アクアトンネル(海底トンネル)、風の塔(換気施設)、海ほたる(木更津人工島)、アクアブリッジ(海上橋梁)で構成される延長15.1kmの東京湾アクアラインは、我が国の海洋土木史に一つの金字塔を打ちたてた。この巨大プロジェクトには、最先端の技術とノウハウが集結され、「土木のアポロ計画」とも呼ばれた。
開通後20年以上経過した現在では、首都圏の重要な交通インフラとして定着している。晴れた日の東京湾眺望はドライブの楽しみでもあり、四季折々の行楽の工程として組込みたい。
さて、中間地点にある海ほたるが一番馴染み深いが、これを上空から俯瞰するとこんな感じに見える[写真1]。川崎側先端が海上に途切れているのだ。海ほたる[写真2]は、トンネル部(川崎側)と橋梁部(千葉県木更津側)を繋ぐ巨大な連結器として建設された盛土式人工島であることから、理解できよう。
海ほたるに来訪した際は、実物大の‘カッターフェイス’を是非とも訪問してもらいたい。この巨大モニュメント[写真3]は、トンネル掘削に使用された世界最大級のシールドマシン(直径14.14m)の前面にあるカッターフェイスを、芸術家澄川喜一氏が制作したものである。なるほど、澄川氏の公式サイトでは、「環境造形」と位置付けている(モニュメントの撮影が終わったら、下の方にある制作者のサインを見つけよう)。
老翁が如く鎮座するカッターフェイスは、かつて掘削した海底トンネルを振り返り、今は地上にて、我が子アクアラインを静かに見守っている。
|