三次元映像のフォーラム第117回研究会
「医療と3D」
三次元映像のフォーラム第117回研究会は、2016年10月28日にデジタルハリウッド大学大学院の駿河台キャンパスを会場に「医療と3D」をテーマに開催されました。
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■御茶ノ水ソラシティ アカデミアの入口とデジタルハリウッド大学大学院 |
■はじめに 「医療と3D」について 奥山 文雄(鈴鹿医療科学大学)
医療分野では、3D映像はMRI、CT画像の3D表示やインフォームドコンセントに利用されてきましたが、ここ10年で、特に広く利用されるようになってきました。その理由として、3D映像のメリットが医療分野で広く認識され、3D映像の画質が大幅に向上したことがあります。眼科領域、ロボットの支援による手術など、医療分野での3D映像の利用についての概観が解説されました。
■講演1 「マルチモーダル画像のレジストレーション」 大西 峻(千葉大学)
医療画像では、CT画像やMRI画像など組織全体を一度に捉えたものと、組織を標本化・光学顕微鏡により病理撮影した細胞レベルでの画像がありますが、元の画像のままでは両者の空間分解能が大きく違っていることから、関連付けが困難であるという課題がありました。本報告では、仲介画像を用いることでそれを可能とする方法を示しました。
■講演2 「空気圧サーボを用いた腹腔鏡手術支援ロボットシステム」 只野 耕太郎(東京工業大学)
腹腔鏡手術は、切開部が小さく入院期間が短縮できることから患者への負担が軽いという利点がある半面、鉗子などへの制約が大きく、施術に高度な技術が必要となる問題があり、力覚フィードバックが強く望まれています。発表者らは、空気圧アクチュエーターを採用することでこれを実現しています。ベンチャー企業を設立し、製品化に取り組んでいる様子が紹介されました。
■講演3 「患者特異型手術シミュレータ」 長坂 学(三菱プレシジョン株式会社)
内視鏡手術は高度の技術が必要で、トレーニングに対するニーズが大変高くなっています。また、患者個々人に合わせた手術シミュレーションは大変有効です。CT画像、MRI画像を元に短時間でシミュレーション用の臓器モデルを作成し、VRシミュレータで利用する技術についての解説が行われました。
■講演4 「拡張現実技術の医療応用」 中口 俊哉(千葉大学)
内視鏡下で行う手術は、低侵襲で患者の負担が軽いという利点がある半面、医師にとっては高度の技術が必要となります。手術時に操作部の位置の把握が容易であれば手術が容易になり、医療事故・過誤の防止が期待できます。プロジェクターとカメラを組み合わせ、体表に3D映像を投影・表示するなどの拡張現実技術の利用が紹介されました。
■講演5 「眼科手術と3D」 徳田 芳浩(井上眼科病院)
眼科手術において、赤外の3D画像を用いる取り組みについて紹介がありました。3D画像の利用により、Head-up Surgeryの実現、画像に情報を付与(AR)できる、手術教育が効果的に行える、遠隔医療が可能となるなどの効果が期待できます。発表者が1996年から取り組んでいる3D画像を利用した手術についての紹介がありました。
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