今回は、UC-win/Roadと各種のデバイスを接続するにあたって、デバイスの動作や映像の表示を最適化するためにUC-win/Road側で調整することのできる設定項目について紹介します。
各種運転デバイスとの接続
UC-win/Roadで運転に使用できるゲームコントローラは大きく2つに分かれます。まずハンドル型のタイプは、ハンドルとペダルが分離しており、実車と同様に運転操作できます。次にゲームパッドと呼ばれるタイプは、十字キーやアナログスティックを備えています。UC-win/Roadではどちらも運転、歩行、飛行の操作で使用できます。ここでは、USB接続のものについて説明します。
軸の割り当て
ゲームコントローラの設定を行うには「ファイル」⇒「アプリケーションオプション」⇒「ゲームコントローラオプション」を開きます。左上でゲームコントローラの機種を選択し、「ゲームコントローラでの運転/歩行」を選択します。
ハンドル型のコントローラの場合はハンドルとペダル、ゲームパッドの場合はスティックを操作し、どの軸が反応するかを確認します。図2はアクセルペダルを踏んだ場合の反応の例です。このコントローラではアクセルペダルを踏むと「スロットル」の軸がマイナス側に反応し、ブレーキペダルを踏むとプラス側に反応していますが、デバイス側の設定によってアクセルとブレーキが異なる軸で反応する場合もあります。
軸の反応を確認したら、右上のアクセル、ブレーキの割り当て設定にそれぞれ反応した軸を割り当てます。この場合は両方とも「スロットル」を割り当てますが、アクセルを踏むとマイナスの値の信号が、ブレーキを踏むとプラスの値の信号が来るため、ペダルの操作とUC-win/Roadの車両の挙動が正反対になります。その場合は、「逆向き」にチェックを入れることで正しい挙動に補正することができます(図3)。同様に、ハンドルを操作して軸を確認し、「左/右」の項目にハンドルが反応した軸を割り当てます。
ボタンの割り当て
ゲームコントローラで運転を行う場合、ウィンカー、ヘッドライト、ワイパー等の運転に関連する操作をボタンで行うことができます。軸の割り当てと同様に、ボタンを押して表示される番号を確認し、各項目への割り当てを行います。割り当てを変更するには、各項目のボタン番号をクリックし、「任意のボタンを押して下さい」という画面が開いた上体で割り当てるボタンを押します(図4)。
運転反応性の調整
ゲームコントローラオプションでは、ハンドルとペダルの反応の度合いを調整することができます。ハンドル型の場合、デフォルト設定ではハンドル反応性が3.00、ペダル反応性が1.00となっています。反応性の数字が1の場合、車両の挙動は操作量に比例したリニアな反応となり、反応性の数字を大きくした場合は、操作しても最初は反応が弱く、操作量を増やすと一気に反応が強くなります。
HMDとの接続設定
UC-win/RoadとOculus Rift等のHMDを接続する場合、設定が不適切な場合は映像が粗くなったりパフォーマンスが低下する場合があります。ここでは、HMDと接続する場合の設定の最適化について説明します。
図6 UC-win/Roadと連携可能なHMDの一例(※全周囲動画再生のみ対応)
品質の設定
マルチサンプリングアンチエイリアスにチェックを入れることで、ポリゴンの輪郭に発生するジャギー(ギザギザ)を軽減し、滑らかな見た目になります。数値を上げることで滑らかさは増しますが、フレームレートに影響を与えるため、見た目とフレームレートのバランスを見極める必要があります。この設定は、連携可能な全てのHMDで調整が可能です。
画角(FOV)の設定
左目と右目それぞれに映す映像の画角を設定することができ、上下左右に0.1度ずつ個別に調整できます。なお、画角の変更による変化の仕方はHMDの機種によって異なり、Oculus Riftの場合はUC-win/Roadの画角とは異なり拡大率には変化は無く、表示領域の広さが変化します。HTC Viveの場合は表示領域の広さは変化せず、拡大率が変化します。VR画角倍率の値を調整すると、表示領域全体に対する拡大率が変化します。この設定も、全てのHMDで調整が可能です。
Oculus Riftにおける設定
Oculus Rift固有の設定項目として、HUDの表示設定があります。HUDは、スクリプトやシナリオでマルチメディアによる画像や動画の表示を行う機能で、視点との相対位置と立体的なサイズを指定することにより、視点に追従する形で空中にメッセージ、静止画、動画を浮かび上がらせることができます。
HTC Viveにおける設定
HTC Viveでは、IPD(InterPupillary Distance=瞳孔間距離)を設定することができます。両目の間の距離には個人差があるため、IPDが適切でないと、映像に焦点を合わせにくい、映像が二重に見える、すぐ疲れるといった問題が発生します。HTC Viveの場合はデバイス側での調整も可能ですが、UC-win/Road側での調整も可能です。
また、コントローラを使って画面上にメニューを表示し、スクリプト/アニメーションの再生、シナリオ実行、景観視点への移動を行うことができ、その際のメニュー表示のレイアウトや単純なデザインも設定画面で調整することができます。
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図9 Viveコントローラに手のモデルを
指定した場合
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HTC Viveでは手に持ったコントローラの位置を空間に表示することができます。設定画面内のデバイスタブで、コントローラ表示の位置調整やスケール、表示方法を設定可能です。表示方法には任意の3Dモデルを指定することもでき、例えば手の形の3Dモデルを作成して表示させることで、体験者の手の動きを空間内に再現することが可能となります。
FOVEにおける設定
FOVEでは、UC-win/Roadと連携させた状態で視線計測機能を使用することができます。設定画面上では、装着した状態での視線のキャリブレーションや、視線の位置を表すマーカーのサイズ設定等の操作を行うことができます。また、画角の調整についても他のHMDと同様に対応可能です。
おわりに
ゲームコントローラの設定は調整によって運転時の違和感を減らすことができます。HMDの接続はデフォルト設定のままでも十分お使いいただけますが、今回紹介した設定項目を調整することで、パフォーマンスや使い勝手が向上する場合もあります。特にHMD使用時のパフォーマンス低下は、いわゆるVR酔いの大きな原因となりますので、デバイスをお使いの方は今一度設定を見直してみてはいかがでしょうか。
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