Multiframeは、3次元骨組構造解析プログラムです。入力断面として、JIS規格の鋼材断面が標準で登録されている他、ユーザ任意の断面を使用する事もできます。計算後、鋼構造設計規準(日本建築学会)に準拠した断面算定を行う事ができます(オプション)。また、Ver.12から平板要素を用いた立体解析をサポートしています。
今回はサポートに寄せられた座屈応力に関する質問と、Multiframeに備わっている座屈解析機能につきまして簡単にご紹介いたします。
座屈荷重/座屈応力
長柱に関するオイラーの座屈荷重、座屈応力の式は以下のものとなっています。
Multiframeでの検証
Multiframeで検証するために、単純な長柱のモデルを考えてみます。
・部材長 l |
:5000mm |
・使用Section |
:Square Pipe 40×40×1.6 |
・材料 |
:SS400 |
・E |
:206010(N/mm2) |
・I |
:57900(mm4) |
・A |
:289(mm2) |
・拘束条件 |
:固定(下)-固定(上:鉛直ローラー) |
・部材分割数 |
:10 |
オイラーの公式より算出された数値は、次の表のようになります。
記号 |
数値 |
記号 |
数値 |
Pcr(N) |
18835.91 |
A(N/mm2) |
239 |
σcr(N/mm2) |
78.81 |
C |
4 |
l mm |
5000 |
L |
2500 |
E |
206010 |
k |
15.56 |
I(mm4) |
57900 |
λ |
321.24 |
■表1.座屈荷重|座屈応力
荷重値は、表の座屈荷重より次のように設定しました(図1)。
荷重値:18836(N) 鉛直下方向、節点荷重
Multiframeで作成したデータの線形解析結果と、公式より算出した座屈応力を比較してみます。この時、Multiframeの部材軸方向応力度「Sx’」が座屈応力度「σcr」となります(図2)。
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■図1. 解析モデル |
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■図2. Multiframe解析結果 |
公式より算出した値と一致していることが確認出来ました。
次に、「座屈解析」を実行してみます。
「解析メニュー」より「座屈解析」をクリックして実行します。
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■図3.座屈解析実行 |
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解析結果ですが、Multiframeの座屈解析では、座屈モード他が求まります。プロットウィンドウで座屈時のモード変形図、結果ウィンドウで有効長さ係数(kx,ky)、有効座屈長さ(Lex,Ley)などを確認することが出来ます。
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■図4.モード変形図/結果ウィンドウ-座屈 |
このサンプルデータでは、両端固定時の座屈長さ(Lex,Ley) が部材長さ(l)の1/2=2500mmであることが分かります。
注意点としましては、座屈解析を実施する場合、対象となる部材を分割する必要があります。分割数は4以上を推奨していますが、ある程度精度を確保するためにはより細かく分割する必要があります。
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■Multiframe Ver.17.01 日本語版 2014年 8月リリース
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