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●xpswmm 総合情報 Vol.6 |
7月28日未明から朝にかけての記録的な局地的豪雨により、石川県金沢市など3市2町で、床上浸水541棟、床下浸水2141棟、全壊家屋1棟の浸水被害が発生したのは記憶に新しいところです。
石川県で2005年、2日間の総雨量を100年確率相当の260mmとして、浅野川の想定区域図を作成し、金沢市は県の想定図を基に洪水ハザードマップ、洪水避難地図を作成し、住民に警戒を呼びかけていましたが、湯涌地区の近くの芝原橋で、想定雨量を大きく上回る3時間で254mmの豪雨が発生したことが今回の浸水の要因となりました。
石川県における氾濫シミュレーションでは、熊田川、北川等の支派川や隣接する梯川の氾濫、内水氾濫等が考慮されていませんでした。そのため、2005年に策定された浅野川の氾濫を想定した浸水想定区域図では、今回、浸水被害の大きかった金沢市湯涌地区や主計町は想定区域には指定されてなく、石川県河川課では「想定図を見直したい」との意向を示し、石川県知事も県の水防計画の見直しを検討する考えを示しています。更に、浅野川の氾濫では、堤防の切れ間から外水が侵入した経緯があり、ハザードマップで示された浸水想定区域の見直しも検証される見込みです。
今回の浸水被害を契機に、今後、国や各自治体では計画降雨の見直しや、浸水想定区域の見直し、放水路や水門施設の運用計画の見直し、内水氾濫の考慮等が検討されていくことが想定されます。国や都道府県における効果的事業の推進への施策としては、現在進められている市町での内水氾濫シミュレーションによる内水ハザードマップとの整合を図り、内水氾濫を考慮した外水氾濫シミュレーションモデルの採用、内水氾濫を考慮した洪水ハザードマップの作成へと移行が求められてきます。そこで、xpswmmによる都市の持つ雨水排除インフラを考慮した内水氾濫を組み込んだ都市型雨水流出モデルが不可欠となってきます。
これまで浸水対策は主に河川・下水道の分野を中心として、内水は下水道として、外水は河川として整備することで個別に進められてきましたが、今後は、河川・下水道の各分野における個別の対策をさらに充実させていくとともに、河川と下水道とが連携した整備のあり方が求められています。今後の水防計画のあり方としては、内水を担当する市町と外水を担当する都道府県とで水文データを共有し、その成果を元に内水、外水を総括した総合的水防計画へと転換を図ることが推奨されます。 |
●xpswmmによる下水道と河川との統合解析
河川からの影響や、河川への影響を考慮する必要がある都市型水害対策に対する流出解析モデルでは、下水道と河川を統合的に解析する必要があります。xpswmmは、下水道と河川河道及び流域等をモデル化することにより、下水道と河川との一体的な解析が可能なシステムです。
xpswmmでは、下水道等の人工システムと河川等の自然システムとの複合現象に対して、流出解析、水理解析、汚濁解析の全ての計算が連結しており、同一パッケージ内で任意の処理が行えるよう構造化されています。これにより、都市域における流出のように複雑に絡み合うシステムに対して、一つの水文データの変化に対する影響評価が可能となります。
モデリングとしては、下水道及び河川は一元不定流により解析し、一元不定流解析と連動した地表面をメッシュ分割して、氾濫原を二次元不定流モデルにより解析します。管路システムでは、メッシュ内に分布するマンホール部で管渠と接続することにより、管渠の流下能力以上の雨水がマンホールから溢水し、地表面の勾配にしたがって流下・拡散するとして内水氾濫を再現します。一方、河川システムでは、氾濫原境界に河川の蛇行をノードとリンクにより表現し、計画高水位を上回る際の一次元領域から二次元領域への越流はノードからの水の出入りにより表現することにより、外水氾濫を再現します。ここで、河道については、一次元の流路に対して、実際の河道幅となる範囲を設定することによりモデル化します。
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▲xpswmmにおける河川と下水道のモデリング |
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xpswmmにおける
河道及び河川断面の設定 |
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▲xpswmmにおける河川断面の入力 |
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●下水道展の出展報告
国内最大規模の下水道展示会である下水道展'08 横浜が、7月22日(火)〜25日(金)にパシフィコ横浜にて開催され、83,345名の来場者を迎えました。弊社ブースにおきましても、多くのお客様からの興味、関心を頂戴し、xpswmmによる氾濫解析結果のUC-win/RoadによるVR化プロジェクト「UC-win/Road
for xpswmm」のニーズを見越した新しい技術開発に対し、全国の下水道関係者からその先見性に多くの共感を頂くことができました。 |
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●FORUM8デザインコンファランスのご案内
昨年の第一回の開催でご好評頂きましたFORUM8デザインコンファランスを、今年も第二回として9月19日(金)に開催し、全国からあらゆる専門分野の技術者が一堂に会する機会をご提供します。水工分野では「浸水対策技術セミナー」として、広島大学の河原教授、芝浦工業大学の守田教授、NPO法人水環境創生クラブの石川様をご招待して公演頂きます。更に、XP
Software副会長Anthony Kuch氏による開発者講演、やxpswmmユーザー様による解析事例の紹介等を予定してします。水文技術者間の情報交換の場として、最新の技術開発の動向を把握する場として、是非この機会にご参加下さることを期待しております。
●第2回FORUM8デザインコンファランス 技術セッション : 水工 詳細
●日時 9月19日(金) 9:30 〜 16:30 ●参加費 無料
●本会場 フォーラムエイト東京本社 GTタワーセミナールーム
TV会議システムにて 東京・大阪・名古屋・福岡・上海・北京・ソウルにて同時開催(一部講演に限る)
●第2回 浸水対策技術セミナー 「浸水対策と流出解析モデルの活用」 |
xpswmm体験セミナー 詳細
●日時 9月26日(金) 13:30 〜 16:30 ●参加費 \15,750
●本会場 フォーラムエイト東京本社 GTタワーセミナールーム TV会議システムにて 東京・大阪・名古屋・福岡にて同時開催 |
xpswmm体験セミナー(中国:上海・北京) 詳細
●日時 2008年10月 8日(水) ●参加費 無料 |
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