ICT(Information and Communication Technology)の飛躍的進展等を受け、「第4次産業革命」(IoT時代のものづくり)と銘打って、イノベーションを巡る熾烈な国際競争に打ち勝つための方向性が政府より示されています。
一般財団法人最先端表現技術利用推進協会(以下、表技協)では、こういった国の方針とも合致し、企業や技術者を支援するものとして「表技協検定」を企画しました。
基本方針
企業や技術者が、ICT等をベースにイノベーションの担い手となるためのモチベーション(動機付け)を提供します。そのための付帯として学習用テキストの構築、研修および達成程度の目安としての検定を行います。
こうした事業は、時代に応じた内容への高度化もさることながら、継続することが強く求められることから、安定性の確立も重要な対応と考えています。
(1) 背景
ICT等をベースにしたイノベーションについては、ほぼ全ての技術分野が対象となりますが、当協会での技術検定対象分野は、初期から全てをカバーすることは現実的でなく、ある程度の分野に絞って段階的な拡大を目指すのが現実的であると考えています。当面は内外の状況を把握しつつ、対応可能な分野から順次設定することとし、その際、国が各省庁にて展開している「超スマート社会」実現のための方針をベースとして検討しました。
(2) 求められる対応技術
平成28年度から展開されている国の第5期科学技術基本計画(5カ年計画)では、未来産業・社会を、「超スマート社会」の実現を目指し、基盤技術を“IoT、数理科学、人工知能、ビッグデータ”とし、それらをシステム的に統合することで“素材・先端計測・光・量子技術・ロボット・センサ・ナノテク”を強み技術と位置づけています。さらに、高度道路交通システム、エネルギー利用のスマート化、インフラアセットマネジメントシステム、新たなものづくりシステムなどの取り組みを想定し、基盤的な技術の強化を図り、新産業の創出を目指しています。
(3) 想定される対象分野
表技協の活動は、ハードとソフトの両面において、まちづくり分野における最先端表現技術の利用促進に深く関与しています。そこで、最先端表現技術を利用したまちづくりを「VRまちづくり」と呼称し、まちづくりの4つの部門(1.計画・管理、2.設計・施工、3.アセスメント、4.対話・協議)を設定。これらの各分野において、最先端表現技術の利用を通じた業務の効率化・高度化を図りつつ、部門間のスムースな連携を促すことを想定しています。
(4) 当面の対象とする部門
科学技術基本計画に関連する省庁の中で、まちづくり分野を広く所管する国土交通省の施策内容を見ると、表技協が対応している技術(IMやVRをツールとしたCIMソリューション)と関連する施策も多数あります。さらに国土交通省においては、科学技術基本計画を踏まえて、まちづくり分野の高度化を図る目的で「情報化施工」や「i-Construction」といった施策を掲げています。
なお、国交省の平成29年度予算(5.7兆円)概要を細分化し、「情報化施工」や「i-Construction」に関連する部分を抽出して合計すると、1兆円を超えることとなります。
従って、これらの事業がスムースに推進できるよう、表技協が構築を目指す検定事業においては、初期の対応としてこれらのまちづくり部門に絞って推進することとしています。
「i-Construction」と情報技術との連携
国交省が目指すi-Constructionのターゲットは、現場での労働生産性の向上、安定的な経営環境の確立であり、そのために現場の安全や新技術の導入、グローバルな対応や契約方式の変革などが一体となった支援体制を前提としています。その中で、次の3点を視野に入れた対応が求められています。
- 建設現場を最先端の工場へ(近年の衛星測位技術等の進展とICT化により、屋外の建設現場においても、ロボットとデータを活用した生産管理が実現)
- 建設現場に最先端のサプライチェーンマネジメントを導入(鉄筋のプレハブ化等による建設現場の生産工程等と一体化したサプライチェーン管理の実現)
- 建設現場の2つの「キセイ」の打破と継続的な「カイゼン」(イノベーションを阻害している書類による納品などの「規制」や年度末の工期設定などの「既成概念」の打破)
これらの連携を達成するための「情報技術」をコアとし、その連携のあり方をCPS(Cyber-Physical-System)としたi-Constructionの推進イメージを、右上の図に示します。図の外側の緑の領域が建設現場での対応、内側の青色の領域が情報の収集と発信を表現。中央のクラウドコンピュータが、処理したデータを現場に伝達する役割を担っています。
今回の研修・検定の対象は、青色の領域およびクラウドコンピューティングに関連する情報技術とし、CIMやフロンローディングにつながる情報・知識を取得することを目的としています。
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表技協では、検定事業を具体化するにあたって、実現可能性検証調査(フィジビリティ調査)を実施しました。その結果、関連する講習会等を含めた教育システムおよびその成果の把握手段として、検定による評価が強く求められていることがわかりました。現在、学識経験者(外部委員として、中日本ロード・メンテナンス東京株式会社社長 朝日理登氏、株式会社大林組 情報技術推進課長 杉浦伸哉氏)を含む6名の試験委員による委員会を開催し、準備を進めています。
目標としては、平成30年3月中に、講習会を含む教育システム・検定準備を完了し、来年度となる平成30年度4月以降の実施を目指しております。
また、皆様の表技協への入会もお待ちしております。詳しくは表技協ホームページをご覧ください。
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