交錯ダイヤモンド型立体交差の安全と幾何設計基準についての評価
ノースカロライナ州立大学は近年、米国交通輸送調査委員会のプロジェクトの一環として、フォーラムエイトのドライビングシミュレータとUC-win/Road(VR-Design Studio) DSを購入しました。交錯ダイヤモンド型立体交差に出会ったときのドライバーの行動特性調査がプロジェクトの目的です。
NCSU交通研究教育学会の高速道路システムグループ長であるChris Cunningham氏は、次のようにコメントしています。
「私たちはダイヤモンド型立体交差の様々な特徴的デザイン構成を検討するためにフォーラムエイトのドライブシミュレータを使うことにしました。例えば、立体交差の設計や出口ランプでの右左折の動きなど、ドライバーがそれほど直感的でない路面標示を確認しなければならない場所などについてです。」
交錯ダイヤモンド型交差点(DDI)は、この5年ほどの間に米国で普及しました。全体としても、DDIは交差点設計分野において増加していますが、一方で設計に関する手引きはそれほど多くありません。米国初のDDIは2009年にミズーリ州交通課によって建設されました。DDIのデザインは、信号整理された立体交差の幹線道路や有料道路において、左折の信号現示をなくしての左折を可能にします。幹線道路の終点部の交差点では、2現示信号で交通を左に流します。いったん幹線道路の左方へいくと、車は停止したり他の交通を妨げたりせずに有料道路へと左折できます。
これまでは、このタイプの交差点の設計にガイドラインや基準がなく、これまでに建築されたDDIの設計で立証されている敷地の状況に依拠してきました。さらに、2009年以前は北アメリカにDDIが存在しなかったため、参照できる事故歴も少数でした。実際の安全性と性能の分析は、運用中のわずかなDDIに限られます。現在の設計プロセスと安全性解析についての評価は、近年の進歩や新たな課題を設計手法、指針、政策に反映させるために必要となります。
研究の目的は、米国内で運用中のDDIについて幾何設計の特性を発見し、見直しと評価を行うことです。この情報は将来の幾何指針およびガイドラインとして、米国全州道路交通運輸行政官協会の幾何学デザイン技術部への提案に利用されます。(1)DDIに不可欠な設計特性と、その情報をエンジニアがどう活用するか、(2)DDIの安全性と利点、それらを設計者がどう活用するか。これら二つの課題について、今後取り組んでいく予定です。
UC-win/Road Ver.11の改訂内容であるレンダリングエンジンの強化、デジカメによる写真データからSfM解析を経由して生成した点群をVR空間へ表示する機能、Open Street Map読み込み対応はDDIの幾何学デザインをよりリアルで高精度且つ迅速に3DVR化できる点においてノースカロライナ州立大学の本研究を大いに支援できます。
次期Ver.12では、シミュレーションタイマー制御拡張をはじめとして、研究用ドライブシミュレータ向け各種機能を強化する予定となっており、自動車分野で注目を集めるADAS、自動運転研究開発関連でのソフトウェア開発、システム開発を引き続き強力に推進していく方針です。
2016年が「VR元年」とも言われ注目を集める中、フォーラムエイトは「バーチャルリアリティの時代」具現に向けて、先進の新機能を実現したUC-win/Roadを今後も継続して提供していきます。
これに伴い欧米におけるドライビングシミュレータでの運転診断機能を駆使した道路設計の検証、車輌システム開発、ITS 交通システム研究、ドライバ・車・道路・交通との相互作用研究等が更に発展する見込みです。どうぜご期待ください。
(Up&Coming '16 秋の号掲載)
>> 製品総合カタログ
>> プレミアム会員サービス
>> ファイナンシャルサポート