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UC-win/FRAME(3D)は、汎用3次元骨組構造解析プログラムです。Lite版では、複数荷重ケース・複数支点ケースを一括して計算できる静的線形解析と影響線を用いた活荷重計算に対応しています。Advanced版では、Lite版の機能に加えて、材料非線形と幾何学的非線形(大変位理論)を考慮した静的/動的解析が可能です。両版ともフレーム計算後に応力度や耐力等を照査する断面計算機能(オプション)があります。
今回の改訂では、主にファイバー要素に関連する機能追加・改善を行いました。 |
●ファイバー要素への粘性減衰作用
鉄筋コンクリート部材をファイバー要素でモデル化した場合、現行版では鉄筋だけに粘性減衰(Rayleigh型/要素別剛性比例型)を作用させていました。つまり、ファイバー要素ではコンクリート部分に粘性減衰は作用させていませんでした。
今回の改訂では、ファイバー要素断面内のコンクリート部分にも粘性減衰を作用させるオプションを追加しました(図1)。このオプションを使用すると、コンクリート部分に限らず、断面内にある全ての材料に対して、粘性減衰を作用させることができます。
このオプションを用いるかどうかは解析者の判断に委ねられますが、このオプションを用いる利点は、M−φ要素やM−θモデルのような部材レベルでの非線形要素と材料レベルで非線形特性を与えたファイバー要素とで、両者に作用させる粘性減衰(厳密には剛性行列に乗じる係数)を同じにすることができるようになったことです。これにより、要素の違いに着目して比較結果を考察しやすいようになると思います。
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▲図1 ファイバー要素に適用する
粘性減衰オプション |
これに関連して、現行版には整合のとれていない処理がありました。ファイバー要素内の鉄筋だけに粘性減衰を作用させるとき、その鉄筋ヒステリシスの種類は「F3D」と「COM3」が対象となっており、「バイリニア」「トリリニア」は対象外となっていました。同様に、粘性減衰を作用させる鋼板ヒステリシスの種類は「F3D」だけであり、それ以外の「バイリニア」「トリリニア」は対象外となっていました。今回の改訂では、全ての鉄筋ヒステリシス、全ての鋼板ヒステリシスに対して粘性減衰を作用させるように統一しました。 |
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●鋼部材のひずみ照査
ファイバー要素でモデル化した鋼部材を対象とした、ひずみによる照査機能を追加しました。この照査機能は、「鋼橋の耐震・制震設計ガイドライン」(宇佐美勉編著・日本鋼構造協会編、2006年9月1日、技報堂)に準拠しています。
ひずみ照査方法は、鋼製橋脚をはじめとして、桁橋、ラーメン橋、上路式アーチ橋、中路式アーチ橋、斜張橋、吊橋などのあらゆる鋼構造物に対する耐震性能照査に適用可能です。
入力方法は、同基準で定める最も厳しい部材セグメント(CMS: Critical Member Segment)に該当するいくつかのファイバー要素を1つのグループに含めること、そのグループに対して終局ひずみの算出式の選択とそれに必要なパラメータの入力です(図2) |
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▲図2 入力画面 |
照査の流れは、CMSに含まれる各ファイバー要素に生じた圧縮側最大応答ひずみを部材軸方向に平均したεaを、プログラムが自動算出した終局ひずみεuで照査するというものです(図3)。
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▲図3 鋼部材のひずみ照査 |
結果は、テキスト形式(*.csv)で出力します。
道路橋示方書V耐震設計編に基づいた3波形の地震動に対する平均応答値の照査にも対応しています(図4)。 |
▲図4 3波形に対する平均照査 |
●変形後の3次元グラフィックスを3ds形式でファイル出力
「3ds」は「3D Studio」のデータ形式で、さまざまな3Dグラフィックス作成ソフトでサポートされているファイル形式です。現行版では変形前のモデルを3ds形式でエクスポートする機能があります。今回は荷重を受けて変形したモデル状態をエクスポートできるようにしました。計算を実行した後の結果モードで出力可能になります。固有値解析結果のモード図もこの形式で出力できます。
■UC-win/FRAME(3D) Ver.2.01 リリース予定日:2007年5月
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