不等流収束計算
不等流計算が収束しない問題のよくある原因の一つに、断面サイズの不足が挙げられます。断面が小さいため、指定した流量では水が溢れてしまう状況です。管など閉断面の場合は水位が断面高を超えても動水勾配線を使って計算を続行することができますが、開断面の場合はエラーとして処理します。ここでは、断面サイズが不足した時の不等流計算の収束状況の確認方法と対応方法をご紹介いたします。
断面サイズ不足時の収束状況
断面サイズの不足が原因で収束しない場合、結果画面に表示される収束曲線は図1のようになります。このグラフは、不等流の計算条件のタブ「収束計算」条件設定画面で「収束曲線を作成する」にチェックを入れた時に表示されます。画面右下の収束曲線グラフは、縦軸が水位、横軸が水頭差です。常流の場合は限界水位よりも上側、射流の場合は限界水位よりも下側を検索範囲として水頭差=0mとなる不等流水位を求めます。
図1の場合、水頭差=0mとなる水位が存在しないため収束できない状態ですが、断面高を上げれば水頭差=0mとなる可能性があると推測されます。
対策前の確認事項
任意開断面の場合、水位の上限値が意図した高さになっているかを確認してください。任意開断面の計算範囲は、断面形状入力画面のタブ「計算範囲」で設定することができます。この画面では、水位を考慮できる計算範囲が赤いハッチングで表示されます。 |
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図1 収束曲線 |
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計算範囲を指定しなかった場合、図2の「対策前」のように計算可能な水位の上限値は左右端のY座標の低い方で決定されます。外側の外形線が下がっている場合は意図した上限値になっていない可能性があります。この場合は、図2の「対策後」のように計算範囲の直接指定、または外側の座標の削除により正しい計算範囲を設定してください。計算範囲を直接指定した場合、水位の上限値は計算範囲の左右端のY座標の低い方で決定されます。
対策前 |
対策後 |
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外側の座標を削除した場合 |
計算範囲を指定した場合 |
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断面サイズを超えても不等流計算を続行する方法
不等流計算では水が溢れる現象を計算することができませんが、簡易的に、水位が断面高を超えても計算を続行する機能を用意しています。この場合、不等流の計算条件「不等流水位の検索範囲」に「断面高の1.00倍」より大きな値を設定してください。
水位が断面高を超えた場合、潤辺長は水が接する断面辺の長さに固定し、水面幅も潤辺長の水平距離に固定する条件で計算を行います。断面高以上の範囲の粗度係数の影響は無視されます。ご了承ください。
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