「一級河川七瀬川遊水地の有効活用に関する
京都工学院高等学校によるVR披露会」レポート |
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2019年1月28日(月)、京都市立京都工学院高等学校の生徒の皆さんが作成した、VRによる遊水地の整備イメージの披露会が、京都市役所で開催されました。京都工学院高校は、伏見工業高校(1920年創立)と洛陽工業高校(1886年創立)という歴史ある2校の統合・再編により、平成28年度に開校した新しい高校です。
同校では、伏見工業高校より、まちづくり分野の授業にVirtual Reality を積極的に取り入れ、生徒たちが様々な課題に取り組まれてきました。毎年、高校周辺の地域の問題に着目し、生徒自身による現地調査、アンケートや測量等の実施のうえで、UC-win/Roadによるデータ作成を行い、地元説明会等で発表されています。また、FORUM8開催「3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」にもここ数年連続して出品していただき、高校生らしい身近で実践的なアプローチが受け、受賞の常連ともなっています。
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点群計測データから現況を再現 |
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そうした実績の積み重ねが評価され、ついに、2018年、京都市建設局より住民説明会用のVRデータの依頼を受けるまでになりました。
生徒たちにより、現地を3Dレーザスキャンした点群データから現況を再現、河川整備局の改修計画の図面を基に整備後のモデルを作成し、イメージを可視化しています。遊水地の日常の活用や隣接するバスベイの提案も表現されています。今回のデータも「七瀬川改修計画のVRデータ活用」と題して第17回3D・VRシミュレーションコンテストに応募され、見事、審査員特別賞プロジェクト賞を受賞されました。本披露会の広報でも、受賞について大きく紹介されています。その後、地元説明会で実際に使用されています。
「3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」受賞作品 |
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2014 |
2015 |
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東高瀬川周辺環境改善シミュレーション |
東高瀬川改修シミュレーション2015 |
準グランプリ 優秀賞 |
エッセンス賞 |
地域が求める東高瀬川の改修イメージを
アンケートを基に可視化、河川と公園が
一体化した景観と自然環境を提案。 |
防災と施工面から現実的な改善案を検討し
可視化、流量計算や重機の通行も考慮し、
親水空間と二層式構造の河川を表現。 |
2016 |
2017 |
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後世に残す我が母校、伏見工業高校 |
大規模地震における緊急災害対応VRの提案 |
準グランプリ 優秀賞 |
審査員特別賞 地域づくり賞 |
京都工学院高校に変わるにあたり、現在の
伏見工業高校を3DVRデータでアーカイブ。
UAVによる撮影写真を基に構内をモデル化。 |
大規模地震発生直後の被災状況をUAVで撮影
し、避難や支援物資の供給に役立てる提案を
VRで表現。現況の点群表現と被災後を比較。 |
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披露会は、歴史ある京都市役所本庁舎の第一応接室での開催です。出席者は、門川市長はじめ、市会議長、副議長、まちづくり委員会委員長、委員の皆様、市会議員の方々、建設局長、土木技術・防災減災担当局長、建設企画部長、区長、教育委員会、河川整備課の皆様、等々、そうそうたる顔ぶれ。生徒の皆さんが前に立ち、微妙に緊張感が漂う中、門川京都市長がご入室。京の着物普及のため毎日和装で有名な市長、今日も渋い緑の着物で洒脱な雰囲気、一気に場が華やぎます。
河川防災担当部長が進行を担当され、市長がご挨拶を述べられました。遊水地の整備に関連して、国土強靭化とSDGs(Sustainable Development Goals)の取組にも触れられました。京都市は、平成30年10月から11月にかけて行われた、日本経済新聞の「全国市区・サステナブル度・SDGs先進度調査」で総合1位に選ばれたとのこと。京都の強みである文化力・地域力が根底に存在するようです。
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校長先生ご挨拶 |
京都市長ご挨拶 |
次に、京都工学院高校の砂田学校長より、VR導入を推進されてきた尾崎教頭先生と、VR活用を指導されている大下先生、データ作成に携わったプロジェクト工学科まちづくり分野の生徒6名の皆様をご紹介されました。続いて、河川防災担当部長より七瀬川整備事業の概要が説明されました。
伏見区を東西に流れ、東高瀬川に合流する七瀬川の治水安全度の向上を図るため、現在、増水時に一時的に水を貯留する遊水地整備を進めており、都市部の貴重な公共用地のため、平常時には地域住民の方の憩いの場として有効活用できるよう協議中です。住民説明にあたり、京都工学院高校の協力により、先端技術であるVRを活用して整備後のイメージを分かりやすく紹介、本事業への理解促進と地域社会に貢献する教育活動につなげることができました、との経過も説明されています。
高校生によるプレゼンテーションでは、UC-win/Roadデータを使用。整備前・整備後の切替えや、気象変化、スクリプトでの水位の変化による増水表現など、VRソフトをその場で操作しながら、各機能を上手く利用されています。ご列席の皆様も、立体的に確認できてわかりやすい、と大好評で、質疑応答も活発に行われ、閉会後もお時間を取っていただくほど盛り上がりました。新しく開校した市立工学院高の明るい成果と未来を見出されたようです。
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設計図面を基に遊水地を可視化 |
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スクリプトの水位変化による増水 |
平常時のバリアフリー利用を表現 |
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Before/After機能で遊水地の整備後を表現 |
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気象表現 |
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伏見工業高校でのVR導入から約5年、今や地元と行政との協議に実際に活用、貢献し、さらに地域に評価される、という前進と定着の手応えを皆さん実感されていると思います。継続して、次はまた別の分野からVR作成のお声掛けがあるとのこと、新たなVR展開が楽しみです。
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VR画面の前で質疑応答:比較案を容易に立体的に示せる |
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京都市長と座談:「見える化」で理解や判断の手助けに |
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記念撮影 |
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