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今回ご紹介する海外の土木IT関連Webサイトは、全米アカデミーズ(National Academies)の一部を成す全米研究評議会(National
Research Council:NRC)において交通調査に関するさまざまなサービスを提供する「米国交通輸送調査委員会(Transportation
Research Board: TRB)」です。
調査と情報交換を通じて輸送の革新と発展を主導
NRCは全米科学アカデミー(National Academy of Sciences)、全米工学アカデミー(National Academy
of Engineering)、米国医学研究所(Institute of Medicine)によって共同運営されている民間・非営利の組織。全米アカデミーズにおいて政府や国民、科学技術界へのサービス提供を行う主要事業機関と位置づけられます。
TRBはNRCの6つの主要部門の一つ。そのミッションとして、客観的、学際的、およびマルチモーダルな環境において実施される調査と情報交換を通じ、輸送の革新と発展を主導することを掲げます。
TRBの歴史は、道路技術に関する情報や研究結果の交換を推進する全国道路調査諮問委員会(National Advisory Board on
Highway Research)として設立された1920年に遡ります。1925年に道路研究委員会(Highway Research Board:HRB)と改称。以来、規模を着実に拡大、その後は情報交換に加え特別調査プロジェクトの管理も引き受けるまでになりました。
1960年代には活動が次第にマルチモーダル化し、併せてサービス範囲も拡大。1974年、HRBは現行のTRBへと再度改称されました。その後、1980年代には全国輸送政策問題の調査を実施。1990年代には議会や運輸省、各州運輸局がTCRP(Transit
Cooperative Research Program)の管理をはじめとする追加任務をTRBに依頼。最近ではさらに、空港や貨物輸送、危険物質輸送に関する新たな共同研究プログラム、第2次戦略的道路研究計画などが追加されています。
TRBは現在、現行の交通調査と実践に関する情報交換の機会、共同研究や他の研究プログラムの管理、連邦や他の研究プログラムに関する国内交通政策問題と指針の分析、出版および世界中からの研究情報の入手、などのサービスを実施しています。具体的には、交通機関のあらゆる側面を取り扱う200以上の常設委員会と特別調査委員会(タスクフォース)を維持。年間を通じて公共・民間部門および学術界から7,000名以上のエンジニアや科学者、交通研究者、実務家らがTRBの委員会やパネルなどに参加しています。
また、毎年1月にはワシントンD.C.で年次総会を開催。連邦、州、地方政府機関の代表をはじめ全世界から1万人以上が集まるほか、約3,000の研究発表、常設委員会および多数の小委員会の会議が実施されるなど、交通専門家の情報交換の場としては世界最大規模を誇ります。
可視化の研究と普及を図るための交通可視化委員会
とくに交通の可視化に関しては、1990年代から小委員会を編成。タスクフォースを経て、2006年夏には「交通可視化委員会(Visualization in
Transportation Committee)」として正式に認められました。現在はTRB内部で、政策組織グループ(Policy and Organization
Group)の、データおよび情報システム・セクション(Data and Information Systems Section)に属しています。
なお、FORUM8 ヨーロッパ ゼネラル・マネジャー、ブレンダン・ハファーティ(Brendan Hafferty)博士は今年初め、この交通可視化委員会の新メンバーとして承認されています。
90年代半ばには、提案された事業がどのように見えるかという、その伝え方を改善するための3D形状や画像、アニメーションの作成に関心が集中していました。一方、現在では可視化やそれに関連するシミュレーション、あるいはモデリング技術が著しく発展。明日を担う専門家の教育訓練としてはもちろん、インフラの計画や発注、運用、維持管理方法の向上にも繋がる重要なアプローチと位置づけられてきています。
したがって同委員会は、そうした技術の利用に基づいてより良い意思決定を模索する機関や専門家、利害関係者への影響を考慮することを重視しています。
また同委員会はその目的を、今日の重要な交通問題に取り組み、また将来的な交通需要への革新的なアプローチを推進する上で、可能性豊かな可視化の手法や技術の知識を向上するために、協力的な交流や研究を促進し、普及させることとしています。
同委員会のウェブサイト(http://www.trbvis.org/MAIN/TRBVIS_HOME.html)のメニューには、「ABOUT
US(同委員会について)」、「SUBCOMMITTEES(小委員会)」(調査研究、教育訓練、交通データ、視覚コミュニケーション、投資収益、賞から構成)、「NEWS(ニュース)」、「EVENTS(イベント)」(TRB年次会議、道路安全・シミュレーション会議、交通計画データを伝達するための可視化技術の利用、など)といった項目が並びます。
そのほか「RESOURSE(参考資料)」では、米国全州道路運輸行政官協会(AASHTO)制作のビデオや各種講演など、交通や道路に関連するさまざまな可視化手法を紹介するデータにリンクします。
さらに、「CASE STUDIES(事例研究)」では、可視化技術を採用した多彩な事例の説明とビデオ等を紹介。ワシントン州運輸局の「SR167
Good To Goプロジェクト」において住民にHOTレーンの必要性と価値を説明するためのマルチメディア情報の一部として利用された、「ドライブスルー」アニメーションなど、数件へのリンクが張られています。
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この記事は、TRBの許諾により上記サイトの内容に基づいて書かれています。
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(Up&Coming '10 新緑の号掲載) |
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