数の地点でレーザー測量を実施した。得られた点群データはソフトで合成し、その点群データを、UC-win/RoadでVR表示させた。そして、先に述べた、ポルトカラスの模型にあるホテルの建築模型にもプロジェクションマッピングした。今回生成した点群データは800万点にも及ぶ(図25)。 |
25 成果発表会(ドン・ソーチョイ氏) |
筆者は、ビデオシースルー型ARシステムを用いて、プロジェクションマッピングされたホテルの敷地(実写映像)に、恐竜の3Dモデル(仮想映像)を表示させた。HMDを被るとポルトカラスの海に恐竜が現れるのである。実写映像と仮想映像の位置合わせ手法はビジョンベースとしたが、伝統的な幾何模様のマーカを用いるのではなく、マーカーレスの方法で実現した。任意の画像や風景を位置合わせ基準として合成することができる。今回は、フォーラムエイト社のロゴを使用した。Oculus
Rift DK2に、Ovrvision 1を装着したARシステムは広視野角の表示を実現しており、体験して頂いたコスタス・テルジディス氏に好評であった(図26)。 |
26 成果発表会(筆者) |
ドローンチーム(マシュー・スワ−ツ氏、小林佳弘氏、楢原太郎氏)は、先に述べたように、アリゾナのドローンをマニュアル操作して、ホテル周辺を実写撮影した。前日に昼食をとった、ネオスマルマラスの辺りまで、すなわち2kmほど離れた地点までドローンは飛んでいって撮影していた。4K動画はさすがに綺麗。そして、Structure from Motionにより、撮影した写真からホテル周辺の3次元モデルの作成に成功した(図27)。 |
27 成果発表会(ドローンチーム) |
最後に、ピサ大学 パオロ・フィアマ氏は、ワークショップ参加者の顔写真から3次元モデルを自動的に作成した。この3次元顔モデルは、笑い顔、泣き顔などの表情を自動的に作ってくれる。こうした余興的なコンテンツも場を盛り上げるために大切である(図28)。
|
28 成果発表会(パオロ・フィアマ氏) |
プロジェクトセッションはこのようにして無事終了した。やはり、参加者が今滞在しているホテルやその周辺環境をデータ化してプレゼンテーションすることはインパクトが大きい。尚、DAY1に行方不明となっていたドローンであるが、DAY2の午後になって発見され、サマーワークショップの後、アトランタへ無事帰っていったことを最後にお伝えしておきたい。
(執筆/取材:福田 知弘) |