初期断面力とは、本体解析を開始する前の初期応力状態を表現するための力です。フレーム要素に対しては、i端とj端位置における曲げモーメント、せん断力、軸力を与えます。ばね要素に対しては、ばね要素の要素座標系におけるxl方向の力、yl方向の力、zl方向の力、および各軸回りの回転力(モーメント)を与えます(合計6成分)。
直接入力の他に、既存の基本荷重ケースや組合せ荷重ケースを指定することによって初期断面力を自動算出する機能があります。この場合は、線形弾性解析が実施され(本体解析とは無関係)、その解析結果のうち、節点の変位を無視して断面力だけが取り出され、初期断面力として設定されます。なお、ケーブル要素がモデルに含まれている場合は、線形弾性解析ではなく、幾何学的非線形解析により初期断面力が算出されます。
初期断面力を自動算出するときの支点条件は、旧版(Ver 3.1.2以前)と新版(Ver 3.1.3以降)とで異なりますので、以下に解説いたします。 |
Engineer's Studio® Ver3.1.2以前の版では、支点条件は「最初のランの支点ケースと分布ばねケース」を選択された基本荷重ケースや組合せ荷重ケースに適用して初期断面力を算出していました。つまり、基本荷重ケースで指定されている支点条件ではなく、ランの支点条件で初期断面力を算出していました。組合せ荷重ケースの場合は、それに含まれる各基本荷重ケースの支点条件を無視し、最初のランの支点条件を各基本荷重ケースに適用していました。
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■図1 旧版の画面(Ver 3.1.2) |
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Engineer's Studio® Ver3.1.3以降の版では、3種類の指定が可能です。
- 初期断面力の自動算出に基本荷重ケースが指定されているときは、その基本荷重ケースに設定されている支点ケースと分布ばねケースを使用して初期断面力が算出されます。
- 初期断面力の自動算出に組合せ荷重ケースが指定されているときは、組合せ荷重ケースに含まれる各基本荷重ケースの結果を合計して初期断面力とします。このとき、基本荷重ケース毎に異なる支点条件はそれぞれ考慮されます。
- 初期断面力を自動算出するときの支点ケースと分布ばねケースを自由に選択できます。これは選ばれている基本荷重ケースや組合せ荷重ケースの支点条件とは無関係に設定できます。もちろん、ランの支点条件と異なっていても構いません。
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■図2 新版の画面(Ver 3.1.3)、支点条件が荷重ケースと同じ時 |
■図3 新版の画面(Ver 3.1.3)、支点条件が任意設定の時 |
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新版と旧版とで初期断面力の自動算出値が同じになるように互換性が重視されます。
Engineer's Studio® Ver 3.1.2以前のデータを読み込むと、「最初のランの支点ケースと分布ばねケース」を初期断面力算出用に指定された基本荷重ケースや組合せ荷重ケースに適用して初期断面力を算出します。
UC-win/FRAME(3D)のデータを読み込むと、上記1または2が適用されます。
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(Up&Coming '14 盛夏の号掲載) |
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