■NEC/都市部の道路等の老朽化検査が可能に/「2次元微小変位解析技術」を開発
NECは、都市部において老朽化する道路・ビル等のインフラ構造物の健全性を診断するための検査手法として、2つの衛星レーダによる変位解析を統合し、水平垂直両方向の2次元変位を高精度に解析する「2次元微小変位計測技術」を開発したと発表した。この技術はインフラ構造物ごとの個別検査を可能とし、コストのかかる詳細検査導入の判断に活用できる。これにより、インフラ構造物における予防保全の効率化に貢献する。
今回開発した「2次元微小変位解析技術」では、NEC独自の反射点クラスタリング技術により、この反射点とインフラ構造物の判別を可能とし、個別に高精度な変位解析を可能にした。さらにNECは、この技術による解析を都市部埋立地の地盤沈下計測へも適用し、高精度に解析できることを確認した。手動測量による水準点の地盤沈下結果をもとに評価し、平地域(郊外)、都市部ともに誤差を40%低減した。同技術による変位解析の精度向上は、スクリーニングの信頼度を高め、IoT、ロボット技術、レーザ計測技術などに基づくさらに詳細な検査技術の導入判断を無駄なく行うことができるなど、老朽化する都市インフラの予防保全を効率化するために大きく貢献するとしている。(2018.08.01/1面)
■国交省/自動運航船が実証段階へ/日無・古野等舶用メーカー参画
国土交通省海事局によると、自動運航船の実用化に向け実証段階に入ることになった。自動運航船の実現に必要となる安全要件の策定などの環境整備に必要な実証事業を行う実施者が決定し、今年度からわが国で初めての実証事業を本格的にスタートさせる。
自動運航船の実現には、IoT技術やビッグデータ解析といった最先端技術を用いた船舶の研究開発を推進するとともに、安全要件の策定などの環境整備を進める必要がある。このため、国土交通省では、2016年度より、i-Shipping(Operation)として、IoT技術やビッグデータ解析を活用した船舶・舶用機器の技術開発を支援してきたが、これに加え、安全要件の策定などの環境整備に向けて、実証事業を行うことにした。
同省では、同事業を通じ、実船試験やシミュレーション試験によって安全性の検証に必要なデータの収集等を行い、今後の安全要件策定の検討に繋げていく考えである。(2018.08.01/4面)
■クラリオンがドラレコ映像を解析して安全運転を診断
クラリオンの国内販売会社クラリオンセールスアンドマーケティング(さいたま市中央区、前田博司社長(クラリオンS&M)は、業務用車両向けのクラウド活用型車両管理サービス「SAFE-DR」の新サービスとして、「自動解析プログラムを使用した映像解析による走行診断サービス」を8月1日より提供開始した。
「SAFE-DR」は、クラリオンが運営する商用車の各種車載情報をクラウド上のデータベースに蓄積・活用するサービスプラットフォーム「SAFE」を活用する、ドライブレコーダーと専用サーバーの双方向通信による業務用車両向けクラウド活用型の5月より提供を開始した業務用車両向けのクラウド活用型車両管理サービス。新サービスは、「SAFE-DR」に対応するドライブレコーダーに記録された常時録画映像をSOMPOリスケアマネジメント(東京都新宿区、布施康社長)の「自動映像解析プログラム」で解析を行い、ドライバーの走行診断をするというもの。解析は交差点走行中の「黄・赤色信号通過」「一時停止不停止」を自動抽出し、「交差点で赤信号を通過してしまう」「一時停止標識・表示があるのに安全確認をせずに通過している」といったドライブレコーダーに搭載している加速センサーでは確認できない危険運転を常時録画映像から自動抽出し、正しい運転行動・指導ポイントなどを「走行診断レポート」として運行管理者に提供することができる。費用は1企業あたり5万円(税別)から。(2018.08.08/5面)
■NHK-MT/5・5型ライトフィールドディスプレイ開発 メガネ不要で3D映像を視聴可能
ジャパンディスプレイ(JDI)とNHKメディアテクノロジー(NHK-MT)は、次世代映像に向けた共同研究開発である立体感のある動画再生を実現した5・5型「ライトフィールドディスプレイ」を開発した。2017年には世界最大級の電子ディスプレイ関連国際学会「SID DISPLAY WEEK 2017」において、JDIブースで「17型ライトフィールドディスプレイ」の技術展示を実施。同年7月には国内で同ディスプレイの説明会を開催している。8月1日に開催されたJDIの企業戦略説明会「JDI Future Trip Project」では、ライトフィールドディスプレイも実機展示された。5・5型だけでなく、動画対応の17型も実機を展示していた。昨年は静止画のみの対応で、動画対応については開発中としていた。
両社が開発したライトフィールドディスプレイではバリア方式を採用している。バリア方式は、ディスプレイの前面にスリットが入ったバリアを置き、光を遮光する。ディスプレイとバリアはある程度距離があるため、見る方向によって違う画像を見せることができる。ディスプレイの前面にレンズを置くレンズ方式もあるが、レンズ方式では正しく見える角度は50度程度になってしまう。一方、バリア方式ではほぼ180度の視野角を持つ反面、光の大部分を遮光するため、画面が暗くなるという課題がある。JDIでは両方の方式を試作し比較した結果、バリア方式を採用した。(2018.08.13/3面)
|