平成29年道路橋示方書(以下、H29道示)では、荷重と耐力の双方に部分係数を取り入れたものになり、それまでの道路橋示方書の照査内容とは大きく変わりました。しかし、それ以外にも、取扱いが変更されている箇所がいろいろとあり、同じ条件で計算した場合でも計算結果が同じとはなりません。
今回は、深礎基礎の設計に関して、平成24年道路橋示方書(以下、H24道示)から変更された6項目についてご紹介いたします。
水平方向地盤反力係数
深礎杭前面の水平方向地盤反力係数の算定に用いる換算載荷幅BHの取扱いが変わりました。従来は、柱状体基礎と組杭深礎基礎で異なる取扱いでしたが、柱状体基礎の取扱いに統一されました。
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図1 水平地盤反力係数の換算載荷幅 |
Beは、円形断面の場合は、0.8・Dを使います(Dは杭径)。
深礎基礎底面の鉛直方向地盤反力係数
深礎基礎底面の鉛直方向地盤反力係数の算定に用いる換算載荷幅BVの取扱いが変わりました。
従来は、杭径を用いていましたが、深礎底面の面積AVの平方根に変わりました。
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図2 深礎基礎底面の鉛直方向地盤反力係数の換算載荷幅 |
ちなみに「深礎フレームの設計・3D配筋」(H24道示)には「換算載荷幅BVの取扱い」のスイッチがあります。初期値は「BV=杭径」ですが、「BV=√AV」に変更しますと、H29道示に条件を合せることができます。
深礎基礎底面の水平方向せん断地盤抵抗
永続・変動作用時(従来の常時・レベル1地震時)の深礎基礎底面の水平方向せん断地盤抵抗の取扱いが、線形からバイリニア型に変わりました。
また、H24道示では「常時・レベル1地震時のせん断抵抗力照査を行う」ことが記載されていましたが、H29道示には記載がありません。
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図3 深礎基礎底面の水平方向せん断地盤抵抗 |
基礎前面の水平地盤反力度の上限値の補正係数
基礎前面の水平地盤反力度の上限値として、計算値を、常時:3、暴風時・地震時:2の補正係数で除したものを用いていましたが、H29道示では記載が無くなっています。そのため補正係数=1(補正しない)としています。
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図4 基礎前面の水平地盤反力度の上限値の補正係数 |
基礎側面及び周面の地盤反力度の上限値の補正係数
基礎側面及び周面の地盤反力度の上限値として、計算値を、補正係数で除したものを用いていましたが、H29道示では記載が無くなっています。そのため補正係数=1(補正しない)としています。
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図5 基礎側面及び周面の地盤反力度の上限値の補正係数 |
基礎側面及び周面の地盤反力度の上限値
基礎側面及び周面の地盤反力度の上限値が変わりました。いずれも2/3ほどに小さくなりました。
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図6 基礎側面及び周面の地盤反力度の上限値 |
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