VDWC/CPWC2015エントリーは4月9日開始!
5回目となるVDWCの課題地は初の海外に
本年開催のVDWCでは、5回目にして初めて課題地が日本国以外に設定されることとなりました。今回の3DVRエンジニアリングニュースでは、今まさに再開発が進められようとしている課題地「台湾基隆駅前」の様子について、フォーラムエイト台湾事務所が行った取材をもとにお伝えします。応募を考えている皆さんにとって、基隆がどんな街なのかをイメージする助けになれば幸いです。
■テーマは「台湾基隆駅前再開発」
台湾にある基隆市は、首都の台北から北に1時間弱程度でアクセスできる場所に位置しています。入り江が深く入り込み、周りが山々にかこまれている地形をうまく利用して、17世紀以来港湾都市としての歴史があります。現在でも外港コンテナ埠頭を中心に台湾で第2位、世界でも39位に入る取扱量を誇ります。その一方で、内港にある台湾鉄道基隆駅の周辺は、現在中心となっている物流貨物機能から観光商業機能へと転換する形で、再開発が目論まれています。
■観光的な視点から
基隆駅は台湾鉄道管理局の管轄地域にあり、基隆市の中で最も人口密度の高い仁愛区に位置しています。この駅は、縦貫鉄道と西部幹線運営システムの始発駅であり、加えて、路線バス、フェリー、貨物船の乗り換え地点でもあります。近隣にはバスターミナルや港、ビジネスホテルも多いため、交通量の激しい交通の要衝となっています。
駅前には小型船埠頭(ブルーライン)があり、すぐ近くの海洋広場は大型客船鑑賞のベストスポットともなっています。さらに、駅に隣り合う陽明海洋文化芸術館には海をテーマとした常設展や3Dムービーのシアターがあり、不定期でさまざまなテーマの特別展が開催され、家族連れを中心とした集客があります。
基隆港西岸にあたる中山区は、港の重要なコンテナをはじめとして、軍用船が利用する埠頭がありますが、同時にこの地区最長の天然海岸である情人湖湖海大道があり、豊富な生態系と風光明媚な地形が特徴的です。市の指定史跡である白米甕砲台や、海触洞である仙洞巌、仏手洞、港を臨む山麗にありハイキングコースとしても最適な虎仔山歩道などは、この地域の重要な自然資源でもあります。
もうひとつの観光スポットとして、基隆には「廟口夜市」があります。これは基隆市の中心部に位置し、尊済宮と呼ばれる廟(寺社)に集まる参拝客を目当てとした屋台が出されたのが始まりと言われています。基隆市内の仁三路を中心として愛三路から愛四路まで広がり、国内外でも有名な屋台市へと発展しました。現在では基隆全体の観光を支える名物スポットとなり、年中無休の屋台には炒飯などのご飯もの、麺類、豆、海鮮、肉料理からスイーツまで、あらゆる美食がそろっています。台湾料理は種類の多さで世界一と言われていますが、基隆はまさにその言葉を体現している場所といってもよいでしょう。
北東部に位置する信義区は、かつて炭鉱と農耕の地でしたが、日本時代に運河が開かれ、その後整備されて文教地区となりました。国定史跡の砲台や役政公園など、台湾の国防史を垣間見ることのできる地域でもあります。また、月眉山の冷泉禅寺は台湾北部でも重要な仏教聖地であり、台湾の信仰文化に触れることもできます。
■進む再開発
今まさに、基隆駅の改築として、プラットフォームを地下化して駅舎出入り口を南北2カ所に移動し、バスターミナルもプラットフォーム上部に移動する工事が進行中です。この後、市街地への接続点になる現在の駅舎と、駅前広場部分や商業施設などの再開発に取りかかる予定となっています。また、隣接する敷地では国際コンペティションでデザインを募った大規模な国際旅客ターミナルの建設が予定されており、完成すれば大型観光客船で世界中から訪れる観光客で賑わうことが予想されます。
さらにMRTやLRTなどの交通網も検討されており、歴史ある市街地をより魅力溢れる観光地として再生するためにも重要な項目として位置づけられているのが、交通結節点としての基隆駅前の再開発だといえるでしょう。
基隆港周辺
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課題となるエリア
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基隆港は台湾で最多のクルーズ船旅客輸送量を誇っている。現在、基隆駅および隣接する港一帯の再開発が進められており、埠頭の増設による定期就航船の増便や海洋広場の建設による、新たなクルーズ船旅客の誘致を目指している。オフィスビル、ショッピングモール、ホテル、住宅、市内バス停の新設に加えて、企業誘致なども行うことで、周辺の地域観光と経済活動を連動させることが発展の鍵となると考えられる。 |
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■計画のポイントは?
今回の課題では、歩行者の交錯を中心にさまざまな交通旅客機能の連携を生み出し、基隆市街地再生の起爆剤になるような空間の魅力に加え、使いやすさ、省エネルギーや災害への対策などの総合的な価値を実現するアイデアが求められています。
BIM/CIMの機能を使ったシミュレーションをデザイン・プロセスに活用することで、大胆な提案や複雑な構成にたいして理論的な裏付けが可能になり、VRを有効に使ったプレゼンテーション表現で、図面だけでは難しい空間体験を提示可能であることを意識した案を期待しています。
■エントリー受付期間:2015年 4月 9日(木)〜 6月19日(金)
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