ユニバーサル・コミュニケーションデザインの認識と実践
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太田 幸夫
ビジュアル・コミュニケーションデザイナー、太田幸夫デザインアソシエーツ代表
特定非営利活動法人サインセンター理事長、多摩美術大学 前教授
LoCoS研究会代表、日本サイン学会理事・元会長、日本デザイン学会評議員
一般財団法人国際ユニバーサルデザイン協議会評議員
A.マーカスデザインアソシエーツ日本代表 |
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Vol.1 |
ユニバーサル・コミュニケーションデザインとは |
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はじめに |
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世界には3500〜8000語の言語があると言われています。外国語の学習に努力しても、既存の国語や民族語を使う従来のコミュニケーションの形を取り続ける限り、個人的にも社会的にも問題は山積したままで、必要とされるコミュニケーション効果は期待はずれと言えるでしょう(インターネットなどの通信技術が発達したとは言え、その基本の構成ベースが英語に基づいているため、英語圏以外の人々はあいかわらず大きなリスクを背負いつづけることになります)。
そのように言えるのはなぜか。既存言語によるコミュニケーション以外のコミュニケーションとは、いかなるものか。次回で両者の違いを明らかにします。そして今後一層重要になる新しいコミュニケーションの特徴と、そのコミュニケーションの働きが明らかになるでしょう。本誌発行元のフォーラムエイトが推進する3D-CGは、ここで言う新しいコミュニケーションの重要な実践例の一つといえるでしょう。
本稿で仮称「ユニバーサル・コミュニケーションデザイン」と呼ぶその新しいコミュニケーションは、既存言語を使いません。その代わり人にとって重要な感覚のひとつである視覚をおおいに活用するところが特徴です。聴覚や臭覚は犬などの動物特有のとても有能で有効な能力です。五感の中で人間にとって視覚が全体の86%を占めるとまで言われることが、新しいコミュニケーションでは全面的に役立てられているのです。
そうしたデザインのすぐれた事例を取り上げながら、ユニバーサルとコミュニケーションデザインの両方の意味と意義を読者のみなさんが理解できるように執筆者として努力します。そしてデザイン成果で具体的にその理解と認識を確認しながら、皆さん自身が日常の実践の中でその認識を活かせるように説明します。この新シリーズ執筆は、そうした新しいコミュニケ?ションデザインの認識と実践のためのマニュアルとしても役立つように心がけていきたいと思います。 |
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本連載で紹介予定のトピックス
「視覚言語の歴史的役割と可能性」
世界で最も有名な国際コンピュータ学会IEEEでの太田の2回にわたる英語による基調講演の骨子を再録します。
「絵ことばLoCoSにみる視覚言語から感性言語への胎動」
1964年以来 50年におよぶ太田の研究で、日本デザイン学会につづいて1971年、ウイーンのビジュアルコミュニケーションデザイン国際会議で発表。高い評価を受けたものです。
「日本発非常口サイン(デザイン:太田幸夫)が 国家規格から国際規格に」
1982年国家規格になり、先行していたソ連案に代わって1987年国際規格になりました。(下記8に関連します)
「東京オリンピックの案内ピクトグラムが世界を開く」
デザイン界の法王と呼ばれた勝見勝の呼びかけで太田は1972年、目で見ることばの研究所 (PictorialInstitute)を創設しました。
「日本の紋章に見る絵文字のルーツ」
「日本の紋章」と題する海外向け映画を太田は1970年制作、ウイーンのハフスブルグ宮殿での国際会議で発表)
「国際相互依存の視覚化国際デザインプロジェクト完成」
世界から5名が半年間アメリカ国立研究所シンクタンクに招聘され、太田が中心となってデザインしました。
「国連大学紹介の世界初コンピュータアニメーション」
太田とイギリスの友人の恊働成果/ハードとソフトで150,000,000円のセットが、この成果により20日間で10セットも売れました。
「民間恊働プロジェクト“避難誘導サイン・トータルシステム”」
災害から人々の命を守る世界最先端のデザイン実践。多業種4 0 社余、89名の恊働プロジェクトです。
「新しいデザインの視点『コミュニケーションデザイン』シリーズ刊行」
『目で見ることばの世界』『地球市民のデザイン』など6冊です。
「商業サインと公共サインの融合一体化による都市景観の向上」
太田が作成した車体利用広告デザイン審査基準にも言及し、また太田が審査委員長の東京屋外広告コンクールの審査にも言及します。
「JIS Z 9095 避難誘導システム(SWGS)ー蓄光式の制定」
太田が日本代表で永年関わった国際規格を太田が委員長で改良した国家規格の原案づくりです。
その他、5〜10種類のデザイントピックスを紹介します。
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「ロコス」より
よろこび・たのしみ |
「生存は分かち合いから」より |
「国際相互依存状況の視覚化」より
地球のアンバランス |
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(Up&Coming '14 新年号掲載) |
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