(Up&Coming 2010年3月号) |
teamBIM JAPANに参加してグランプリを受賞
■Build London Live
フォーラムエイトは、2009年12月15日から丸二日間に渡り開催された「Build London
Live 」2009に参加しました。Build London Live 2009は、2009年9月に日本で行なわれたBuild
Live 2009 II 同様(Up&Coming No82でも紹介)、48時間で設計を行なう建築のデザインコンペティションイベントです。BIM
Products Ltd, Asite PLC ,AEC3というEUのソフトウェア会社が主催しイギリスで行なわれました。参加チームも国際色豊かで、イギリス、フィンランド、インド、チリ、シンガポール、アメリカなど世界各国から10チームが参加しました。
■team BIM Japan
今回、日本国内の設計会社やソフトウェアベンダーなどが集結し、チーム名をteam
BIM JAPANとしてこの国際的イベントに参加しました。
チーフアーキテクトに建築設計事務所のビム・アーキテクツ様、構造を大成建設株式会社様、4Dシミュレーションをインフォマティクス様、セキュリティー計画をセコムIS研究所様、群集解析・構造解析とバーチャルリアリティーをフォーラムエイトという編成でこのコンペティションに臨みました。
■課題
設計課題はテムズ川河口近くに浮かぶ数個の架空の人工島の内の1つ、Thorpe島の6番目の区画がteam
BIM Japanに与えられ、オフィス・ホテル・住居の複合施設を計画する、というものでした。
- ホテル:250部屋(地下駐車場:最低限100台)
- オフィス: 面積50,000m2以上 (地下駐車場:最低限200台)
- 住居:200世帯: 80 x 3 bed apartments, 80 x 2 bed apartments, 40 x 1 bed (一世帯あたり一台(200台))
- 商業スペース:2000m2 (1,2,3と組み合わせて配置)
- 高さ制限:20階まで
この課題を12月15日午後9:00 |
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▲図1 敷地となったThorpe島のモデル(UC-win/Roadで作成) |
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■VR
敷地は事前に公開されていたため、1日程度で島の形状、交通網などベースとなるデータをあらかじめUC-win/Roadで作成しました。道路脇にはモノレールが走っているという課題設定だったので、モノレールのモデルを走行させ表現し、車道についても道路構造と交通流を設定しています。
設計課題の詳細が発表された後、チーフアーキテクトのビム・アーキテクツが設計した計画中の建物のBIMモデルを3DSファイルとして受け取り、UC-win/Roadの空間上に配置しました。VRをプレゼンテーションムービー用としてだけでなく、ボリュームを配置、ムービーをアップロードしてビムアーキテクツへ渡し、全体構成の確認や駐車場の入口周辺などの設計検討へ役立てました。
検討を経て仕上がった建物のモデルを最終的に配置しVR空間を完成させました。終了3時間前にチーフアーキテクトから「建物のファサードを少し変えたい」との打診がありましたが、問題なく対応しVRに反映しました。美しい建物の外観は審査員の印象にも残ったようです。 |
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▲図2 建物外観 |
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■群集解析
群集解析はセコムIS研究所様のセキュリティ計画とのコラボレーションとなりました。
事前打合せで決定していた、朝の通勤時間帯である6時から12時、昼食のためや商業施設に人が訪れる12時から18時、帰宅時間帯の3パターンを、「EXODUS」を使用し群集解析しました。設計された建物のDXFをインポートし、解析を行なうためのモデリングとしてノードと出口を配置し、各時間帯毎に人を設定した3つのファイルを用意し別々に解析を行ないました。
UC-win/RoadにはEXODUSで解析した人間行動の経路データを読み込んで人間モデル(MD3キャラクタ)を動かすことのできるプラグイン(UC-win/Road EXODUS プラグイン)があり、データを読み込んで非常にリアルな群集の様子をVRで表現しました。
UC-win/Roadで表示できる人間の動きは、マイクロシミュレーションプレイヤーでxmlに記録することができます。これをさらに利用し、セコムIS研究所でこのxmlをIFCデータを利用し群集密度を円で表示したり、経路の線を断面をもったポリゴンで表示という分析・利用がされ、セキュリティ計画に反映されました。 |
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▲図3 EXODUSの解析結果をUC-win/Roadで表示 |
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■その他の解析
構造の初期設計に時間がかかったため、UC-win/FRAME(3D)での解析は計画建物と同等の建物を解析しました。その他、風環境シミュレーション、施工過程を示す4Dシミュレーションなどが行なわれ、ムービーやスライドを主催者のサーバに順次アップロードしていきました。
主催者はTwitterとブログで状況をアナウンスし続け、イベントに参加している海外の他のチームの様子も伺うことができました。 |
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▲図4 UC-win/FRAME(3D) |
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■グランプリ受賞
イベント終了の翌日、審査会があり、ブログで日本時間の深夜2時ころ、受賞発表がありました。team
BIM Japanは 最優秀賞 (THE JEFF WIX 2009 BUILD LONDON LIVE AWARD )、環境・施工可能賞
(BEST USE OF BIM FOR SUSTAINABILITY OR CONSTRUCTABILITY)をダブル受賞しました。
審査員からは「オープンなBIM規格の使用と、チームがあらかじめ作業フローの準備をし、優れた最終成果物を作成したことに感動した。提出された計画は、行われた解析の量と同じくらいの美しさが賞賛された。」
とのコメントをいただきました。
参加依頼が急だったこともあり、メンバーの時間調整に苦心し、準備もあまりできなかったのですが、よい結果を出すことができました。このことは短時間でデータを連携し現実的な設計をするというBIMの主旨に沿うことができたとも言えます。他のチームの成果の全て見れたわけではありませんが、VRはどの参加チームのものよりもリアルで、注目を集めたのではないかと思います。Build
Live Tokyo2009 II では自社のソフトウェアだけでの参戦でしたが、今回は他社製品との連携を試行することができました。本来のBIMの目的の一つである多くのソフトウェア間でデのータ連携ができ、高いレベルでのBIMとVRの活用が実践できたと考えています。
今回のイベントで扱ったソフトウェア以外にも、フォーラムエイトはBIMソリューションのAllplanを始め、多数のソフトウェアを有しVRとの連携を手掛けています。今回の成果も踏まえ、BIMとVRの展開を一層推し進めて行きたいと考えています。 |
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▲図5 Build London Live 2009ウェブサイト |
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・Build London Live 2009ウェブサイト http://www.buildlondonlive.com/
・イエイリ建設ITラボでも紹介されています。
BIM世界一!日本の"ドリームチーム"が快挙 http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/it/column/20091221/538029/ |